【A-50】(えーごじゅう)
- Beriev A-50
早期警戒機Tu-126の後継機として開発されたロシアの早期警戒管制機。
NATOコードは「メインステイ」。
原型機にIL-76輸送機を使用し、胴体上にロートドームを取り付けている。
電子機器の小型化が遅れており、西側の同種機体に比べ大型で重いこともあってか、燃料満載状態では離陸出来ない。
空中給油プローブも一応備えられているが、扱いが難しいため、経験の多いパイロットにしか使用を認めていないという。
当機に搭載されている「シュメーリ」レーダー・コンプレックスの索敵能力はアメリカ軍のE-3「セントリー」と比べると、レーダーでの索敵距離が220km~240km、複数目標の追跡能力は50~60個と劣っているが、逆に地上の物体と目標との識別と低空飛行している航空機の識別能力は高いと言われる。
データの送受信は航空機や地上の管制所・潜水艦等あらゆるものと可能である。
キャビン内には戦闘機を管制する大型スクリーンが1、地上・空中の戦闘状況をモニターする小型スクリーンが複数設置されおり、いずれもデジタル化されたカラーCRTディスプレイである。
しかし、軍事的な性能とは裏腹に騒音レベルが高い、休憩用ベッドが無い等、搭乗員の居住環境は良くないそうである。
現在はロシア軍で約25機が使用されており、詳しい配置場所については分かってないが、北極圏方面やバルト海方面に配備されている言う噂もある。
実戦では余り知られてないが、湾岸戦争中に当時ソ連軍所属だった本機が黒海やカスピ海周辺に展開し、24時間体制でイラク周辺の上空を監視し続けていたという。
イラク軍も少数ながら本機(本機とは別タイプのIL-76改良型早期警戒機の説もあり)を実戦に使用した模様だが、1機が破壊され2機がイランに亡命した。
そのイランは、現在でも亡命した2機を使用しているという。
【スペックデータ】
乗員 3~4名+操作員10名程度 全長 46.59m 全高 14.76m 全幅 50.50m 主翼面積 300.0㎡ 機体重量
(自重/全備)105,000kg/195,000kg 最大離陸重量 190,000kg 飛行速度 700km/h(巡航) エンジン ソロビヨフ設計局(現アビアドビゲーテル)製 D-30KPターボファン(推力117.6kN)×4基 実用上昇限度 13,000m 航続距離 3,940nm 最大探知距離 119nm 方位角 0~360°
【派生型】
・A-50:
標準型。
・A-50U:
レーダーを「シュメーリM」に改良した型。
・A-50M:
コンピューターを改良した型。
・A-50E:
インド向け輸出型。
装備品はダウングレードされている。
・A-50EI:
イスラエルのIAIが開発し、インドに売り込んだ型。
非回転式となったアンテナが特徴。
・A-50I:
イスラエル製レーダーを搭載した中国向け輸出型。
アメリカの外交圧力によりキャンセル。
・アドナン1/アドナン2:
イラク向けにIl-76MDをもとに開発された機体。「バグダード1」とも呼ばれる。
トムソンCSFタイガーG(Thompson-CSF Tiger G)レーダーを搭載。
アドナン2はアドナン1の派生型で戦闘機の管制と誘導を行う機体として設計された。「バグダード2」とも呼ばれる。
・空警2000:
中国が独自にIl-76をAWACS化した兄弟機。詳しくは項を参照。
- KAI/Lockheed Martin A-50(F/A-50) "Golden Eagle"
大韓民国の航空機メーカー「韓国航空宇宙工業(KAI)」と米国ロッキード・マーチン社が共同開発した攻撃機。
T/A-50やF/A-50とも呼ばれる。
A-37やF-5の後継として開発したT-50練習機をベースに開発された。
「世界の軍用機市場に進出する」ための国策事業として1997年に開発プロジェクトが開始され、2003年から量産がスタートした。
分担比率はKAIが44%、ロッキード・マーチン社が55%、その他1%となっており、KAIが固めた基本仕様をもととして、全ての電子機器、ソフトウェアと主翼の開発をロッキード・マーチンが担当した。
本機は「F-16に匹敵する能力を安価で得られる機体」として、主に発展途上国向けに200~300機の輸出が予定されている。
【スペックデータ】
乗員 2名 全長 13.14m 全高 4.94m 全幅 9.45m 重量 6,441kg 最大離陸重量 12t 最高速度 Mach1.5 エンジン GE F404-GE-102ターボファン(推力17,700lbs)×1基 実用上昇高度 14,630m 航続距離 2500km 武装 M61A1 20mmバルカン砲×1門、AIM-9X、パイソン5、AGM-65G、各種爆弾(JDAM、Spice1000)
等2,725kgまでの兵装を搭載可能。
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