アレンの法則と表面形状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 10:18 UTC 版)
体積に対する表面積の割合が大きくなる=外気温の影響を受けやすい、という観点から突出部である尾、耳、羽などが寒い地域では小さく暑い地域では大きくなる傾向も認められる。こちらはアレンの法則と呼ばれる。アレンの法則でもわかるように、体積に対する表面積の割合を小さくする必要性から、外部形状の自由度が低くなることも指摘されている。このため、恒温動物はニッチの近い近縁の変温動物と比較して丸い印象を与える体型、すなわち、より球に近い体型をしている。 例えば、土中や狭いところを主な活動場所にする場合、ヘビ、トカゲやミミズのように細長い体型やゴキブリのように平面的な体型が有利なことが多い。しかしモグラやネズミなどの恒温動物ではこのような体型をしている種は認められていない。ハナカマキリやナナフシ、カレイのような極端な隠蔽形状を持つ種も認められていない。通常は体温を積極的に維持しないニシキヘビ類において抱卵時は安定した高体温を保つものがあるが(アミメニシキヘビでは100日程度の抱卵時は華氏88〜91度≒29〜33℃を保つ。他のニシキヘビも同程度)、このときは筋肉を震わせて産熱量を上げると共に、卵を中心としてトグロを巻くことにより露出表面積を下げる。 同じ程度の大きさのハチであっても、ハナバチ類(ミツバチ、クマバチ、マルハナバチなど)は内温動物的、カリバチ類(ジガバチ、アシナガバチ、スズメバチなど)は、ほぼ完全な変温動物であることが多い。カリバチ類は光沢がありスマートな形状をし、比較的羽も長いのに対し、ハナバチ類は丸く毛が生え羽も短く、もこもこした印象を与える。狩りバチ類が恒温性を持たないのは、おそらく他の動物を狩る必要があり、ハナバチ類のような形状では運動性が落ちてしまうからではないかと思われる。内温による活動時間の延長や安定した運動性能によるメリットよりも、毛が生えることによる空気抵抗の増加や、丸い体型による運動性の低下によるデメリットの方が大きいのであろう。
※この「アレンの法則と表面形状」の解説は、「恒温動物」の解説の一部です。
「アレンの法則と表面形状」を含む「恒温動物」の記事については、「恒温動物」の概要を参照ください。
- アレンの法則と表面形状のページへのリンク