地球システムの指標
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/21 22:12 UTC 版)
「グレート・アクセラレーション」の記事における「地球システムの指標」の解説
大気中の二酸化炭素濃度、亜酸化窒素、大気中のメタン濃度、オゾン層破壊物質による成層圏オゾンの損失、北半球の平均気温の異常、海洋酸性化、海洋における漁獲量、エビの養殖量、沿岸域の窒素、熱帯雨林と森林地域の喪失、土地利用の増大、陸上の生物種の推定絶滅率となる。 人口増加と持続可能ではない消費活動によって、化石燃料の使用による二酸化炭素濃度、農業や工業による土壌中の窒素濃度、家畜による空気中のメタン濃度、南極圏のオゾン層破壊、気温上昇、漁業資源の減少などが続いた。 二酸化炭素濃度 1960年代以降に二酸化炭素排出は年間約40億トンから約90億トンに増加した。21世紀以降は世界各国が二酸化炭素排出の削減に向けて協力を進めたが、排出量は20世紀よりも急増し、産業革命前の280ppmから2014年の400ppmとなり、過去80万年の中で最多となった。 亜酸化窒素濃度 化石燃料燃焼や農業によって上昇する。人工肥料の窒素が土壌に残ると、河川や沼沢地、海洋に流れ込んで富栄養化による無酸素現象などの原因となる。2015年時点で1億5000万トンに達している。 大気中のメタン濃度 畜産によって大気中のメタン濃度が上昇している。15億頭にのぼる家畜のウシから大量に排出されており、牛1頭が放出するメタンガスは1日あたり160リットルから320リットルにのぼる。メタンの温室効果は二酸化炭素の25倍に達する。 海洋酸性化 海洋の酸性度は産業革命以来、30%増加している。二酸化炭素の約4分の1が海洋に溶解することが原因となっている。酸性化によって海洋生物の骨格や殻の形成が阻害されるため、サンゴ礁やプランクトンなどが絶滅する可能性がある。 漁獲量 底引網などの技術の普及で漁獲量が増加し、魚の生息数は減少した。魚の消費量は2014年時点で1950年代の4倍になっており、資源回復が必要な魚種は全世界の85%におよび、大型魚の生息数は10%となった。魚の減少によって遠洋漁業が増加し、遠方の生態系にも影響を与えている。 エビの養殖 エビの養殖は、沿岸地域の開発の代替指標として用いる。養殖場のために東南アジアではマングローブの伐採が続いた。台湾、インドネシア、タイ、ベトナムなどでは飼料や肥料によって養殖池の周辺環境が汚染される問題も起きた。海面上昇によって河口に海水が入るようになり、メコンデルタの下流では稲作が不可能になり、農民がエビ養殖への転業を強いられる場合もある。 熱帯雨林と森林地域の喪失 熱帯林の27%、温帯落葉樹林の45%が失われた。森林破壊の95%は道路から25キロメートル以内で発生しており、農業や林業と密接に関連している。熱帯雨林の森林伐採は二酸化炭素を排出し、人類の排出量の20%に達している。 人類による土地利用の増大 牧草地・農地の増加によって森林が減少する。森林の他に、草原の70%、サバンナの50%が農地に変わった。淡水の70%は農業用水に使われており、農業で栽培される植物種はモノカルチャーによって限られている。ムギ、コメ、ニワトリ、ウシなど一部の種類の動植物が全大陸で繁殖しており、生物多様性の喪失にも関係している。 陸上の生物種の推定絶滅率 2019年時点の国連の報告では、約100万種の動植物が絶滅の危機に瀕しており、生物種絶滅のペースは過去1,000万年の平均と比べて数十倍から数百倍ともいわれている。昆虫は全種類のうち40%が減少しており、数十年で絶滅する可能性がある。両生類の減少は1980年代から進み、人間の移動や貿易で広まったカエルツボカビが原因とされる。
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