一意専心
「一意専心」とは、他には目もくれずひたすらひとつの物事に集中することを意味する表現である。
「一意専心」の基本的な意味
「一意専心」は「他の物事に心を動かされる事なく、ただひたすら一つの物事に思考や情動を集中させる」「脇目も振らずただひたすら一つの事に集中して取り組む」という意味合いの表現である。「一意専心」は「一意」と「専心」の2語からなる四字熟語である。「一意」は一途にひとつの事に意識を向けることであり、「専心」は心をひとつの事に集中させることである。要するに「一意」と「専心」は類義語あるいは同義語である。
アスリート、アーティスト、サイエンティストなどのように、ひたむきな努力によって才能を磨き上げてこそ大成する世界に身を投じた人は、おのずから「一意専心」の姿勢を体現している者が多いといえるかもしれない。
「一意専心」の発音・読み方
「一意専心」の読み方は「いちいせんしん」である。発音の抑揚(アクセント)は人によって異なる。語頭の「い」を強く、「ちい」を弱く読み、「せんしん」は平坦に発音するという人もあれば、一律平坦に「いちいせんしん」と読む人もある。
ひとまずは「一意・専心」という2語からなる四字熟語であって「一・意専・心」のような切り方にはならない、ということを念頭に置けば不自然な発音にはならない。
「一意専心」の語源・由来
「一意専心」という言葉が見出される最も古い文献は、古代中国の書物「管子」とされる。すなわち「一意専心」は故事成語である。「管子」は春秋時代の政治家「管仲」に仮託する形で様々な分野における思想や哲学をまとめた書物である。
「管子」の「内業篇」には、「四体既に正しく、血気既に静かにして、意を一にし心を摶らにし、耳目、淫せざれば、遠しと雖も近きが若し」という記述があり、この「意を一にし心を摶らにし」の一節が「一意摶心(一意専心)」の由来となったとされる。
《現代語訳》
四体既に正しく、血気既に静かにして、意を一にし心を摶らにし、耳目、淫せざれば、遠しと雖も近きが若し
健康な体と穏やかな心を持った状態で一つのことに集中すれば、遠くの物事を近くで感じられるほどに感覚が鋭敏化される
「一意専心」の類語
「一意専心」と同様の意味を持つ四字熟語には、「一心不乱」、「一所懸命(一生懸命)」、「猪突猛進」、「遮二無二」などが挙げられる。「一意専心」「一所懸命」「一心不乱」は、全面的に前向き(ポジティブ)なニュアンスの表現といえる。自身の理想として、あるいは他人を褒める言葉には適するが、自己評価に用いる言葉としては適さない。
「猪突猛進」は「一つのことに集中するあまり周囲が全く見えなくなる」というニュアンスを少なからず含み。「遮二無二」には「他のことを一切考慮せず、強引に事を進める」というニュアンスが含まれやすい。そのため、短所として扱われる文脈で用いられやすい。
いちい‐せんしん【一意専心】
- いちいせんしんのページへのリンク