「相互主義」問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 15:30 UTC 版)
「日本における外国人参政権」の記事における「「相互主義」問題」の解説
詳細は「相互主義」を参照 相互主義とは、元々外交や通商関係において、他国民に対して自国民と同程度の待遇を条件とする考え方であった。相互主義が外国人参政権の争点となったのは、EUが欧州連合の市民」概念とともに、EU加盟国間に限定して外国人参政権を相互に認めるという基本方針を導入し、それを受けて在日韓国人の参政権付与運動および韓国政府が相互主義を掲げて、参政権付与を要求するようになってからである。韓国政府は自国において外国人参政権を在韓外国人に対して2005年に付与して以来、日本政府に参政権付与を要請しているが、日韓間での付与対象者数の非対称性の問題、したがってまた韓国は在日韓国人と政治的に連携することなど政治的利益があるのに対して、在韓日本人はほとんどいないことから、日本側に相互主義を採用するメリットはまったくなく、条件の格差について不公正とする批判もある(後述)。中国は外国人参政権を認めていない。 EU加盟国における「相互主義」 EU加盟国においては、マーストリヒト条約で「欧州連合の市民」(EU市民)の概念を導入し、その権利を相互に認めEU加盟国の国籍を持つ外国人に欧州議会と地方自治体における参政権(選挙権)を付与しなければならないことを定めており、これは「EU市民」としてのアイデンティティーの形成を目的とする。このため、各国は批准にあたりこれに対応する国内法の整備をしており、ドイツとフランスでは憲法を改正してEU加盟国の国籍者に限定して外国人参政権を与えられるようにした。この結果、ドイツにおけるトルコ人やバルト三国におけるロシア人など、EU市民とそれ以外の外国人の待遇の差として新たに問題化することがある。EUに先立ち1970年代から「北欧市民権」と呼ばれる形で相互に地方参政権を認めていた北欧諸国は、互恵国民とその他の外国人との待遇差が問題となり、互恵型から定住者一般に認める方向に移行した。 日本における外国人参政権付与対象者 日本の議論において、従来、外国人参政権の付与の対象者は「特別永住者」を予定していた。だが、民主党が「特別永住者」に加えて「一般永住者」も対象者に加える提言が発信されて議論された(「対象」節参照)。 特別永住者の国籍別人数は、「韓国」「朝鮮」300,786人(98.8%)、台湾1,141人(0.36%)、アメリカ835人(0.27%)、中国825人(0.26%)、その他843人(0.028%)であり、一般永住者の国籍は、中国が283,281人(35.1%)、フィリピンが133,188人(16.5%),ブラジルが112,341人(14.0%)、韓国が72,473人(9.0%)、ペルーが33,375人(4.1%)、台湾22,265人(2.8%)、タイが20,720人(2.6%)、ベトナムが18,475人(2.3%)である。 以上の永住者の主要な国籍について「相互主義」を検討してゆく。
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