双面(ふたおもて)
★1.死霊Aが生者Bにとりつく。さらに死霊Aは、生者Bとそっくり同じ姿で出現して、AとBが同じ振りで舞う。
『二人静』(能) 吉野の勝手明神に仕える菜摘女に、静御前の霊が取りついて写経供養を請う。勝手明神の神職が「静御前ならば、生前は舞いの名手だったのだから、舞いをお見せ下さい」と言う。菜摘女は霊に取りつかれた状態のまま、宝蔵にある静御前の衣裳を着て、舞い始める。そこへ、菜摘女と同じ衣裳を着た静御前が現れる。2人は形影相伴うように、そっくり同じ振りで舞う。
★2.死霊Aと死霊Bが合わさって一体になる。死霊(A+B)は、生者Cとそっくり同じ姿で出現し、(A+B)とCが同じ振りで踊る。
『隅田川続俤(すみだがわごにちのおもかげ)』「隅田川渡しの場・双面水照月(ふたおもてみずにてるつき)」 吉田家の嫡男松若と愛人お組の前に、お組そっくりの娘が現れる(*実は法界坊の霊と野分姫の霊が合体したもの→〔二人一役〕5)。どちらが本物か見分けがつかないので、吉田家に仕える女船頭お賤が、2人のお組に踊りを踊らせる。2人とも、そっくり同じ振りで踊る。「かくなるうえは」と、お賤は浅草観世音の尊像を突きつける。観世音の功力(くりき)によって、にせお組は退散する。
二面
名字 | 読み方 |
二面 | ふたおもて |
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