『薤露行』に見る和漢洋の要素とは? わかりやすく解説

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『薤露行』に見る和漢洋の要素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/09 02:39 UTC 版)

薤露行」の記事における「『薤露行』に見る和漢洋の要素」の解説

ヨーロッパファンタジー日本への移入は、明治維新以降西洋文化流入とともに始まっており、日本ファンタジー作品としては、夏目漱石前に泉鏡花1873年 - 1939年)の『高野聖』(1900年)が挙げられる飛騨山中舞台とした『高野聖』は、筋立て含めていかにも日本土俗的な幻想譚であるが、物語登場する女怪ギリシア神話キルケー彷彿とさせ、しかもその描き方は、ラファエル前派見られるような、19世紀流行したファム・ファタール運命の女)的な構図に依っている。鏡花12歳から16歳まで金沢英和学校学んでおり、宣教師の妹から西洋神話伝説など教わっていた。一方1900年から1902年までイギリス留学していた漱石は、同地目の当たりにしたアーサー王伝説を、帰国そのまま西洋の話として日本語散文書いたファンタジー移入としては、鏡花漱石対照的な方法論を採ったというべきだろう。 『薤露行』の「鏡」の章のクライマックスは、シャロットの女呪いがかかる場面であり、鏡はひび割れるだけでなく、氷を砕いたように粉々になり、絹布が鏡の鉄片とともに舞い上がり、糸は千切れて女の体中に「土蜘蛛張る網の如くまとわり付くまた、凶兆として鏡の面にがかかる描写があるが、これらは能の『土蜘蛛』と関連がある。「袖」の章に登場するエレーンは「白き胡蝶」と比喩されており、胡蝶は、土蜘蛛退治源頼光病を得たときに看病する役回りである。さらにエレーンランスロット思い乱れるうちに夢と現実行き交い自問する。ここでは「胡蝶」から漢文学の「胡蝶の夢」へと連想飛翔している。このことは、エレーン死期迫っていることも意味する最終章の「舟」では、「散ればこそ又咲く夏もあり」として、エレーンの死が漢詩薤露」の最後の意味である自然の再生力示唆する。秋の季語であり、涙の比喩である「露」の言及増していることもこの章の特徴であり、このように漱石和漢洋各要素をこの作品集合させている。

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