類設計室
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不祥事・トラブル
従業員への残業代の不払い(類設計室事件)
類設計室では、若い頃に労働組合活動に参加した創業者の「全員が平等かつ主体的に経営に参画できる企業を作りたい」という考えから、「全員取締役制度」が行われていた[22]。この制度のもと、類設計室は400人以上の従業員を取締役に就かせ、残業代を支払っていなかった[2]。しかし2009年以降、類設計室が運営する類塾に対し、数十人の元講師が残業代の支払いを請求[2][23]。2015年7月、元講師が残業代を求めた訴訟で、京都地裁は同社が従業員の出退勤を厳格に管理していることなどから、元講師を「労働基準法上の労働者」と認め、ほぼ請求通り約1200万円の支払いを類設計室に命じ、その後最高裁で判決が確定した[2]。この裁判例は類設計室事件として知られている[24][25]。類設計室は2020年8月からこの制度を廃止したため、現在では行われていない[22]。
新型コロナウイルスに関する誤情報の拡散
2021年、新型コロナウイルスワクチン(COVID-19ワクチン)を巡り、類設計室はワクチンに関して事実に基づかない内容の印刷物を大阪府内の多数の住宅に投函した[3][6]。投函されたのは同社発行のミニコミ紙である『週刊事実報道』で、ワクチン接種により感染者よりも多くの死者が出るといった主張や、流産や不妊症、生殖障害の伝染が発生するなどといった誤った情報が掲載されていた[3][6]。ミニコミ紙ではこれまでにも「欧州の貴族連合がコロナ騒動を起こし、世界に大革命を起こそうとしている」といった陰謀論も展開していた[3][6]。類設計室によると約58万世帯に配布された[3][6][26]。
類設計室の創業者である岡田淳三郎社長[7](当時)は、コロナウイルスにまつわる騒動は「1から10まですべて嘘」であり、経済の破壊を目的とする勢力が全世界のマスコミを動員してウイルス騒動を演出していると主張していた[27]。
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- ^ “【事実報道】騙されていては生きていけない!コロナ特集記事、配布決定! 類グループ 社員ブログ 事実報道・類広宣社”. 株式会社類設計室. 2021年7月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月22日閲覧。
- ^ “共同体 類グループ”. 株式会社類設計室. 2021年6月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月22日閲覧。
- 1 類設計室とは
- 2 類設計室の概要
- 3 おもな作品・業績
- 4 不祥事・トラブル
- 5 参考文献
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