神道の理論化と本地垂迹説とは? わかりやすく解説

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神道の理論化と本地垂迹説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/27 04:39 UTC 版)

神道の歴史」の記事における「神道の理論化と本地垂迹説」の解説

知識階層においては神道教義化・内化する動き広がった。その嚆矢は、平安時代中期ごろより密教僧が密教語彙により形成した両部神道説であり、その最初期の例である真言宗の僧・成尊が11世紀著した真言付法纂要抄』では天照大御神大日如来が一体であり、日本こそが密教流布相応しい地であると主張され中世神道説における主要な概念ここから導き出されることとなったその後1186年文治2年)の重源による伊勢神宮参籠はじめとして僧侶による伊勢神宮参拝相次いで行われるようになり、伊勢神宮御厨のあった仙宮院を中心に両部神道書が大量に著述されようになった。その最初期のものと思われるのが、『三角柏伝記』『中臣祓訓解』である。これらの書物において、伊勢神宮内宮外宮密教における胎蔵界と金剛界に配され両宮地上出現した曼荼羅見立てられ天照大御神光明大梵天王であり日天子豊受大神は尸棄大梵天王であり月天子とされた。その後、『麗気記』が編纂され、真言密教に基づく秘説集成し両部神道の代表書となった。 さらに、寺院において神道書関連する切紙などが成立するうになると、これを相伝する両部神道系の神道流派が形成されるようになり、守覚法親王始祖とする三宝院御流や、三輪山周辺平等寺において展開した三輪流などが成立するこのような両部神道系の諸流においては、その秘事伝授にあたり密教倣った灌頂伝授が行われ、これを神道灌頂と言った真言密教のみならず天台宗立場からも神仏習合思想に基づく神道説が生じた。その基本は、比叡山守護神ある日大社意義天台教学基づいて説明するものであり、これを山王神道呼称する。 13世紀には、『耀天記』が著され、日吉大社大宮西本宮)は末法小国ある日本の衆生を救うために釈迦大明神として垂迹したものであるとされた。さらに14世紀には義源が『山家要略記』を著して本宮のみならず山王七社全てが仏の垂迹であると主張したその後、義源の弟子光宗が『渓嵐拾葉集』を著して天台教学全て山王に結びつけて教義体系化した上で山王明神人々の心に備わっているのであるとした。また、衆生修行をせずともすでに悟り開いているという天台本覚思想流行相まって衆生に近い日本の神こそが本地であり、仏が神の垂迹であるという反本地垂迹説もこの書物の中で主張されている。なお、天台宗における神道論は、主に記家呼ばれた僧の集団によって担われたものである鎌倉時代後期には、東大寺あるいは南都において、三社託宣という掛物成立した。これは、天照皇大神八幡大菩薩春日大明神三社託宣として、正直・清浄慈悲教条漢文体書き記したのである。この三社とりわけ信仰対象となったのは、天皇祖神である天照大御神武家清和源氏)の氏神である八幡神公家藤原氏)の氏神である春日神三神が、神代において幽契結んでおり、現世において天皇武家公家協調して政治を行うことが神代より定められていたという信仰よるものである。 中世神仏習合思想浸透の中で、各神社では縁起多く作成されるようになり、多く神社縁起縁起絵巻作成された。『春日権現現記』や『北野天神縁起』『八幡愚童訓』などが著名で、14世紀成立した神道集』にはそういった説話類が集められている。中世入って朝廷衰微し武家から確かな庇護を受けるためにこのような縁起類が作成されたと考えられるまた、神仏習合基づいて神話再解釈する中世神話広がった。 なお、本地垂迹説傾向鎌倉時代勃興する鎌倉新仏教にも取り入れられ浄土真宗においては存覚が『諸神本懐集』を著し日本の神社を、仏を本地に持つ「権社」と、そうではない「実社」に分け、「権社」のみを崇敬するべきだと主張した日蓮宗では、日蓮自身積極的に神道取り込み日蓮の弟子日像により法華神道という形で体系化された。その思想は、日蓮提唱した法華経に基づく正法正しく行われている場合には、熱田明神筆頭とする三十番神という日本の神々が、1日交代日本護持するというものである。その他、時宗臨済宗曹洞宗でもそれぞれの態度基づいて本地垂迹説受容された。

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