天孫降臨 考察

天孫降臨

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/06 14:12 UTC 版)

考察

  • 谷有ニは伝説の地をクシフルに音の似た九重連峰や久住山とする説等を紹介している。谷自身は、高千穂を「高い山」の意とし、添(ソホリ)がソウルと同じ王の都であるなど韓国との関連を示す記載と前述の瓊々杵尊の言葉から、本来は九州北部が伝説の地であったが、政策上の都合で九州南部に移動したとしている。また、谷はソホリに「大きい」の意のクがついたものがクシフルである可能性とカシハラとの類似性も指摘している[9]
  • 日本書紀に「日向の襲の高千穂の峯に天降ります」とあるが、この「襲」については、同じく日本書紀の景行天皇13年5月条に、「襲国平定」と記されてある。「襲国(曽国)」[10]とは古代の南九州に居住した熊襲 (球磨贈於) といわれ、後に隼人と呼ばれた人々の本拠地とされる[11]
  • 古田武彦は福岡県の日向峠(笠沙岬の真北)を天孫降臨の伝説の発祥地とする。
  • なお、その他にもクシフルの比定地は多くある。クシフルと同様、ソウルが変化したとされる脊振山(セフリサン)は、福岡県と佐賀県の境にあって、韓国(カラクニ)、朝鮮半島南部が対馬の向こうに見える山である[12]
  • 沢田洋太郎は天孫降臨はヤマト王権の朝鮮から北九州への上陸を意味するとしている[13]
  • 朝鮮の建国神話、『三国遺事』にある加耶の始祖首露王が亀旨(クジ)峰に天降る話と似ていることが、神話学者の三品彰英によって指摘されている[14]

外部リンク


ノート

  1. ^ 小学館 大辞泉熊襲 くまそコトバンクhttps://kotobank.jp/word/%E7%86%8A%E8%A5%B2-55947 
  2. ^ 襲国』コトバンクhttps://kotobank.jp/word/%E8%A5%B2%E5%9B%BD-554978 
  3. ^ 日本書紀 30巻. 国立国会図書館
  4. ^ 訓読日本書紀. 中 黒板勝美 (岩波書店) p.7 国立国会図書館
  5. ^ 原文:「今平訖葦原中国矣 故汝当依命下降而統之」『古事記
  6. ^ 原文:「僕者将降装束之間 生一子 其名天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命 此子応降也」『古事記』
  7. ^ 原文:「我之女二並立奉者有因 使石長姫者 天神御子之命雖雪零風吹 恒可如石而常堅不動坐 亦使木花之佐久夜姫者 如木花之栄栄坐 因立此誓者而使二女貢進 今汝令返石長姫而独留木花之佐久夜姫 故今後天神御子之御寿者 将如木花之稍縦即逝矣」『古事記』
  8. ^ 黒板勝美『訓読日本書紀. 上巻』上巻、岩波書店〈岩波文庫〉、1943年4月。doi:10.11501/1904260NDLJP:1904260https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003990511。"国立国会図書館デジタルコレクション"。 
  9. ^ 谷有ニ‐日本近代の《朝鮮観》 .rshttps://archives.bukkyo-u.ac.jp › rp-contentsPDF
  10. ^ 襲国』コトバンクhttps://kotobank.jp/word/%E8%A5%B2%E5%9B%BD-554978 
  11. ^ 小学館 大辞泉『熊襲 くまそ』コトバンクhttps://kotobank.jp/word/%E7%86%8A%E8%A5%B2-55947 
  12. ^ 金政起「古代北九州と朝鮮半島南部との共同文化圏について」『アジア太平洋研究』第43巻、成蹊大学アジア太平洋研究センター、2018年11月、81-97頁、CRID 1390291767726442752doi:10.15018/00001159hdl:10928/1148ISSN 0913-8439 
  13. ^ 澤田洋太郎『日本語形成の謎に迫る』(新泉社、1999年)、澤田洋太郎『アジア史の中のヤマト民族』(新泉社、1999年)
  14. ^ 詔旨子細採□【手庶】然上古之時言意並朴敷文構句於字即難已因訓述者詞不逮心全以音連者事 ... 以後、朝鮮神話・北方民族神話との類似性を指摘した三品彰英
  1. ^ 神武天皇「昔我天神高皇産霊尊大日孁尊挙此豊葦原瑞穂国而授我天祖彦火瓊瓊杵尊。」(日本書紀第3巻)[3]とある。昔に、天神、高皇産霊尊、大日孁尊はこの豊葦原瑞穂国を、私の先祖である瓊瓊杵尊にお与えになった、という意味[4]
  2. ^ 大祓詞にも同じ記述がある。


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