『トゥレンの子らの最期』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 21:06 UTC 版)
近世(17世紀以降)の写本にのみ伝わる物語『トゥレンの子らの最期』によれば、題名主人公たる三兄弟(ブリアン、ヨハル、ヨハルヴァ)と、キアンら三兄弟(キアン、クー、ケータン)とのあいだには氏族間の紛争があった。キアンは、運悪くブリアンら兄弟と遭遇するが、ときは(マグ・トレドの戦い)の火ぶたが切られたばかり、内輪もめをしている状況ではなかった。キアンは豚に変身して難を避けようとした。しかしブリアンはこの変装を看破し、弟たちを魔法の杖で犬に変化させて追わせ、槍を投じて豚の姿のキアンを負傷させた。自分がキアンだと名乗る豚は、たっての願いにより、殺される前に人間の姿に戻ることを許される。ところがキアンは人間に戻るやいなや、次のような台詞を吐いた。「まんまとだましてやったぞ、お前たち。もし豚の姿のわしを殺したならば、豚の賠償を払えばよかったものを。しかし、わし自身の姿で殺すならば、古今金輪際、比肩するものない大きな賠償が支払われされることになろう。わしを殺した凶器が、犯人が誰だかわが息子(ルー)に訴えるだろう」という意味の宣告をした。そこでブリアンらは、そこらの石ころを打ちつけて証拠隠しを図った。肉塊となったキアンを埋葬したが、大地はこの同朋殺しを受け入れることを拒み、六度にわたり地上に吐き出した。結局、父親の埋められた場所をルーは突き止め、真相を察知してしまう。 ルーは賠償として、シチリア島の王の二頭の馬 、ペルシア王ピサールの持つ槍、アーサル(Easal)の七匹の豚、仔犬ファリニシュ等々を請求した。 この物語では、家系譜が古書と異なっている。物語ではディアン・ケヒトとミアハ父子(家系図参照)は登場するが、前者はキアンの父とされておらず、かわりにカンチャがキアンの父親となっている。
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