アガメムノーン一族の「名前」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/10 09:33 UTC 版)
「クラテュロス (対話篇)」の記事における「アガメムノーン一族の「名前」」の解説
さらにソクラテスは、アガメムノーン一族の「名前」を、彼の息子オレステースからゼウスを経てウーラノスに至るまで8代遡りつつ、 アガメムノーンの息子であり、父の仇として母親とその愛人を殺した「オレステース」(Orestēs、山の男)の名前は、彼が本性が野獣のように残酷で、野性的で、山岳的(oreinon)なことを表している トロイア戦争にて長期間大軍を進駐させトロイアを攻略した総大将である「アガメムノーン」(Agamemnōn)の名前は、彼の忍耐強く最後までやり通す徳性を、留まること(epimonē)において嘆賞すべき(agastos)の合成によって表している アガメムノーンの父親であり、兄クリュシッポスを殺し、妻と密通した弟テュエステースの3人の息子を殺してその肉を彼に食べさせ追放した(そして後に彼の息子アイギストスに殺される)「アトレウス」(Atreus)の名前は、彼の数々の野蛮な行為が彼の徳性に対して有害で破壊的(atēra)であり、また彼の性格が強情(ateires)で大胆(atreston)であることも表している アトレウスの父親であり、妻ヒッポダメイアをめとるためにその父オイノマオスの馬車に細工させて彼を殺し、その細工者であるミュルティロスも殺した(そしてそのせいで、彼の一族は「ミュルティロスの呪い」の災いを受けることになった)「ペロプス」(Pelops)の名前は、呪いによって一族全体に災いがおよぶことを予測・予見できずに、妻をめとりたいがために手段を選ばなかった、その身近(pelas)なことしか見れなかった性質を表している ペロプスの父親であり、神々に対する罪を犯して殺され、冥府でも「飲めない水と食べれない果実」によって飢渇に苦しみ、「頭上に吊り下げられた大岩」によって絶えず恐怖にさいなまれることになった「タンタロス」(Tantalos)の名前は、頭上の石の揺れ動き(talanteia)と、彼がこの上なく惨めな者(talantatos)であることを表している タンタロスの父親である、最高神「ゼウス」(Zeus)の名前は、対格では「ゼーナ」(Zēna)と「ディア」(Dia)の二形に分かれるが、これは全ての生命が彼を原因として生きており、この方によって(di' hon = dia hon)生きている(zēn)ことを表している ゼウスの父親である「クロノス」(Kronos)の名前は、彼の英知(nous)が純粋(koros)であることを表している クロノスの父親である「ウーラノス」(Ouranos、天)の名前は、天の(ourania)、すなわち上方を見る(horōsa ta anō)注視を表しており、上空のことについての思索(メテオロロゴス)をする人たちが「上方の観察」によって「純粋な英知」が出現すると主張していることと符号する と検証していく。 ヘルモゲネスが、ソクラテスは神がかりにあって神託を語っているようだと驚くと、ソクラテスは今朝早くから長時間エウテュプロンと一緒にいて、彼の話を聞いていたため、彼の知恵が自分の魂に乗り移ったのだろうと述べ、今日はこのままこの知恵を利用して、「名前」についての問題を考察していくと述べる。ヘルモゲネスも賛成する。
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