日本の新聞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/26 07:24 UTC 版)
印刷の変遷
日本の新聞の歴史は、紙などが庶民に普及し出した江戸時代に見る事が出来る。有名な物では、瓦版と呼ばれるもので、亙に文字を彫り込み、凹版印刷の要領で多量に印刷し、作る物である。
明治期になるとヨーロッパなどから活字印刷技術が導入され、凸版印刷が主流になる。
昭和中期に入ると鉛板に活字を彫り、1枚の板状の凸版印刷となる。
昭和後期から平成期になると、印刷にコピー機の原理が加わる。レーザーを使用したフィルムプリンタの登場により、新聞紙面大のフィルムに文字を焼き付け、現像。ネガであるため白抜きの文字になる。以下は、液体コピー機の原理と同じである。作成したフィルムをフィルタとして大型の感光ドラムに照射し、感光ドラムまたは感光フィルム(以下感光体)の表面電位を変化させ、感光体に文字を電位変化という形で作成する。次に液体トナーと呼ばれるインク物質を感光体に触れさせ、電位変化のあった感光体の文字部分にインクを付着させる。次に紙と触れさせ転写を行う。カラー印刷を行う場合は、4色の色別に印刷機が組み合わされる。
また、新聞の印刷は1980年代前半ごろまでは鉛版[11]を使い、手作業で紙面を製作していったが、1980年代後半以後からは、CTS(コールドタイプシステム)という方式を採用し、紙面作成のイメージをDTPで組み立てるようになり、紙面作成・印刷までの時間の大幅な時間短縮にもつながった。更に、同時期ごろまで、全国紙の場合は、主に発行本社が所在する北海道(札幌市)、東京都(千代田区・中央区)、愛知県(名古屋市)、大阪府(大阪市)、福岡県(福岡市・北九州市)か、それに近い近隣府県の印刷工場で印刷を行い、そこから航空便、船便、鉄道輸送を使って遠隔地に向けて新聞を配送していたため、遠隔地や離島では、情報格差の開きが懸念され続けたが、1980年代後半以後は、印刷技術向上が進み、地方都市に自社印刷工場を建設したり、あるいはコスト削減の目的で地方紙と提携し、地方紙の印刷工場を使い、電話回線(NTTデジタル回線網)や、通信衛星を使って[12][13]、現地印刷による紙面発行が可能となり、情報の格差縮小にもつながっている。特に日本経済新聞は自社工場のほか、地方紙への委託印刷を積極的に進めている(当該項参照)。
注釈
- ^ 当初は西日本基盤の「ブロック紙」であったが、同年3月に東京発行を開始、「準全国紙」に発展した。
- ^ スポーツ紙、夕刊紙、機関紙を含む。
- ^ 『読売新聞』の場合、株式会社読売新聞東京本社、株式会社読売新聞大阪本社、株式会社読売新聞西部本社の3社が、同じ紙名の新聞をそれぞれ発行している。ちなみに3社とも株式会社読売新聞グループ本社の完全子会社である。
- ^ 1990年から2006年まで550万部のままである。
- ^ 聖教新聞社は宗教法人創価学会の出版部門であり、法人格を持たない。
- ^ 公称。
- ^ 日本新聞協会未加盟。
- ^ 『日刊スポーツ』の場合、株式会社日刊スポーツ新聞社、株式会社日刊スポーツ新聞西日本、株式会社北海道日刊スポーツ新聞社の3社が同じ紙名の新聞をそれぞれ発行している。
- ^ 『スポーツ報知』の場合、株式会社報知新聞社、株式会社読売新聞東京本社中部支社、株式会社スポーツ報知西部本社の3社が、同じ紙名の新聞をそれぞれ発行している。
- ^ 政党の指導機関である。
- ^ 『佼成新聞』の発行は、日刊ではなく週刊である。
- ^ 佼成新聞社は宗教法人立正佼成会の出版部門であり、法人格を持たない。
- ^ 週間政党機関紙。
- ^ 『デイリースポーツ』の場合、2012年11月までは株式会社神戸新聞社(2010年2月までは「株式会社デイリースポーツ社<初代>」)、株式会社中四国デイリースポーツ社(現・「株式会社デイリースポーツ<2代目>」の2社が、同じ紙名の新聞をそれぞれ発行していた。
- ^ 中日系4紙全体合計にすると4位相当の数値となる。
- ^ 『中日新聞』、『東京新聞』、『北陸中日新聞』、『日刊県民福井』は、それぞれ紙名が異なるが、全て株式会社中日新聞社(うち、東京新聞は東京本社、北陸中日と県民福井は北陸本社)が発行している。
- ^ 産経系の2紙は、過去には子会社の発行だった時期があるが、その後合併により直轄化した。
- ^ 藤沢周平『新聞小説と私』、『ふるさとへ回る六部は』新潮文庫所載。なお藤沢の新聞小説はこの発表当時6篇と少ない。新聞小説は特定の作者が多数執筆する傾向があり、例えば井上靖は生涯で29作を掲載している。尚、藤沢は長い闘病歴があるなど体が弱く、井上は元柔道選手であった。
出典
- ^ 文化庁著作権保護期間
- ^ 文化庁新聞の著作権
- ^ 『海外新聞』 - コトバンク
- ^ 梶原, 滉太郎 (1982年3月). “新聞の漢字含有率の変遷 : 明治・大正・昭和を通じて”. 国立国語研究所. doi:10.15084/00001314. 2022年5月13日閲覧。
- ^ 塙叡「日本歴史歳時記」『東京工芸大学工学部紀要. 人文・社会編』第21巻第2号、1998年、62 - 69頁、CRID 1050001202678853760、ISSN 03876055、NAID 110001165825。
- ^ 『日露戦争 勝利のあとの誤算』 文春新書 文藝春秋 黒岩比佐子 ISBN 4166604732
- ^ 新聞で見る阿波踊り「戦後の再出発」、戦時期の山梨 10 「持分合同」 参照
- ^ 日本新聞報 日本新聞連盟
- ^ 旧・新聞倫理綱領 2013年4月29日閲覧。
- ^ 日本新聞協会. “新聞倫理綱領”. 2013年4月29日閲覧。
- ^ 「紙型と鉛版」(日本新聞協会)
- ^ 衛星通信を効率的に使用した新聞紙面伝送システム(日立製作所社内報「日立評論」1992年第7号(通算74号))
- ^ 松山修二「最近の紙面電送」『電子写真学会誌』第25巻第2号、日本画像学会、1986年、192-199頁、doi:10.11370/isjepj.25.192、ISSN 0387-916X、NAID 130004484369。
- ^ 『昭和を騒がせた漢字たち』, p. 39.
