アルフ・フォン・ムト・ハイムとは? わかりやすく解説

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アルフ・フォン・ムト・ハイム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/05 23:18 UTC 版)

アルフ・フォン・ムト・ハイム[2]またはアルフ・フォン・ムトーハイム[3](1966年2月27日 ‐ 1976年9月18日)は、日本警視庁刑事部鑑識課に所属した警察犬(直轄犬[補 3])。オスジャーマン・シェパード・ドッグ[補 4]で、書籍など一般には「警察犬アルフ」や、「アルフ号」と称される。


補足

  1. ^ アルフ号入所当時1箇所だった訓練所は、出動件数の増加などに対応すべく1974年5月21日に世田谷区喜多見に第二訓練所を新設(後に多摩市関戸へ移転)したのに伴い、「第一訓練所」と改称された。(広瀬 1977 pp.42-44、広瀬 1984 pp.138-139)
  2. ^ 民間ペット霊園業者だが、1968年7月に警視庁警察犬の合同墓(鈴木 1987 pp.64-65)、1986年に「警視庁警察犬慰霊碑」が建立され、警視庁の警察犬など使役犬が合祀されている。(参考;警視庁が警察犬を慰霊 捜査への貢献に感謝”. 47NEWS (2010年3月21日). 2011年6月30日閲覧。
  3. ^ a b 「ちょっかつけん」。民間で飼育・訓練され試験を経て登録された犬を必要に応じて招集する「嘱託犬(しょくたくけん)」に対し、警察の購入した犬を警察官が飼育・訓練して活用する制度、並びにその犬。嘱託犬制度は1952年、直轄犬制度は1956年に開始された。(広瀬 1977 p.16及び§3(pp.45-63)、広瀬 1984 p.126及び§3(pp.139-149))
  4. ^ アルフ号在籍当時、警視庁の直轄犬はジャーマン・シェパード・ドッグのみであった(広瀬 1977 p.49、広瀬 1984 p.141、鈴木 1991 p.14)。従って、本項に記載する他の警察犬も全てこの犬種である。
  5. ^ 1957年2月から1993年3月まで(舟越 1994 p.29)36年間、警察犬を担当、資料で確認できる限りの最高位は係長(警部)(舟越 1994 p.32)。特にアルフ号の担当官としていずれの書籍でも取り上げられるが、それ以前のアリス号の担当官としても知られる。
  6. ^ 担当官が投げたボールを、取って戻って来る意欲。警察犬訓練に必要な適性とされる。(広瀬 1977 p.74、広瀬 1984 p.154、三田村 1991 pp.10-12)
  7. ^ アルフ号の入所当時に天野が担当していた1頭。メス。1969年3月20日に高井戸警察署から脱走した強盗容疑者を捕らえ、警察犬として初の刑事部長賞の授賞式を『小川宏ショー』のスタジオで行われて注目された(広瀬 1977 pp.92-97、広瀬 1984 pp.163-166、鈴木 1987 pp.57-67、松田・熊丸 2002 pp.218-223)のをはじめ、生涯に301回出動(1984年まで日本の警察犬史上最多記録(鈴木 1987 p.69))、警視総監賞1回、刑事部長賞4回、鑑識課長賞68回など計80回以上の受賞歴を持ち、「警視庁警察犬史上最高の犬」と称された。1970年7月25日没。(広瀬 1977 pp.73-74、広瀬 1984 p.154、鈴木 1987 p.69・73、三田村 1991 p.74)
  8. ^ 警察犬の排便は、毎日6回の定時に決められた排便所でするようしつけられる。(広瀬 1977 pp.107-108、広瀬 1984 pp.170-171、三田村 1991 p.30)
  9. ^ 高さ1mのハードルを飛び越えたり、2mの板壁(はんぺき)をよじ登って越える訓練。(広瀬 1977 p.103、広瀬 1984 p.169、三田村 1991 p.46)
  10. ^ 匂いを辿り、行方不明者や容疑者などの行方を捜す訓練。捜索対象の匂いの着いた布などを犬に嗅がせ、匂いを辿ってその痕跡を追わせる。(広瀬 1977 pp.104-105、広瀬 1984 pp.169-170、鈴木 1987 pp.73-74、三田村 1991 pp.54-60、松田・熊丸 2002 p.208)
  11. ^ 女児は、幼稚園から都営住宅にある自宅へ戻ったところを、隣人の男に誘われ隣室内で殺害され、遺体は天井裏に隠されていた。女児の匂いを追ったアルフ号は、女児が一度自宅へ戻っていたことをつきとめたが、女児の母親の証言と食い違ったため誤りと考えられた。(広瀬 1977 pp.111-118、広瀬 1984 pp.173-176、三田村 1991 pp.64-66)
  12. ^ アルフ号が病に倒れた1976年は、直轄犬制度が導入され警察犬訓練所が設立された1956年から20年目の節目にあたる年で、11月には記念行事が予定されていた。(広瀬 1977 p.16、広瀬 1984 p.126)
  13. ^ 出動回数に対して、犯人検挙やそれに結びつく証拠を発見した割合。(三田村 1991 p.139)
  14. ^ 1969年入所。大変身軽な犬で、犬舎の天井近くの穴から外へ出て「忍者犬」などと呼ばれたという(広瀬 1977 p.176、広瀬 1984 p.205、鈴木 1987 p.99、三田村 1991 p.104)。容疑者から凶器を奪う「特殊襲撃訓練」を受けた犬で、あさま山荘事件では、武器を所持している可能性の高い連合赤軍メンバーと遭遇した際に、襲撃を不得手とするアルフ号に代わって対処すべく同行した(鈴木 1987 p.101、三田村 1991 pp.103-104)。アルフ号と一旦帰京した後に立て篭もり犯襲撃のため再び現場に参加した(広瀬 1977 p.195、広瀬 1984 pp.214-215、鈴木 1987 §5(pp.125-148)、三田村 1991 p.113)。1973年1月1日にフィラリアで没したが、一説にはこのときの無理がたたったとされる(鈴木 1987 p.147、三田村 1991 p.114)。

