オスプレイ級機雷掃討艇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 06:36 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動| オスプレイ級機雷掃討艇 | |
|---|---|
|   | 
   |
| 基本情報 | |
| 艦種 | 機雷掃討艇 (MHC) | 
| 前級 |  ハークネス級 ブルーバード級 (MSC)  | 
   
| 要目 | |
| 軽荷排水量 | 803トン | 
| 満載排水量 | 918トン | 
| 全長 | 57.25m | 
| 最大幅 | 10.95m | 
| 吃水 | 2.9m | 
| 機関方式 | CODOE方式 | 
| 主機 |  ・ID36 SS8V-AMディーゼルエンジン×2基 ・補助電動機×2基  | 
   
| 推進器 | シュナイダープロペラ×2軸 | 
| 出力 | 1,600馬力 | 
| 速力 | 12ノット (22 km/h) | 
| 航続距離 | 2,500海里 (12ノット巡航時) | 
| 乗員 | 士官2名+曹士32名+予備人員21名 | 
| 兵装 | ブローニングM2重機関銃×2挺 | 
| C4ISTAR | AN/SYQ-13 掃海艇情報処理装置 | 
| レーダー | AN/SPS-64(V)9 対水上捜索用 | 
| ソナー | AN/SQQ-32 可変深度式 | 
| 特殊装備 | AN/SLQ-48 機雷処分具 | 
オスプレイ級沿岸機雷掃討艇(オスプレイきゅうえんがんきらいそうとうてい、英語: Osprey-class coastal minehunter)は、アメリカ海軍が運用していた機雷掃討艇。同型艇は12隻。
設計
当初ノルウェー海軍がアルタ級掃海艇で実現したのと同様の表面効果翼船(SES)のカーディナル級機雷掃討艇を計画していたが、機雷爆発により発生する衝撃に対する不安等からキャンセルされ、代わりにイタリアのレリチ級機雷掃討艇をベースにした本級が整備されることになった[1]。レリチ級を拡大したような外観であり、船型は長船首楼型、船体構造も同様にガラス繊維強化プラスチック(GFRP)によるモノコック構造となっている[2]。
主機関としてはイソッタ・フラスキーニ社製ID36 SS8V-AM V型8気筒ディーゼルエンジンが搭載される。水中放射雑音低減のため、主機関は架台上に設置されている。また低速時には180馬力の補助電動機2基による電気推進を使用するほか、定点保持のためバウ・スラスターも備えている[2][3]。
装備
装備面では、先行するアヴェンジャー級掃海艦と同様、AN/SQQ-32可変深度ソナーとAN/SLQ-48自走式機雷処分具を搭載する。ただしレリチ級やアヴェンジャー級と異なり、係維掃海具や感応掃海具は搭載せず、機雷掃討に特化している[2]。
AN/SQQ-32はアメリカのレイセオン社とフランスのトムソン・シントラ社により開発された機雷探知機で、機雷探知機能はレイセオン社の技術に基づいて35キロヘルツの周波数を使用しており、5本の垂直ビームによって全周にわたって海面から海底までを捜索できる。一方、機雷類別機能はトムソン・シントラ社の技術に基づいて445-650キロヘルツの周波数を使用しており、0.13度の分解能を誇っている[4]。
AN/SLQ-48機雷処分具(mine neutralization system, MNS)はハネウェル社によって開発されたもので、深々度機雷に対処する必要から、海上自衛隊のS-7などと同様の母艇給電方式を採用している。運用深度は推定500メートル、速力6ノットで、機雷類別用の高解像度ソナーとビデオカメラを備えている[5]。
配備
全艦2006年から2007年にかけてアメリカ海軍より退役した後、各国に引き渡されている。ギリシャ海軍、エジプト海軍は各2隻を受領した。2008年4月29日トルコへ1隻引き渡すことが議会により承認された。その後、トルコに対する2隻目と台湾に対する2隻の販売が認可された。2010年9月28日、台湾に対する3隻目の輸出について米上下両院での承認が得られた。2010年9月29日に米国上院がインド海軍に対する2隻の販売を承認したとインドのメディアで報じられた。[6] [7] 2012年8月10日、台湾の左営港においてオスプレイ級2隻の台湾到着を記念する式典が挙行されたが、正式な再就役は同年10月を予定している。
