vesicle
「vesicle」の意味・「vesicle」とは
「vesicle」は、生物学的な文脈では、細胞内の小さな液胞や胞体を指す。これらは細胞内で物質の輸送や貯蔵に重要な役割を果たす。また、地質学的な文脈では、火山岩や溶岩に見られる小さな空洞を指す。これらは、岩石が固まる際にガスが閉じ込められることで形成される。「vesicle」の発音・読み方
「vesicle」の発音は、IPA表記では/vɛsɪkəl/となる。IPAのカタカナ読みでは「ヴェシクル」となる。日本人が発音するカタカナ英語では「ヴェシクル」と読む。この単語は発音によって意味や品詞が変わるものではない。「vesicle」の定義を英語で解説
「vesicle」is defined as a small structure within a cell, consisting of fluid enclosed by a lipid bilayer. Vesicles can fuse with the plasma membrane to release their contents outside the cell. In geology, a vesicle is a small cavity in a volcanic rock that was formed by the expansion of a bubble of gas that was trapped inside the lava.「vesicle」の類語
「vesicle」の類語としては、生物学的な文脈では「vacuole」(液胞)や「organelle」(小器官)がある。地質学的な文脈では「cavity」(空洞)や「pore」(孔)が該当する。「vesicle」に関連する用語・表現
「vesicle」に関連する用語としては、「endosome」(エンドソーム)、「lysosome」(リソソーム)、「exosome」(エクソソーム)などがある。これらはすべて細胞内の特定の機能を持つ小さな胞体を指す。「vesicle」の例文
1.英語例文(日本語訳):The vesicle fuses with the cell membrane to release its contents.(液胞は細胞膜と融合して中身を放出する。) 2.英語例文(日本語訳):Vesicles play a crucial role in the transport of proteins within the cell.(液胞は細胞内のタンパク質の輸送に重要な役割を果たす。) 3.英語例文(日本語訳):The volcanic rock has numerous vesicles formed by trapped gases.(火山岩には、閉じ込められたガスによって形成された無数の空洞がある。) 4.英語例文(日本語訳):Vesicles are used by the cell to store and transport various substances.(液胞は細胞によって様々な物質の貯蔵と輸送に使用される。) 5.英語例文(日本語訳):The vesicles in the rock are filled with minerals.(岩石の空洞は鉱物で満たされている。) 6.英語例文(日本語訳):Vesicles can be found in almost all types of cells.(液胞はほぼ全ての細胞型で見つけることができる。) 7.英語例文(日本語訳):The vesicle transports the protein to the cell membrane.(液胞はタンパク質を細胞膜まで輸送する。) 8.英語例文(日本語訳):The size of the vesicles in the rock indicates the amount of gas present when the lava solidified.(岩石の空洞の大きさは、溶岩が固まった時のガスの量を示している。) 9.英語例文(日本語訳):The vesicle moves towards the cell membrane.(液胞は細胞膜に向かって移動する。) 10.英語例文(日本語訳):The vesicles in the cell are filled with enzymes.(細胞の液胞は酵素で満たされている。)ベシクル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/06/06 04:30 UTC 版)
