イランのギャルマーベ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/24 05:53 UTC 版)
イランでは、一般的に公衆浴場を指す言葉として「ギャルマーベ」(熱い水)という言葉が使用されており、「ハンマーム」は個人の住居に付随する浴室を指して使われることが多い。11世紀にズィヤール朝の君主カイ=カーウースが著した教訓書『カーブースの書』には、すでに入浴の作法が記されていた。ズィヤール朝以降のペルシア文学作品、イランを訪問した外国人の旅行記にも、たびたびギャルマーベが登場した。 モスクやマドラセと同様に、ギャルマーベにもペルシャ式の建築様式独特のアーチとドームが見られ、壁面がタイルで装飾されている。(サファヴィー建築も参照)上下水道と都市ガスの整備が進む現在のイランでは多くの個人の住居に浴室が設置され、テヘランなどの都市からギャルマーベの姿は消えつつある。 近代以前のイランの公衆浴場はエジプトやトルコなどの他地域と異なり、浴槽(ハズィーネ)の衛生状態が極めて悪かった。17世紀後半にサファヴィー朝を訪れたフランス人商人ジャン・シャルダンはイスファハーンの汚染された浴槽について書き記し、近現代のイランの文学作品やエッセイにも汚れた浴槽についての言及が見られる。衛生面での問題からギャルマーベから浴槽は撤去され、一般的なギャルマーベは脱衣室と蒸し風呂の二部屋で構成されている。ギャルマーベとは別に「オルキーデ」(ラン)という公衆浴場が経営されており、サウナのほかに冷水プール、ジャグジー、シャワー室、バーベル、屋外の温水プールが併設されている。
※この「イランのギャルマーベ」の解説は、「ハンマーム」の解説の一部です。
「イランのギャルマーベ」を含む「ハンマーム」の記事については、「ハンマーム」の概要を参照ください。
- イランのギャルマーベのページへのリンク