ひゅうが型への搭載
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/28 16:13 UTC 版)
このようにFCS-3の開発は曲折を経たものの、13中防で建造された13,500トン型DDH(16/18DDH; 後のひゅうが型)で装備化されることになった。同型では、「あすか」搭載の開発試作機の改良・実用機が搭載されることになっており、当初、「あすか」搭載機がFCS-3、16DDH搭載機はFCS-3改と称されていたが、後には16DDH搭載機を指して単にFCS-3と称するようになった。 上記のように、当初予定されていたAHRIMのかわりにESSMが採用されることになったことから、16DDH搭載機では、これを誘導するための装備が追加された。この結果、試作機のアンテナはCバンド用のものが4面あるだけだったのに対し、16DDH搭載機では、その隣に、ESSMを誘導するためにやや小さなXバンドのアンテナが各1面ずつ追加装備された。これはタレス社のAPARシステムの一部を採用したもので、あわせて、ESSMを誘導するためのICWI(間欠連続波照射)のアルゴリズムも導入されている。なお、費用節約のため、「ひゅうが」搭載機のCバンド用アンテナのうち3面は「あすか」の試作機から流用し、1面のみ新調とした。ただしヒ化ガリウムを素材とするアンテナ素子については、性能向上を図るため、全体のおよそ1⁄3が新調された。 また、FCS-3の多機能レーダーが新型の戦術情報処理装置であるOYQ-10 ACDS(Advanced CDS)と組み合わされている事も大きな改良点であり、これによりFCS-3搭載艦の戦闘能力の大幅な向上が図られている。OYQ-10の特徴は、オペレーターの判断支援および操作支援のため、予想される戦術状況に対応して、IF-THENルールを用いて形式化されたデータベースに基くドクトリン管制を採用している点にある。これによって、オペレーターの関与は必要最小限に抑えられ、意思決定は飛躍的に迅速化される。FCS-3とOYQ-10は、新対潜情報処理装置(ASWCS: Anti Submarine Warfare Control System)、水上艦用EW管制システム EWCSとともに、新戦闘指揮システムATECS(Advanced Technology Combat System)を構成する。また、システムに商用オフザシェルフ(COTS)を多用したのも改良点である。 FCS-3は多機能レーダーとしての機能を備えるものとして開発されたことから、射撃指揮だけでなく対空・対水上捜索レーダーとしての機能も有しており、各種レーダーを一本化して護衛艦に搭載するシステムをコンパクト化することが出来る。またひゅうが型のFCS-3及びOYQ-10では、ヘリコプター搭載護衛艦として必要な艦載ヘリコプターの飛行管制機能も付与されている。
※この「ひゅうが型への搭載」の解説は、「FCS-3」の解説の一部です。
「ひゅうが型への搭載」を含む「FCS-3」の記事については、「FCS-3」の概要を参照ください。
- ひゅうが型への搭載のページへのリンク