イランのバザール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 15:17 UTC 版)
イランの伝統的なバザールは、煉瓦でできた小さなドームが次々と連なって続く屋根に覆われている。煉瓦以外に、トタンや木で屋根が覆われている場合もあるが、バザールは基本的に屋根付きである。これは夏の暑さや日差し、冬の風や雨を避けるための工夫である。 通路の両側には間口、奥行きともに狭い小さな店がぎっしりと並んでいる。店主やその家族はそこに住まず、彼らの家は別の地区にある。店主は毎日店に通ってくるのが原則である。かつてはバザールの店舗は賃貸に限られ、いわゆる所有権は認められていなかった。 バザールでは、日常生活を送るために必要なありとあらゆる商品が販売されている。ただし、肉や野菜などの生鮮食品は別の区画や広場の青空市で売られることが多いため、バザールで扱う商品はそれ以外である。衣料品、日用雑貨、それに手工芸品が主だが、貴金属や宝石などの高価な品が売られている場合もある。商品にはそれぞれ別の区画が割り当てられている。金物は金物の区画、靴や鞄などの皮革製品には皮革製品の区画、衣類や布にはそのための区画が割り当てられている。一つの区画のなかに同じ品物を扱う店が沢山集まっているため、客は商品を比較しながら、より安価でより良質な品を求めることができる。 イランのバザールでは、狭い店にいかにたくさんの商品をおくかが店主の腕の見せ所になる。天井までところ狭しと釣り下げられた靴、皿、服など、ものをたくさん持っていることが良い店の証となっている。 バザールの中あるのは小売店の小さな店だけではない。その通路に面して、隊商宿(キャラバンサライ)、モスク、マドラサ、イマームザーデといった施設への小さな入り口が開かれている。
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