出典

  1. ^ ペット霊園 東京家畜博愛院”. 東京都動物霊園協会. 2011年6月30日閲覧。
  2. ^ a b c d 警視庁警察犬物語 それいけハナの捜査官「名警察犬アルフ号」”. 警視庁. 2017年12月1日閲覧。
  3. ^ 広瀬 1977 pp.66・68、広瀬 1984 pp.150・151、三田村 1991 p.8など。
  4. ^ 名犬たちのブロンズ像@兵庫県動物愛護センター”. ウーマンエキサイト (2009年11月8日). 2011年6月25日閲覧。
  5. ^ 広瀬 1977 §4(pp.63-75)、広瀬 1984 §4(pp.149-155)、三田村 1991 §1(6-18)
  6. ^ 広瀬 1977 pp.40-41、広瀬 1984 p.137、三田村 1991 §2(pp.19-29)
  7. ^ 広瀬 1977 pp.87-97、広瀬 1984 pp.161-166、三田村 1991 p.66・74、松田・熊丸 2002 pp.213-223
  8. ^ 広瀬 1977 p.73、広瀬 1984 p.154、三田村 1991 pp.9-14
  9. ^ a b c d 警察犬が一人前になるまで”. 警視庁. 2011年6月27日閲覧。
  10. ^ 広瀬 1977 §6(pp.98-110)、広瀬 1984 §6(pp.166-173)、三田村 1991 §3-4(pp.30-61)
  11. ^ 鈴木 1987 pp.73-74、三田村 1991 pp.54-60
  12. ^ 広瀬 1977 pp.111-118、広瀬 1984 pp.173-176、三田村 1991 pp.64-66
  13. ^ 広瀬 1977 pp.119-120、広瀬 1984 p.177、三田村 1991 p.66
  14. ^ 広瀬 1977 pp.121-124、広瀬 1984 pp.178-179、三田村 1991 pp.68-73
  15. ^ 広瀬 1977 p.159、広瀬 1984 p.196、三田村 1991 pp.95-98
  16. ^ 広瀬 1977 §12(pp.225-229)、広瀬 1984 §12(pp.228-230)、三田村 1991 pp.121-126
  17. ^ 広瀬 1977 §13(pp.230-245)、広瀬 1984 §13(pp.231-238)、三田村 1991 §10(pp.127-139)
  18. ^ 鈴木 1987 p.96
  19. ^ 三田村 1991 pp.138-139
  20. ^ 三田村 1991 p.96掲載の毎日新聞(1971年2月18日付)
  21. ^ 広瀬 1977 §9(pp.140-160)、広瀬 1984 §9(pp.186-196)、鈴木 1987 §3(pp.71-97)、三田村 1991 §6-7(pp.76-99)、舟越 1994 pp.25-28、松田・熊丸 2002 pp.226-229
  22. ^ 広瀬 1977 §10(pp.160-197)、広瀬 1984 §10(pp.197-215)、鈴木 1987 §4(pp.98-124)、三田村 1991 §8(pp.100-114)、舟越 1994 pp.28-29、松田・熊丸 2002 pp.223-226
  23. ^ 昭和48年 警察白書”. 警察庁. 2011年6月26日閲覧。‐4.科学の力による近代的捜査 (1)犯罪鑑識活動 エ 警察犬の「事例」として「クモの陣十郎」逮捕の記載がある。
  24. ^ 広瀬 1977 §プロローグ(pp.3-17)、広瀬 1984 §プロローグ(pp.119-126)、三田村 1991 pp.115-117
  25. ^ 広瀬 1977 pp.201-208、広瀬 1984 pp.215-220、三田村 1991 pp.117-118
  26. ^ 広瀬 1977 pp.209-224、広瀬 1984 pp.220-228
  27. ^ 三田村 1991 pp.119-121


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