カチンコの使われ方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 07:16 UTC 版)
黒板部分には、シーン番号、カット番号、テイク番号が記され、撮影される。その他の簡単な説明が記入される場合もある。テイク番号は、同一シーン・同一カットを複数回繰り返した場合のもので、監督のOKが出るまでカウントアップしていく。たいていはテイク番号の最も大きい数字のカットがOKが出たカットだが、実際にはそれ以前のものから比較的良いもの(キープカット)が使われることもある。 日本では、カチンコを手に持ち、手を伸ばした状態で鳴らすことが多い。また、カチンと鳴らした後、猛ダッシュで音もなく退散するか、地面にかがんだりひれ伏したりしてカメラの画角を外れることが要求され、短い時間で退避ができることが、カチンコを打つサードあるいはフォースの助監督にとって重要な職人芸であるとされる。これはフィルムを無駄にしないという実利とともに、そのシーンにおけるカメラの画角が判断できるようになれば一人前、という意味もある。ハリウッドなどでは、カメラが回り始めた後しばらく速度が安定するまで待つため、カチンコを鳴らした後猛烈な勢いで退避するということは要求されない。そのためもあって、ハリウッドでカチンコを叩く担当は特に決められておらず、多くは撮影部門の助手が行っている。 撮影開始にカチンコを鳴らさず回し始める場合は、尻にカチンコを挿れる。これを「尻ボールド」と言い、カチンコを逆さまにして打つ。「ケツカッチン」とも呼ばれ、「終了時刻が決まっている(人・もの)」という意味の言葉に転用されている。 現在の映画撮影では、同時録音ができるシステムを備えた機材が増えているため、映像と音声の同期を取るために「音を鳴らすカチンコ」の重要性は低まりつつある。特にビデオカメラで撮影する場合には、同時録音が前提なので、映像と音声を一致させるという作業そのものが不要である。コンマ何秒かのずれが生じているためフィルム撮影の場合、録音技師によっては頭にカチンコを入れるよう要求してくる場合が多い[要出典]。 また、シーン番号やカット番号の記録は、同時録音の有無とは関係なく、重要である。そのため、ビデオ撮影の現場では、カチンコそのものは使われないとしても、スケッチブックにフェルトペンなどでシーン番号・カット番号・テイク番号を記したものを撮影するということは今でも行われている。カチンコを半開きにして番号をカメラに向ける手法も存在する。 セット・ロケセット内の撮影で、俳優のほかにカチンコ係の入る余地のない究極の狭い場所では、俳優が手を叩いたり、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}掌サイズの小型のものを使う[要出典]。俳優に手を叩かせる場合、各種ナンバーを俳優の手には書けないため、録音部が音声で記録するのみで対応する。 引きのショットでは上半身サイズの大型なカチンコが使われる場合がある[要出典]。通常は、カメラ前にカチンコ係が立ち、カメラ前に焦点を合わせてボールドを入れ、引きのショットの焦点に再度戻す。
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