オツベルと象とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 趣味 > 短編小説作品名 > オツベルと象の意味・解説 

オツベルと象

作者宮沢賢治

収載図書編年体大正文学全集 第15巻 大正十五
出版社ゆまに書房
刊行年月2003.5

収載図書どんぐりと山猫雪渡りほか
出版社教育出版
刊行年月2003.9
シリーズ名読んでおきたい日本名作

収載図書宮沢賢治童話集心に残るロングセラー名作10話
出版社世界文化社
刊行年月2004.3

収載図書銀河鉄道の夜
出版社フロンティアニセン
刊行年月2005.2
シリーズ名第2刷 (フロンティア文庫)

収載図書銀河鉄道の夜
出版社舵社
刊行年月2005.8
シリーズ名デカ文字文庫

収載図書ザ・賢治―全小全一冊 グラスレス眼鏡無用 大活字版
出版社第三書館
刊行年月2007.1

収載図書よだかの星
出版社SDP
刊行年月2008.11
シリーズ名SDP Bunko


オツベルと象

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/24 08:39 UTC 版)

オツベルと象」(オツベルとぞう)は、宮沢賢治の短編童話である。詩人尾形亀之助主催の雑誌『月曜』創刊号(1926年1月3日発行)に掲載された。『注文の多い料理店』などと同様、賢治の数少ない生前発表童話の一つ。

かつては「オッペルと象」というタイトルにされていたが、『校本 宮澤賢治全集』(筑摩書房、1973 - 1977年)編集の際に稀覯本だった初出誌『月曜』の現物を確認して誤りが正された[1]。『月曜』では促音も通常の文字と同じ大きさになっており(9ポイント活字)、また下書きを含めて原稿が一切現存していない[2]。このため、「オツベル」の「ツ」の実際の発音・表記が「オベル」と「オベル」のいずれなのかは判明していない。また最後の一節は、初出誌では黒い四角(ゲタ)、または小さな黒点(・)になっている部分がある[2]。前記の通り原稿が現存していないため、この部分は校本全集以降「〔一字不明〕」とされている。校本全集よりも前の全集では、この箇所は「君」という文字に校訂されていた。

あらすじ

この物語は、「ある牛飼い」が物語るという形式になっている。

ある日、地主のオツベルのところに大きな白い象がやってくる。オツベルは象をうまく騙して自分の所有物にし、過酷な労働を課す。そうとは露知らず、初めは労働を楽しんでいた白象だが、徐々に食べ物を減らされて弱っていく。白象は月の助言で仲間たちに手紙を書き、それを読んだ仲間の象たちはオツベルの邸へと押し寄せていく。そしてなだれ込んだ象によってオツベルはくしゃくしゃに潰された。

登場人物

オツベル
この物語の主人公。大金持ちの大地主。頭がよく、迷い込んできた白象を言葉巧みに騙して、自分の財産にしてこき使う。白象の手紙を読んだ仲間の象が来襲したときは銃で応戦したが通用せず、なだれ込んだ象によって「くしゃくしゃに潰れ」てしまう。
白象
森からやってきた白い象で鶯のような美声を持つ。オツベルに騙されて奴隷にされる。
白象が毎晩藁をたべながら話しかけていた月。作中では白象から「サンタマリア」と呼ばれている。白象が別れを示唆すると、重要な助言をする。
赤衣の童子
何処からか現れて、白象の手紙を仲間たちに届ける。
牛飼い
物語の語り手。
百姓
オツベルの家で働く百姓たち。象の群れが押し寄せてきた時には、オツベルを見捨てて逃亡した。
議長の象
白象の所属する群れの長。白象の手紙を読んで奮起し、象の群れを率いてオツベルの小屋に襲来。白象を助け出した。
オツベルの犬
オツベルの飼い犬。象の群れの接近を嗅ぎ付け、けたたましく吠えていたが、いざ象と対面するとすぐに気絶してしまった。

解説

白象沙羅双樹が登場することから、インド - 東南アジアを舞台とした物語ということがわかる。強欲なオツベルは、白象の善意を踏みにじって殺されてしまうが、白象は喜ばない。研究者の続橋達雄は、白象が「さびしく笑」ったのは、「オツベルの冷酷さを改心させられなかったことへの悲しみであろう」という見解を述べている[3]

脚注

  1. ^ 天沢退二郎入沢康夫「編集室より」『校本 宮澤賢治全集第11巻月報』筑摩書房、1974年、p.7
  2. ^ a b 『【新】校本宮澤賢治全集』第12巻校異編、筑摩書房、1995年、pp.70 - 71
  3. ^ 続橋達雄「研究の眼(オツベルと象)」『宮沢賢治』小学館出版《群像日本の作家》、1990年、 ISBN 4-09-567012-6

外部リンク



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「オツベルと象」の関連用語

オツベルと象のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



オツベルと象のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのオツベルと象 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS