果樹王国 果樹王国の概要

果樹王国

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/11/29 08:48 UTC 版)

スイカメロンイチゴなどの野菜も含めた果物にまで範囲を広げた「くだもの王国」「フルーツ王国」との呼称を用いる例も見られる。

概要

都道府県別では特に、青森県山形県福島県山梨県長野県和歌山県愛媛県が果樹王国の代表格であり、全国的にその名を発信しブランド力を高めている。もっとも山梨・和歌山両県は農地に対する水田[注 1]の比率が非常に低く、相対的に農作物作付面積、農作物生産量、農業出荷額に占める果樹の比率が高い[注 2]。そのため果樹栽培に比重がかかり、農協などで品種改良、新ブランドの育成などに注力する傾向が強いことが、王国の地盤を支える礎となっている。一方、同じく果樹栽培が盛んな山形県は庄内地方などを中心に全国上位クラスデ稲作も盛んであるため、比率は相対的に低くなっている。

その一方で果樹比率が極端に低い自治体は富山県福井県滋賀県兵庫県であり、これらの自治体は水田面積が9割以上を占めている。

「果樹王国」という言い回しの初出は不明だが、古い例では1930年代に「果樹王国」という雑誌が鳥取県園芸会から発行されていた[1]。また、1944年(昭和19年)8月14日秋田魁新報の記事にも見られる[2]縄文時代には三内丸山遺跡の集落内で当時の主食の1つであるクリの純林が数百年に渡って維持・管理されていたことが分かっており[3]、日本において果樹栽培は古くから行われてきたが、10世紀前半(平安時代)に成立した「延喜式」では「諸国貢進菓子」(当時、菓子は果物等を指した)として、納入すべき菓子(クリ・ヤマナシアケビほか)を別に定めており[4]、地域毎の特産化(ブランド化)も見られる。現在の果樹産地は江戸時代からの歴史がある例や、扇状地里山などの果樹園適地での栽培が見られるものの、明治や戦後の入植地での開拓高度経済成長期以降の平野での稲作からの転作における農業指導によって産地となったところもある。結果、自治体の範囲でみると複数の果樹が特産化していて、ある1つの果樹に絞り込めない場合に広く「果樹王国」とPRしている。

各県の特徴

青森県

青森県は全国一のりんご産地であり、りんご王国と名乗ることは多い。生産果樹の9割以上をりんごで占めており、主に岩木山東麓の津軽平野近辺が主産地となっている。弘前市では全国の約20%を生産しており、全国1位の生産量を誇る。また、りんごの他にも北津軽郡鶴田町を中心にぶどう(全国9位)、三戸郡南部町を中心に桜桃(全国3位)、同町を中心に西洋なし(全国2位)などの栽培が行われているが、りんごの知名度の陰に隠れている。

山形県

山形県は置賜・天童地方を中心にさくらんぼの栽培が盛ん。中でも桜桃(サクランボ)の生産量は日本一であり、厳密な品種管理の元でブランドが守られている。主な産地は東根市寒河江市。その他セイヨウナシの栽培も盛んであり、天童市などが主産地。他にはスイカ尾花沢市)、リンゴ西村山郡朝日町西置賜郡白鷹町など)、ブドウ南陽市)、和梨鶴岡市)、(東根市)、メロン酒田市、西村山郡河北町など)などが特産地として知られ、種類が豊富である。1994年(平成6年)3月に東根市が「果樹王国ひがしね宣言」を行った[5]

福島県

「果樹王国」はしばしば福島を指しても用いられ[6][7][8][9]全国農業協同組合連合会福島県本部では「果樹王国ふくしま」と表記する場合が見られる[10]。また、福島市は「フルーツ王国ふくしま[11]」「くだもの王国ふくしま[12]」も使用している。

福島県では主に福島盆地で果樹の生産が盛んである。多様な果樹が栽培されているが特にモモの一大生産地であり、福島県中通り及び会津地方を含めた福島県内陸部で広く桃の生産が盛んである。市町村別で福島市が全国1位の生産量を誇るナシ(梨)や、リンゴ・ブドウ・ウメ・さくらんぼ・西洋なしなど多様な果樹が生産されている。会津地方では「会津身不知(あいづみしらず)」という。福島県浜通り相馬市いわき市ではイチゴの生産が盛んに行われている。伊達市では硫黄で燻蒸して渋抜きするという独特の製法をとるあんぽ柿が有名がある。

山梨県

山梨県は山形、和歌山と比較すると栽培果樹の種類こそ少ないものの、農業に占める果樹の比率は非常に高く、和歌山に次ぐ。その山梨で有名な産物はブドウ、およびであり、いずれも生産量が全国一である。ぶどうはそのまま消費されるほか、ワインなどの加工品として消費されることも多く、主産地である甲州市勝沼ワインの産地としても名を馳せている。また、桃は笛吹市などが主産地となっており、贈答品のほか缶詰などにも加工される。他に笛吹市、甲州市では富有柿や枯露柿など柿の栽培も盛ん。

和歌山県

和歌山県は日本で最も農業における果樹比率が高い果樹生産大国であり、農業用地比率で測れば60%を超過する。みかんハッサクの生産量は日本一。主産地はウメを除いて、ミカン栽培が盛んな有田郡和歌山市南東部に至る中山間部地域、および県北部の紀ノ川沿岸に広がっており、これらは稲作に適さない土地に分布している(もっとも、県内で一番稲作が盛んなのも紀ノ川沿岸であるが、土壌は異なる)。この一帯ではミカンの他、伊都郡ではカキ紀の川市ではモモの生産が盛んであるが、他にスモモキウイフルーツ(紀の川市)・イチジクビワブドウなども盛んに栽培されており、新たな特産地となっている。また、生産量こそ圧倒的に少ないものの、東牟婁郡北山村ではじゃばらという果樹が栽培されている。このじゃばらは全国のみならず、世界でも北山村でしか栽培されていない。

愛媛県

愛媛県は樹園地の面積が静岡県(静岡県の樹園地面積が広いのは、茶畑を含むため)に次いで広く、その中で主な特産となっているのが温州ミカンを始めとする柑橘類全般である。中でもミカン栽培は和歌山県、静岡県と並んで盛んな自治体として知られる。また、キウイフルーツの栽培が盛んであり生産量は日本一。他に中山栗は有名な栗のブランドとして知られる。


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