原油供給価格
【英】: supply price of crude oil
これは、石油会社の企業会計上の原油生産コストではなく、マクロ経済学的な概念であって、地質的あるいは地理的な一つの産油地域内である期間にわたって原油の供給量を維持ないし拡大するためにどれだけの探鉱・開発・採油費を要するかを示す指標として用いられる。このようなコストは、原油の供給量水準に対応して変化するものであるが、それを計算するためのパラメーターは、過去の実績についての統計値と石油鉱床の地質的な分布率とから推定される。石油会社の損益計算上の原油生産コストは、いろいろな会計上の規定によって操作されているので、原油生産と原価投入の因果的対応関係はゆがんでいる。また、生産要素の現在の再取得原価でなく、過去の原価資料が使われていることから、原油供給過程の収穫逓減傾向(生産コストの逓増傾向)が反映されていない。さらに、会計上のコストとして認められるロイヤルティ、鉱区レンタル、ボーナスは、経済学的にはコストではなく、むしろ利益の一部(経済地代:economic rent)を成す。原油供給コストの一部を成すべき発見費は、発見過程の不確実性のために、発見量自体と、したがって原油の供給量と因果的対応関係を正確に結論づけることはできない(あたかも製造業における研究開発費と同じことである)。その産油地域の油田の規模別分布や試掘の成功の確率から蓋然的{がいぜんてき}な発見費の大きさを推定するしかない。単位生産量に賦課すべき開発費(Z)は、開発投資(I)をそれと因果関係にある供給量(当初生産能力 q0 、その時間的減退率 D 、および全産油期間 T によって規定される)と両者間の時間的遅れを考慮して(利子率 r )対応させることによって得られる。すなわち Z=f(I, q0, D, T, r)。産油能力が指数的に減退する場合には![]() で与えられる(ただし T は十分大きいとした場合)。同様に単位生産量に賦課すべき採収費(Y)は、 ![]() で与えられる。ただし年々の採収費は一定(E)とする。 |

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