赤穂市 歴史

赤穂市

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/04 06:04 UTC 版)

歴史

江戸時代まで

赤穂市域では旧石器時代の遺跡・遺物は確認されておらず、赤穂市で人間の活動が確認できるのは縄文時代早期(西有年・馬路池遺跡)以降のことである[13][14]

縄文時代後期以降には市北部の有年地区を中心に集落の増加がみられ、弥生時代中期に入ると大規模な集落(東有年・沖田遺跡、有年原・田中遺跡)が出現する。

弥生時代から古墳時代には、有年原・田中遺跡墳丘墓群(弥生時代後期)や有年牟礼・山田遺跡方形周溝墓群(弥生時代終末期)、放亀山1号墳(古墳時代前期・前方後円墳)、蟻無山1号墳(古墳時代中期・帆立貝形古墳)など、大型の首長墓・首長墳が複数築かれているほか、飛鳥時代から平安時代にかけても市北部の有年地区に遺跡が集中している。

ちなみに福浦地区を除く市域をはじめとする旧赤穂郡(現在の赤穂市・相生市・上郡町域)は古代の令制国における播磨国に属したことが平城宮・京跡出土木簡から判明している[15]。また、『和名類聚抄』では播磨国赤穂郡の項に八つのが挙げられており、そのうち「坂越」は赤穂市坂越、「周勢須世」は赤穂市周世、「大原」は赤穂市西有年もしくは有年原に比定されている[13]

奈良時代から平安時代になると千種川からの土砂の堆積により千種川河口部(現在の市街地付近)の陸地化が進行し、徐々に集落が営まれるようになり、東大寺などが管理する荘園(石塩生荘)も成立した[13]

中世(15世紀中頃)には加里屋(現在の赤穂市加里屋)に「古城」とよばれる砦が築かれるなど、千種川河口部の集落の拡大が進む。このころ赤穂郡は赤松氏の支配下にあったと考えられている[16][17]

慶長年間には、赤穂は池田長政の領地となり「掻上城」が築かれる。その後、垂水半左衛門勝重による郡代支配などを経て、池田政綱元和元年(1615年)に入封し、天正年間に一時的に行われた生駒親正の赤穂支配以来、改めて赤穂藩が成立した。ちなみに福浦地区については江戸時代を通じて岡山藩領となっている[16][17]

その後、正保2年(1645年)に2代藩主池田輝興の改易に伴って浅野家が入封する。しかし3代藩主浅野長矩赤穂事件によって元禄14年(1701年)に改易された。その後永井直敬が一時的に入封するもすぐに転封となり、宝永3年(1706年)に森長直が入封、明治4年(1871年)廃藩置県まで森家が赤穂藩主となった[16][17]

明治年間

廃藩置県後、赤穂藩領であった市域の大部分は赤穂県、岡山藩領であった福浦地区は岡山県となった。赤穂県は飾磨県を経て兵庫県に編入された[16][17]

昭和年間

行政区域の変遷

赤穂郡上郡町との間で合併協議を行っていたが、2007年(平成19年)9月に行われた住民投票で合併反対票が賛成票を大きく上回った。これを受けて、上郡町との合併は断念された。


注釈

  1. ^ 赤穂事件発生は旧暦の12月14日で太陽暦では1月下旬になる。
  2. ^ 最近は日本近海での塩の生産が困難となったため、生産元のひとつではオーストラリアシャーク湾の海水をもとに作られた塩を輸入し日本国内で生産されたにがりを合わせる形で塩を生産している[1]

