海底石油生産システム
【英】: subsea production system
略語: SPS
海底石油生産システム(SPS)とは、狭義には海底仕上げ井とフロー・ラインやマニホールドなどの海底設備で構成されるシステムであるが、一般的にはそれに生産処理・貯油・出荷の各設備を加えたものを総称していう。 SPS の基本は海底仕上げ井にある。1983 年現在の海底仕上げ井数は 218 坑であるが、その適用水深は70 ~ 120m が最も多く、180m を超えたものは 15 坑のみである。これまでの海底仕上げ井の最大水深は 307m であり、スペイン沖の Montanazo 油田で 754m の深度に設置の計画もあるが、当面 SPS の適用対象は大水深域に向かうより、プラットフォームの補助としてのサテライト・ウェルからの生産、早期生産、小規模油田の生産を目的に比較的浅い水深域で普及することになると考えられている。海底仕上げに使われている坑口装置の種類は水中に露出されているウェット型と、耐圧殻で覆い大気圧環境下に置かれるドライ型とがあるが、適用実績は圧倒的にウェット型が多い。最近では漁網対策用として坑口装置を海底面下に埋め込む埋設型も使われる。また、掘削方式もサテライト・ウェルのように独立した生産井を掘る方法と海底面に設置したテンプレートを通じて一群の傾斜井を掘る方法とがある。海底仕上げ井の坑内保守作業はワイヤーラインまたは TFL で行われるが、後者は相当実績があるもののまだ開発途上と判断されている。海底仕上げ井からの生産流体は通常、フローライン・生産ライザー(production riser)を通じて浮遊式の生産処理施設またはプラットフォームへ送られる。北海の Central Cormorant 油田ではフローラインでの圧力損失を小さくするため、海底マニホールド・センター(underwater manifold center、略称 UMC )を海底面に設置し、各坑井からの油をここで集めて口径の大きい送油ラインで近くの固定プラットフォームへ送っている。わが国においても1978 年度(昭和 53 年度)から 1984 年度(昭和 59 年度)までの 7 カ年にわたって通商産業省工業技術院の大型プロジェクトとして SPS の研究開発が行われ多くの成果を挙げている。 |

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