| 退役後 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| # | 艦名 | 造船所 | 就役 | 退役 | 再就役先 | # | 艦名 | 
| MHC-51 | オスプレイ USS Osprey  |  
    インターマリン | 1993年 | 2006年 | |||
| MHC-52 | ハーロン USS Heron  |  
    1994年 | 2007年 | M64 | Calypso | ||
| MHC-53 | ペリカン USS Pelican  |  
    エイボンデール | 1995年 | 2007年 | M61 | Euniki | |
| MHC-54 | ロビン USS Robin  |  
    1996年 | 2006年 | ||||
| MHC-55 | オリオール USS Oriole  |  
    インターマリン | 1995年 | 2006年 | MHC- 1310  |  
    永靖 ROCS Yung Jin  | 
   |
| MHC-56 | キングフィッシャー USS Kingfisher  |  
    エイボンデール | 1996年 | 2007年 | 売却承認済 | ||
| MHC-57 | コルモラン USS Cormorant  |  
    1997年 | 2007年 | ||||
| MHC-58 | ブラックホ-ク USS Black Hawk  |  
    インターマリン | 1996年 | 2007年 | |||
| MHC-59 | ファルコン USS Falcon  |  
    1997年 | 2006年 | MHC- 1311  |  
    永安 ROCS Yung An  | 
   ||
| MHC-60 | カーディナル USS Cardinal  |  
    1997年 | 2007年 | Shareen | |||
| MHC-61 | レイヴン USS Raven  |  
    1998年 | 2007年 | al Faruq | |||
| MHC-62 | シュライク USS Shrike  |  
    1999年 | 2007年 | ||||
出典
- ^ GlobalSecurity.org MSH-1 CARDINAL Minesweeper Hunter
 - ^ a b c 「世界の代表的対機雷戦艦艇 (特集 新しい対機雷戦)」『世界の艦船』第631号、海人社、2004年9月、 74-81頁、 NAID 40006349315。
 - ^ Norman Polmar (2005). The Naval Institute guide to the ships and aircraft of the U.S. fleet. Naval Institute Press. ISBN 9781591146858
 - ^ 黒川武彦「センサー (現代の掃海艦艇を解剖する)」『世界の艦船』第427号、海人社、1990年10月、 88-91頁。
 - ^ 大平忠「機雷処分具 (現代の掃海艦艇を解剖する)」『世界の艦船』第427号、海人社、1990年10月、 96-99頁。
 - ^ US Senate OKs transfer of two minehunters to India
 - ^ US senate approves sale of 2 Osprey-class minehunters to India
 
外部リンク
固有名詞の分類
| ギリシャ海軍の艦船 | 
ポモルニク型エアクッション揚陸艦 209型潜水艦 オスプレイ級機雷掃討艇 イドラ級海防戦艦 ダルド級駆逐艦 | 
| トルコの艦船 | 
209型潜水艦 アーサール・シェヴケド級装甲艦 オスプレイ級機雷掃討艇 フェトヒ・ビュレント級装甲艦 アヴニッラー級装甲艦 | 
| エジプトの艦船 | 
ロメオ型潜水艦 オスプレイ級機雷掃討艇 シェルシェン型魚雷艇 | 
| 台湾海軍の艦船 | 
キッド級ミサイル駆逐艦 オスプレイ級機雷掃討艇 | 
| アメリカ合衆国の機雷戦艦艇 | 
オスプレイ級機雷掃討艇 アヴェンジャー級掃海艦 | 
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