物理化学的特性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/23 03:43 UTC 版)
「ファンデルワールス力」の記事における「物理化学的特性」の解説
この力は、ヨハネス・ファン・デル・ワールスが実在気体の状態方程式を定式化した際に導入された凝縮力であり、それ故、彼の名を冠してファンデルワールス力と呼ばれる。 ファン・デル・ワールス自身はファンデルワールス力が発生する機構は示さなかったが、今日では励起双極子やロンドン分散力などが元になって引力が働くと考えられている。すなわち、巨視的には電気的に中性で、かつ双極子モーメントがほとんどない無極性な分子であっても、分子内の電子分布は、量子ゆらぎによって極性をもつことができる。これによって生じる電気双極子(双極子モーメント)が、同様にして出来た周りの分子の電気双極子同士と相互作用することによって凝集力を生じる。この様に動的に形成される双極子同士の引力を分散力と言う。これは、分散に関与する力という意味ではなく、分極率の振動数依存特性を分散特性と呼ぶことにちなむ名称である。 ロンドンは、上記の機構で分散力が働くことを示したので、電子の量子論的な挙動により自発的分極を起こすことに基づく分散力を、ロンドン分散力と呼ぶ。また、発生した他の分子の双極子は無極性分子の電子分布を偏向させ励起双極子を発生させる。 あるいは極性を持った(永久双極子を持つ)分子同士の双極子相互作用による引力も、ファンデルワールス力の範疇に入れる場合もある。 そして、ファンデルワールス結晶の中で分子間を結びつける力も、その主たるものはファンデルワールス力による。
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