ベシクルは窒素固定の場となる細胞である。このことは次の3つの証拠にもとづいて結論された ― 細胞を窒素固定能が誘導される条件に置くとベシクルが形成される、精製したベシクル画分で窒素固定活性がみられた、抗体を用いた実験において窒素固定酵素がベシクル内で検出された。ベシクルはホパノイド脂質(bacteriohopantetrolおよびそのフェニル酢酸誘導体)からなる多重膜で覆われており、これが細胞内への酸素の侵入を制限すると考えられている。機能的に類似した細胞として、窒素固定シアノバクテリアのヘテロシストがあるが、ヘテロシストの膜成分は糖脂質である。ベシクル膜の厚さは均一なことから、これらはホパノイド脂質の結晶からなると考えられている。位相差顕微鏡ではベシクルは明るい光の暈(かさ、ハロー)として観察されるが、これはベシクル膜が光を複屈折させるためだと考えられる。ベシクルは脂質に親和性の高いナイルレッドにより特異的に染色することもできる。ベシクル内部は隔壁(septum)により仕切られている。すなわちベシクルは多細胞からなっている。ベシクルと菌糸との間にはstalk cellと呼ばれる棒状の細胞が存在する。stalk cellは通常の菌糸とは異なり、ホパノイド脂質の多重膜を持つ。この膜はベシクルのものより厚い。ベシクルとstalk cellの内部には繊維状の構造物の束が観察され、ベシクルの分化と発達に何らかの関連を持つと予想されている。 ベシクル膜がガスの拡散を制限するという仮説は、次のような実験により支持されている。Murryらはベシクルを含む培養液と含まない(アンモニア存在下で培養した)培養液とを用いて、さまざまな酸素濃度下で呼吸活性を測定した。その結果、飽和レベルの呼吸活性を与えるために必要な酸素濃度は、ベシクルを含む培養液のほうが高かった。つまり、ベシクル膜は酸素の拡散を阻害するため、細胞内の呼吸鎖に十分な酸素を供給するためにはより高い濃度の細胞外酸素が必要だと解釈された。 フランキアを0.3 kPa以下という非常に低い酸素分圧(大気圧での酸素分圧は20 kPa)で培養すると、ベシクルを形成することなく窒素固定を行う。また、最高の窒素固定活性を与える酸素分圧は、フランキアを培養した酸素分圧によって変化する。20 kPaの酸素分圧で培養したフランキアは20 kPaで最高の窒素固定活性を示し、5 kPaの場合は5 kPaで最高値を示すという具合である。その際、ベシクル膜は酸素分圧が高いほど厚くなる。これらの結果は、窒素固定に最適なベシクル膜の厚さは酸素分圧により異なることを示唆する。すなわち、フランキアを培養時より低い酸素分圧に移す場合、既に作られているベシクル膜では厚すぎて呼吸に必要な酸素を十分獲得することができず、逆にフランキアを培養時より高い酸素分圧に移す場合は、ベシクル膜が薄すぎて酸素による窒素固定酵素の阻害が起こってしまう。 マメ科植物の根粒では、皮層細胞によるバリアとレグヘモグロビンによる除去により感染細胞の酸素濃度は極めて低く保たれている。対照的に、アクチノリザル植物の根粒は通気性が高く、レグヘモグロビンも持たないため、感染細胞での酸素濃度は比較的高い。フランキアはベシクルを形成することにより自分自身で酸素防御を行うため、このような好気状態でも窒素固定を行える。 根粒中でのベシクルの形態は宿主植物により大きく異なる。同じフランキア株を異なる宿主植物に感染させた実験から、ベシクルの形態は植物により制御されていることがわかった。ハンノキ(Alnus)属やグミ科(Elaeagnaceae)、一部のクロウメモドキ科の植物のベシクルはハンノキタイプと呼ばれ、free-living時に形成されるベシクルとよく似た形態を示す。すなわち、球状であり、隔壁に仕切られた多細胞で、stalkを持っている。繊維状の構造体も観察される。ベシクルの直径は4~5 μmであり、free-living時のサイズ(約2.5 μm)と比べて大きい。Alnus serrulataの場合、ベシクル膜の厚さは約65 nmで、14のホパノイド脂質層が積み重なっていた。一方Elaeagnus umbellataの場合はより薄く、39 nmの厚さで9のホパノイド層からなっていた。 セアノサスタイプのベシクルは、セアノサス属(Ceanothus)やバラ科の植物で観察され、洋ナシ型(楕円型)であり、隔壁もstalk cellも繊維状の構造体も持たない。直径もハンノキタイプより小さめである(2~4 μm)。Ceanothus americanusの観察例では、ベシクル膜の厚さは43 nmであり、8のホパノイド層からなっていた。 ヤマモモタイプのベシクルは、ヤマモモ属(Myrica)やコンプトニア属(Comptonia)の植物で観察され、こん棒型(先端ほど太い)の特徴的な形状を示す。隔壁はもつがstalk cellは持たない。ハンノキタイプのものとは若干異なるが、繊維上の構造物も観察される。Myrica ceriferaの観察例では、ベシクル膜の厚さは64 nmであり6のホパノイド層を含んでいた。 ダティスカ/ドクウツギタイプのベシクルは、隔壁を持たない単細胞で、幅が菌糸とほぼ同じ約1 μmの棒状の形状を示す。長さは3~4 μmである。ベシクルは植物のミトコンドリアに取り囲まれており、これは酸素分圧を低下させる効果があると考えられている。 他の植物とは異なり、モクマオウ属(Casuarina)とAllocasuarina属の根粒ではベシクルは観察されない。すなわち窒素固定は菌糸で行われる。窒素固定を行う菌糸は通常のものと異なり隔壁を持たない。植物の感染細胞の細胞壁はリグニン化しており、フロログルシノールにより染色される。リグニン化した細胞壁は酸素のバリアとしての機能を持つと考えられている。
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