『海へII』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 23:58 UTC 版)
アルトフルートとハープ、弦楽器のための『海へ』は、第1曲「夜」が映画『水俣の図・物語』のために編曲されていたが、その後1981年中に第2曲「白鯨」、第3曲「鱈岬」が同じ編成のために編曲された。このバージョン(『海へII』)は、1982年6月27日に札幌で開催された「武満徹世界初演曲 札幌特別演奏会」において、小泉浩のアルトフルート、篠﨑史子のハープ、岩城宏之指揮、札幌交響楽団によって初演された。この演奏会は札幌の月刊誌「ろんだん」の主催によるもので、『海へII』とともに『ア・ウェイ・ア・ローンII』、『夢の時』が初演されている。 武満と札幌交響楽団とのつながりは、札幌交響楽団が1976年12月の定期演奏会で岩城宏之の指揮によるオール武満プログラムを組んだことに始まっている。『海へII』が初演された演奏会のいきさつについて、武満は「札響と私」(札響=札幌交響楽団)という文章の中で次のように述べている。 この演奏会は、五年前、私の作品で行われた札響定期を聴いた、当時未だ学生だった「ろんだん」の一編集者の熱意によって、実現されることになった。この企画を耳にして、私は、演奏が札響であるという理由から、短い練習期間にもかかわらず、曲目のすべてを世界初演にしようとした。 武満はリハーサルに立ち会っただけでなく、当日はステージでトークも行った。この演奏会は同年9月に開局を控えていたFM北海道が収録し、後に全国に放送された。なお、2016年には、当時の放送で使用したテープがFM北海道で見つかり、あらためて放送が行われている。 『海へII』は、初演の翌年、1983年5月に東京と大阪で開催された、民主音楽協会主催による「第9回民音現代作曲音楽祭」において、小泉浩のアルトフルート、篠﨑史子のハープ、尾高忠明の指揮により再演されている。弦楽合奏を担当したのは、5月21日の東京公演では東京フィルハーモニー交響楽団、5月28日の大阪公演では大阪フィルハーモニー交響楽団であった。
※この「『海へII』」の解説は、「海へ (武満徹)」の解説の一部です。
「『海へII』」を含む「海へ (武満徹)」の記事については、「海へ (武満徹)」の概要を参照ください。
- 『海へII』のページへのリンク