『祭暦』とは? わかりやすく解説

『祭暦』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 08:06 UTC 版)

オウィディウス」の記事における「『祭暦』」の解説

六巻のエレギーア詩が現伝する『祭暦』(Fasti、ファスティ)は、オウィディウス追放憂き目遭ったまさにその時携わっていた二つ目野心作である。オウィディウスローマ暦年中行事韻文歌い上げるという、過去ラテン文学前例のない試み完遂させようとしたのであるが、自身追放により中断され、現伝するものは半年分、1月から6月までの六巻しかない後述する「トリスティア」2.549–52 では自分作品が六巻で邪魔されたと歌う部分がある。追放先のトミスでは、作り上げた六巻の校訂励んでいたと考えられている。『祭暦』は『変身物語』のように長詩となるはずだった。そして、カッリマコスプロペルティウスらの起源神話題材にした詩作踏襲するものとなるはずだった。 本作ローマ暦に従って重要なローマの祭起源習慣説明する。時おり神話伝承交えながら、季節に応じて天文農事に関する情報挿入される本作アウグストゥス帝の息子誉れ高きゲルマニクス」に捧げられているが、これには、当初、帝に奉呈するつもりであったが帝の崩御によってそれが叶わず急遽奉呈先をゲルマニクス変更したという事情があるかもしれない本作では、詩人は自らを司祭自己言及し、暦についてあれこれ語るため、神々直接お話お聞きしてまじめに調べる、という文学的仕掛け用いられるまた、詩人プレブス貴族好み前面出さず、祭の野卑な伝統肯定的に歌い上げている。これにアウグストゥス帝の風俗改良政策への控えめ抵抗読み取る学者もいる。ローマ時代文物史料がよく保存されているので、本作これまでのところずっとローマ宗教文化調べる者の役に立たないとされてきた。しかし近年ではオウィディウス最良文学作品であり、ラテン語エレギーア詩に類い稀な実りもたらした作品として捉えられるようになっている

※この「『祭暦』」の解説は、「オウィディウス」の解説の一部です。
「『祭暦』」を含む「オウィディウス」の記事については、「オウィディウス」の概要を参照ください。

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