物理単位 次元としての単位

物理単位

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 15:06 UTC 版)

次元としての単位

国際単位系(SI)の考え方および表記に従えば、物理量の値 (the value of a quantity) Qは、その数値 (numerical value) を示す数値 (number) n と単位 (unit) Uとの積として表される(従って単位の取り方に依存して数値は変更を受ける[1])。乗法記号(×)は省略して、「半角数字+line-breakingしない四分の一角スペース[2]+半角英文字」と表記することが標準的である[3]

また、商の形による表記も可能である。

具体例として、1 Pa の圧力 P を考えると、Q = P, n = 1, U = Pa であり、下記のようになる[4]

なお国際単位系 (SI) のルールでは、数値 n を示す場合には上記の商の形を用いる。従って物理量の値 Q の数値 n を数表の欄内に示す場合やグラフの軸に数値 n を付記する場合なども、それらのタイトル名としては単位 U で除算した Q/U の形を用いる(例:「圧力/Pa」)[1][6]

上記の物理量 Q や物理単位 U には次元という概念が定められている(数値 n無次元量である)。上記の式も両辺の次元は一致している。無次元量は log などのべき乗 xn 以外の関数の引数に取ることができる[7]

単位の組み立て

ガイドライン

  • 量は数値と単位記号の積として扱うので、単位量を対応する単位記号で割ると、無次元量となる。2つの異なる単位記号をかけると新しい単位記号となる。例えば、SIにおける速度の単位は、メートル毎秒(m/s)である。次元解析を参照のこと。同じ単位記号同士をかけると、累乗のような表現をする新しい単位記号となる(例: m2(平方メートル))
  • いくつかの組立単位には固有の名称と記号が与えられている。例えば1ニュートン(N)は1 kg m/s2に等しい。固有の名称を持つ組立単位は、他の単位の組み立てに使用することができる。例えば、表面張力の単位はN/m(ニュートン毎メートル)ともkg/s2(キログラム毎秒毎秒)とも表現される。
  • 「密度は単位体積当たりの質量である」という表現は「体積の『単位』によって割られた質量」という意味ではない。この「単位体積」という表現は「数値1と現在使用している体積の単位記号の積によって作られる『体積』」を示す。たとえば体積の単位としてm3を用いている場合、「単位体積」は 1 m3 である。ある均質な物質の質量をm、体積をV、現在使用している単位系での単位体積をV0とすると、この物質の密度ρおよび単位体積当たりの質量m0は以下のように表される。

  1. ^ a b 外部リンク参照;国際単位系 第8版 日本語訳 (PDF, 531 KiB) 5.3.1 量の値と数値、及び量の四則演算。
  2. ^ 日本語文中では、半角スペースで代用することが多い。
  3. ^ Wikipedia:表記ガイド#単位。
  4. ^ なお推奨されない表記例は、P [Pa] = 1, P (Pa) = 1 など、物理量(の変数)に除算以外の形で単位を添える例がある。
  5. ^ 森川鉄朗; 西山保子「科学教育における量の計算法について」『上越教育大学研究紀要』第17巻第1号、365–375頁、1997年9月。ISSN 0915-8162https://hdl.handle.net/10513/284 
  6. ^ 商の形での表記では明確にわかるのだが、これらの数式における QU は単なる記号や名称ではなく、また単に『ある量という概念』だけを示しているのでもなく、四則演算可能な定量的実在を示している。[5]
  7. ^ ただし、式全体で次元のつじつまが合うならば、次元を持つ物理量を対数関数の引数に取る形が特に悪いわけではない。例えば、log P = log(1 Pa)


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