イナゴ投資家
イナゴ投資家
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/28 09:55 UTC 版)
イナゴ投資家とは、短期で材料株の回転売買を繰り返す個人投資家等のことである。彼らは、2013年1月に始まった信用取引無限回転という信用取引の規制緩和の影響で、個人投資家等の中でも、とりわけデイトレーダーと呼ばれる日中に売買の決済を行うことで利益を得ようとする投資家の売買動向が大きく変わったことで登場した投資家の種類の一つでもある。本規制緩和が実施される以前は、同じ資金では1日につき1回のみでしか、信用取引での新規買い(売り)ができなかったため、大きな値幅が取れる可能性のある仕手株や材料株といわれる銘柄を売買するのがデイトレーダーの主な投資行動であった。しかし、本規制緩和でできるようになった「信用取引無限回転」では、同じ資金を使っても返済さえすれば、新規買い(売り)が1日に何度でもできるようになったため、1回の取引で大きな値幅を狙う必要はなくなり、ごく僅かな利ザヤであろうとも幾度も取引を重ねさえすれば、大きな収益を期待できるようになった。さらにその特性からポジション保有の時間を短く抑えられるようになったことからリスクも大きく抑制できるようになったことから、短期で材料株の回転売買を繰り返すイナゴ投資家と呼ばれる個人投資家等が増加した。さらに、2014年7月の東証の主力株において、最小で0.1円単位まで値刻みが縮小されたことなども、イナゴ投資家にとっても利便性が高まり、ますます短期で回転売買を行う投資家が増加する一因となった。 こうしたイナゴ投資家は、カリスマ投資家の「特定の株を何株買った」など、あえて自分の持ち高を公開するようなツイッター上の投稿などに反応している。この投稿は追随買いや売りを誘うことが多く、投稿それ自体が投資材料となっている。日本経済新聞では、こうしたイナゴ投資家の動きに一般の個人投資家が追随しても、なかなか儲からないとしている。その理由として「つぶやきなどで急騰し始めると注文が極端に買いに偏る。ようやく買えた頃には売りも膨らみ始め、結果として高値づかみになる」ことを挙げている。また松井証券の窪田朋一郎は「自分の持ち高を開示する投資家に何の意図もないとは考えにくい。売り抜けるためとみるのが自然」と警告している。 なお、このような規制緩和等が実施される以前は、イナゴ投資家と言った場合、上述した意味とは異なり、年末の資金手当てを目的に、秋に株式の含み益を確定させる個人投資家等のことを指していたという。
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