平和的生存権
別名:戦争や武力行使をしない日本に生存する権利
国民が平和に生きる権利。国家や社会ではなく個人の権利、基本的人権として、平和的に生きる権利を位置づけたものといえる。
平和的生存権の根拠は日本国憲法に求められることが多いといえる。憲法の前文(第2段)では次のような一文がある。
われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。(e-Gov 日本国憲法)あるいは、憲法第9条、憲法第13条などにも平和的生存権の根拠のひとつとしてしばしば参照される。憲法第9条では「国際平和の希求」と「戦争の放棄」について、憲法第13条では国民の「生命、自由及び幸福追求の権利」について述べられている。
訴訟などで平和的生存権が争点となった事例としては、1969年に北海道夕張郡の住民が同地へのミサイル基地建設計画の取消しを求めて提訴した長沼事件(長沼ナイキ事件)、2008年に判決が下されたイラクへの自衛隊派遣の差止めを求める訴訟などを挙げることができる。
関連サイト:
日本国憲法 - e-Gov
へいわてき‐せいぞんけん【平和的生存権】
読み方:へいわてきせいぞんけん
平和のうちに生きる権利。日本国憲法に示されている基本的人権の一つで、前文の「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」などを根拠とする考え方。戦争や武力行使など憲法9条に反する国家行為によって個人の生命や自由が侵害された場合に具体的権利性が認められる。
[補説] 平成元年(1989)の最高裁判決は、「平和的生存権をいうものの意味内容は明確ではなく、それが具体的請求権として、あるいは訴訟における違法性の判断基準として、裁判において直接に国の私法上の行為を規律する性質をもつものではない」としているが、名古屋高裁は平成20年(2008)の自衛隊イラク派遣差し止め訴訟控訴審判決で、「局面に応じて自由権的、社会権的または参政権的な態様をもって表れる複合的な権利ということができ、裁判所に対してその保護・救済を求め法的強制措置の発動を請求し得る」として、裁判規範性を有するとの見解を示している。
へいわてきせいぞんけんと同じ種類の言葉
生存権に関連する言葉 | 生存権(せいぞんけん) 自然の生存権 平和的生存権(へいわてきせいぞんけん) |
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