出典

  1. ^ 「赤穂の天塩」のこだわり 株式会社天塩 2019年1月5日閲覧
  2. ^ 10立方メートル使用時の月額料金は367円で、国内最高値の群馬県長野原町の3510円と比べると約10倍の格差がある。2014年(平成26年)日本水道協会調べ。
  3. ^ 神吉和夫、箟源亮、多渕敏樹、中西英之、広山堯道「赤穗水道の沿革と現状」『日本土木史研究発表会論文集』第1巻、土木学会、1981年、78-83頁、doi:10.11532/journalhs1981.1.78 
  4. ^ ◆コラム◆ 赤穂上水道について 赤穂市教育委員会
  5. ^ 「日本第一」の塩を産したまち 播州赤穂
  6. ^ 荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~
  7. ^ a b c d e 赤穂は「あかほ」、忠臣蔵でも「あかほぎし」 では、いつから、なぜ「あこう」に?”. 神戸新聞. 2021年11月25日閲覧。
  8. ^ (4797) Ako = 1978 VY9 = 1985 QB4 = 1989 SJ”. 2022年7月5日閲覧。
  9. ^ 赤穂市中心に巨大カルデラ 8200万年前に形成 神戸新聞
  10. ^ 巨大カルデラ兵庫・赤穂に 阿蘇や姶良に匹敵、産総研 神戸新聞
  11. ^ 赤穂市は恐竜時代のカルデラの中にできた町だったことが判明 産総研
  12. ^ 兵庫に巨大カルデラ=白亜紀後期に噴火の跡-産総研 時事通信社
  13. ^ a b c 『赤穂市史』第一巻. 赤穂市. (1981) 
  14. ^ 『赤穂市史』第四巻. 赤穂市. (1984) 
  15. ^ 木簡庫 奈良文化財研究所:詳細”. mokkanko.nabunken.go.jp. 2019年7月27日閲覧。
  16. ^ a b c d 『赤穂市史』第二巻. 赤穂市. (1983) 
  17. ^ a b c d 国史跡赤穂城跡(兵庫県赤穂市) 公式Webサイト”. 赤穂市教育委員会. 2019年7月28日閲覧。
  18. ^ 1976年(昭和51年)9月11日夕刊、3版、9面
  19. ^ 旧・中三原、門三原村は赤穂浅野氏の領地。いじめ問題にも積極的に取り組んでいる。
  20. ^ 農村歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」が活発に上演される。
  21. ^ 赤穂民報「小豆島2町と災害支援など連携へ」(2017.1.28)
  22. ^ ともに吉良義央を絶命させた功労者・武林隆重の祖父・孟二寛の出身地。
  23. ^ グラントウキョウノースタワー内に吉良邸在宅者の供養碑など。
  24. ^ 栗崎道有邸に義央と戦死者の墓および追悼塔。
  25. ^ 市谷筑土八幡町に吉良家関係者の供養施設。
  26. ^ 巣鴨の慈眼寺に小林央通と曽孫・葛飾北斎の墓。
  27. ^ 旧・人見村は吉良氏の領地。
  28. ^ 市内に吉良の男系子孫・米沢藩の飛び地あり。色部安長と子孫・色部久長の顕彰碑。
  29. ^ 「吉良家文書」を松浦家が保管。また、松浦清による著書『甲子夜話』が現存。
  30. ^ ただし、吉良の男系子孫である現当主は12月14日に先祖・戦死者の供養のみならず、2月4日には義士の供養もされており、サミットなどの行事にゲスト参加の場合がある。
  31. ^ 駒澤大学名誉教授・廣瀬良弘『禅宗地方展開史の研究』など(金石文『曹洞宗全書』より)。明治に民間から海外に流出したとされる(ウイーン美術館)。当時の住職による義士遺品の無断売却とは無関係。
  32. ^ 浅野内匠頭の遺品について赤穂市への返還問題があり、浅野氏による散逸責任を理由に一般公開もされていない。
  33. ^ 赤穂民報「イタリア大使館で義士慰霊祭」(2015.12.5)ほか
  34. ^ 明星院義士祭は市の主催でなく、あくまで特定の宗教法人が実施するイベントとしての扱い。
  35. ^ 『平成9年 忠臣蔵サミット』」資料より「忠臣蔵ゆかりの地」(赤穂市)
  36. ^ 雲火焼、料理彩る 江戸期赤穂で生まれた幻の陶器 神戸新聞
  37. ^ 赤穂緞通(あこうだんつう) 赤穂市
  38. ^ 赤穂緞通について 工房ひぐらし
  39. ^ 当時の泉岳寺住職により、義士遺品の大半が売却されてしまっている。勝部真長1994『日本人的心情の回帰点 忠臣蔵と日本人』(PHP研究所)p.169-73
  40. ^ 「原惣右衛門(元辰)が使った可能性のある脇差が発見」読売新聞・地方版(2009.11.14)
  41. ^ 「近松勘六行重 吉良邸討入りで使用したと伝わる槍を子孫が奉納」赤穂民報(2010.12.13)
  42. ^ 池田輝興は岡山、永井直敬は岩槻にて死去したため、池田家永井家の墓は花岳寺に無い。(『播州赤穂 台雲山花岳寺』より「境内案内」)。また、森家は森長孝の代に臨済宗に改宗しており、長孝から十一代・忠典まで花岳寺を使用していない。それでも、現当主の森可展は森家の供養に参加されている(「赤穂民報、2013年5月19日」)。
  43. ^ 後藤仁公式ホームページ「後藤 仁(GOTO JIN)のアトリエ」後藤仁公式ブログ「後藤 仁(GOTO JIN)の制作・旅日誌」
  44. ^ 釣俊輔 Profile アゲハスプリングス
  45. ^ 戦国大名の赤松氏・宇喜多氏も赤穂を統治しているが、佐用・龍野などからの間接統治(宇喜多家文書「宇喜多秀家士帳」など)。
  46. ^ 国史跡赤穂城跡(兵庫県赤穂市) 公式Webサイト
  47. ^ 発掘調査ではその痕跡の可能性がある遺構が発見されている赤穂城跡二之丸門枡形発掘調査現地説明会資料”. 赤穂市教育委員会. 2019年8月2日閲覧。
  48. ^ 中山成彬Twitter@nakayamanariaki(午前9:10 · 2013年7月6日)
  49. ^ 小池百合子「自宅で親を看取る」(幻冬舎、2014年)






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