仲裁条項
【英】: arbitration clause
仲裁とは、当事者間のなんらかの合意に基づいて第三者(仲裁人)を選任して、その者の判断によって紛争の解決を図る手続である。当事者の合意がなければ行われない点で訴訟と異なり、仲裁の結果を当事者が拒否できない点で調停と異なる。売買契約、プラント輸出契約、資源開発契約などの国際契約では、契約に関して将来に生ずる可能性のある紛争を仲裁で最終的に解決することに合意する仲裁条項を設ける例が多い。仲裁条項では、仲裁の対象となる紛争の範囲、仲裁のための手続、仲裁地、仲裁機関、仲裁規則などを指定するのが普通である。よく利用される仲裁機関・仲裁規則としては国際商業会議所(ICC)、米国仲裁協会(AAA)、わが国の国際商事仲裁協会(JCAA)、国際連合商取引法委員会(UNCITRAL)およびこれら機関による仲裁規則がある。また社会主義国における取引上の紛争はその国の商業会議所の商事仲裁部に付託される。仲裁条項には通常、上記各機関の規則に共通する次のような手続が決められている。 当事者の一方は仲裁による解決を求めるときは 1 名の仲裁人を選任して相手方に通知し、相手方にも仲裁人の選任を請求する。相手方は所定期間(例えば 60 日)以内に自分方の仲裁人を指名する。この指名を行わないときは、申し立て側はあらかじめ定められている特定人(例えば国際商業会議所所長)に仲裁人の指名を求めることができる。両仲裁人は第三の仲裁人を選任するが、一定期間内に合意に達しないときは両当事者は特定人 (例えば国際商業会議所所長)にその指名を依頼する。仲裁は仲裁人の多数決により、その裁定は最終的なものとして両当事者を拘束する。国際契約において裁判によらずに仲裁手続がよく利用されるのは主に次のような理由による。(1) 仲裁にはその分野の専門家が当たるので、裁判官が解決する場合と比べて、専門知識が活用できる。(2) 仲裁は手続が自由であるため、証拠調べなどの実施が容易であり、使用言語も自由に決定できるため、時間・費用の面で有利である。(3) 仲裁手続は非公開であるため、内容が企業秘密に関するような場合有利である。(4) 外国の判決の承認・執行については条約がないが、外国の仲裁判断については 2 国間条約および多国間条約(ニューヨーク条約 1985 年など)があって仲裁判断の承認・執行が保証されている。 |

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