- ^ 『昭和を騒がせた漢字たち』, p. 47.
- ^ 『日本新聞年鑑 '91』205頁 および 『日本新聞年鑑 '92』208頁。
- ^ 『日本新聞年鑑 '01/'02』168頁 および 『日本新聞年鑑 '02/'03』170頁。
- ^ 『日本新聞年鑑 2022』、120、179、213、228、234、237、241、254、259、261、268、271頁。
- ^ 鈴木伸男 (2016年2月15日). “連載:親子で楽しむ日々の新聞活用 56回 日により異なるページ数”. KKS Web News. 教育家庭新聞社. 2020年1月26日閲覧。
- ^ 鈴木伸男 (2013年12月2日). “連載:親子で楽しむ日々の新聞活用 36回 夕刊を読む(2)―三紙を読み比べよう”. KKS Web News. 教育家庭新聞社. 2020年1月26日閲覧。
- ^ 「メガ文字」3月31日スタート
- ^ 読売が実質20%値上げ 「10年後の若者より目先の老人」選択 MyNewsJapan
- ^ 新聞の文字が大きくなった 読売ADリポート 三田村和彦 2008.7
- ^ 大きくなった新聞の文字 日本著者販促センター
- ^ 「メガ文字」で新聞離れを止められるか
- ^ 広告業界トピックス 新聞紙面「15段」から「12段」への移行が活発化 2014年3月号 宣伝会議
- ^ 信濃毎日新聞の文字が大きくなります
- ^ “政府から国民へ-広報活動”. 内閣府. 2009年3月15日閲覧。
- ^ a b c d e f “メディアデータ | 読売新聞広告局ポータルサイト adv.yomiuri”. adv.yomiuri.co.jp. 2021年8月23日閲覧。
- ^ “21年1〜6月平均ABC部数”. 新聞情報. (2021年5月18日)
- ^ “広告掲載について”. スポーツニッポン新聞社. 2018年12月10日閲覧。
- ^ “広告ガイド : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2018年12月10日閲覧。
- ^ “広告のご案内”. 東スポWeb - 東京スポーツ新聞社. 2018年12月10日閲覧。
- ^ “産経新聞 媒体資料インターネット版”. www.sankei-ad-info.com. 2018年12月10日閲覧。
- ^ a b 22年3月ABC部数
- ^ a b c 都道府県別上位3紙(朝刊販売部数・世帯普及率) 読売新聞社(ABC部数) 2019年1月-6月平均
- ^ a b “令和元年7月21日執行参議院議員通常選挙結果調 | ファイルから探す | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口”. www.e-stat.go.jp. 2021年8月21日閲覧。
- ^ 中国新聞発行部数 2021年8月23日現在
- ^ 西日本新聞広告ナビゲーション 2020年1月〜6月平均
- ^ 神戸新聞社 会社概要 2021年10月ABC平均
- ^ 信濃毎日新聞社広告局 2020年10月
- ^ “日刊工業新聞 事業紹介”. 2021年8月24日閲覧。
- ^ a b c d “Approach|中日新聞社広告局メディアガイド”. adv.chunichi.co.jp. 2021年8月23日閲覧。
- ^ 河北新報 MEDIA GUIDE 2021年1〜6月平均
- ^ 京都新聞COM営業戦略推進室 2021年8月
- ^ “日刊建設工業新聞 メディアガイド”. 2021年8月24日閲覧。
- ^ 専門紙部数 アヴァンス
- ^ “日本農業新聞 メディアデータ”. 2021年8月24日閲覧。
- ^ “下野新聞 紙面広告”. 2021年8月24日閲覧。
- ^ 新聞の発行部数と世帯数の推移 日本新聞協会
- ^ “新聞の発行部数と世帯数の推移(2023)”. 日本新聞協会. 2024年2月13日閲覧。
- ^ 2016年8月3日・朝日新聞東京本社最終版紙面ビュアーを参考
- ^ 岩瀬達哉『新聞が面白くない理由』講談社、1998年。ISBN 4062088576。全国書誌番号:99013570。
- ^ “新聞奨学生 新聞が書かない新聞の闇”. 川名ゆうじ武蔵野市議 (2014年7月18日). 2014年7月20日閲覧。
- ^ 山田智彦『蒙古襲来 下』講談社文庫版あとがきによる。なお連載は2年で終了した。
- ^ 地方の新聞を調べる
- 日本の新聞のページへのリンク