概日
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 03:56 UTC 版)
哺乳類において、Bmal1遺伝子によってコードされるタンパク質は、PASドメインを介してカンドbHLH-PASタンパク質であるCLOCK(もしくはパラログのNPAS2)と結合し、核内でヘテロ二量体を形成する。 BHLHドメインを介して、このヘテロ二量体はPer(Per1, Per2)やCry(Cry1, Cry2)のプロモータ領域に位置するE-box応答領域と結合する。この結合はPER1, PER2, CRY1, CRY2タンパク質の転写翻訳を促進する。 PERとCRYタンパク質が十分量まで蓄積すると、PASモチーフを介して相互作用し、核内に移行してCLOCK-BMAL1ヘテロ二量体の転写活性を阻害する抑制複合体を形成する。 この二量体はPerとCry遺伝子の転写を抑制し、PERとCRYのタンパク質レベルを減少させる。 この転写翻訳ネガティブフィードバックループ(TTFL)は、細胞質内でカゼインキナーゼ1εやδ(CK1εやCK1δ)によるPERタンパク質のリン酸化によって修飾され、これらのタンパク質の26Sプロテオソームによる分解を仲介する。 SIRT1もBMAL1-CLOCKのヘテロ二量体を脱アセチル化させ、概日的なPERタンパク質の分解を制御している。 PERタンパク質の分解は大型のタンパク質複合体の形成を阻害し、これによってBMAL1-CLOCKヘテロ二量体による転写活性阻害作用を妨害する。CRYタンパク質もFBXL3タンパク質によってポリユビキチン化による分解を引き起こされ、同じくBMAL1-CLOCKヘテロ二量体の阻害作用が妨害される。これによってPerとCry遺伝子の転写が再開される。夜行性マウスのTTFLループにおいて、Bmal1遺伝子の転写レベルのピークはCT18にみられ、これは主観真夜中で、Per,Cryなどの主観真昼のCT6にピークを持つ時計遺伝子とは逆位相をとる。このプロセスは約24時間の長さを持ち、これは分子メカニズムがリズム性であるという考えを支持する。
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