偽書 偽書である歴史書の例

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偽書

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/16 15:01 UTC 版)

偽書である歴史書の例

分類の便宜上、中国古典は歴史書に限らずここで扱う。

偽書の可能性が指摘されている歴史書の例

  • 古代中国関連 -『中国偽書綜考』鄧瑞全・王冠英 主編(黄山書社、1998年7月。ISBN 7805355568)及び姚際恒『古今偽書考』により偽書とされるもの。
    • 周易』の伝(注釈)、いわゆる十翼は孔子の作として偽作されたというのが通説。ただ、十翼の内でも彖伝・象伝は孔子の真作であり、他はすべて偽書とする高田真治の説と、すべて偽書と見なす欧陽修・三浦国雄の説が対立している。[12]
    • 『荘子 (書物)|荘子』内編は荘周の門下による真作とされるが、外編・雑編は内容が浅く、雑に書かれており、秦・漢の時代に好事家がでっちあげた偽書の部分が多いとされる。ただし、学者の間でもどの編が偽書かについては議論がある。[13]
    • 尚書[要文献特定詳細情報]』『詩経』『周礼』『礼記』、『春秋左氏伝』(「春秋公羊伝」「春秋穀梁伝」)、『論語』『孟子』『墨子』『韓非子』『山海経』『孫子』『孔子家語

注釈

  1. ^ 英語でもforgeryは偽書、贋作どちらの意味もある。
  2. ^ 網野善彦は「偽書には真正な文書からだけでは中々分からない庶民意識伝承習俗が含まれている」として、「単に感覚的に嫌悪するだけでなく、偽書が成立した背景、成立過程や機能を研究する事で貴重なものが得られる」としている[要出典]
  3. ^ 甲陽軍鑑に関しては近年の研究で偽書ではなく、戦国史研究において参照となる点も多いという評価もある。
  4. ^ 賀茂真淵大和岩雄らの説がある[7]
  5. ^ 将軍家光期に幕府が農民統制のために発布したものであるとされていたが、原本が確認されず幕法とするのには疑義がもたれており偽書とする説もあった。近年では古写本の検討により元禄年間に成文化された甲斐国甲府藩領の藩法が刊本により諸国へ流布し、「慶安年間の幕法である」とする伝承が寛政年間に付加されたことが指摘されている。
  6. ^ 2010年代以降は後世の創作説が有力となっている[14]
  7. ^ 原本の存在が確認されていないため。
  8. ^ 文書の存在、及び先立つべき「第一期」が確認されていないため。
  9. ^ タイ紙『サヤーム・ラット』に掲載された評論とされるが、掲載年月日が不明であり、記事の実在が確認されていない。
  10. ^ 出典とされるユリウス・クルトの著書に記述が確認できない。
  11. ^ 歴史学者アーノルド・J・トインビーの説とされるものだが、出典が不明。
  12. ^ 紀元前500年前後、孔子と同時代の老子の著作とされるが、文体・用語が比較的新しく、紀元前300年前後編纂の『孟子』初出の語が用いられていたりする。
  13. ^ 論語』の拾遺として、前漢孔安国が撰した書に、その孫の孔衍中国語版が後序を補したものと記されているが、考証により、代に礼制で対立していた鄭玄派を論難するために王粛が偽作した書物とされることが多い。
  14. ^ 紀元前400年の列禦寇の著作とされるが、『史記』に記述がないなど実在は疑われており、成立はの頃ではないかとの説がある。
  15. ^ 太公望呂尚の著作とされ神仙の黄石公が選録、漢の張良に伝えられたとされる兵法書。の頃は戦車戦であるのに、まだ存在しないはずの騎馬戦の言及があったり、同様に使用されない「将軍」という言葉も用いられているため、の頃の人物が太公望や黄石公に仮託して書いた偽書であると考えられている。
  16. ^ 金史』の外伝とされているが、実在が確認できない。
  17. ^ 古今図書集成』中に収録とされているが、実在が確認できない。
  18. ^ 天津教という宗教の教典でもある。
  19. ^ 最澄 著とあるが、偽書説あり。
  20. ^ 後代に創作されたものが含まれていると見られ、宗派や学者によって真偽の認定が大きく異なる。
  21. ^ ドイツを中心に現在も広く流布しているグリモワール(魔術書)。
  22. ^ 16世紀の朝鮮の天文学者、南師古(ナムサゴ)が著作したとされる予言書だが、韓国のTV番組『PD手帳』で偽書であることが明らかにされた。
  23. ^ ウィリアム・ヘンリー・アイアランドの『ヴォーティガンとロウィーナ』のような作品はシェイクスピアの贋作と見なされる。
  24. ^ 例えば『魁!!男塾』の「民明書房」、あるいはクライトンの『アンドロメダ病原体』の作中世界を構成するレポート、村上春樹の初期三部作に引用される作家の書物、など。

出典

  1. ^ 日本図書館情報学会用語辞典編集委員会 編『図書館情報学用語辞典 第4版』丸善出版、2013年12月27日、47-44頁。ISBN 978-4-6210-8774-9 
  2. ^ "偽書". 図書館情報学用語辞典 第5版. コトバンクより2023年10月1日閲覧
  3. ^ a b c d あすへの考【江戸期の偽文書が「史実」に】耳なじみの良い歴史の誘惑/市町村史に掲載。行政のお墨付きがあると撤回は困難:大阪大谷大学准教授 馬部隆弘氏(44)『読売新聞』朝刊2020年12月6日(言論面)
  4. ^ a b 「日本最大級の偽文書」か 郷土史の定説ひっくり返るかも…京都・山城の古文書”. 京都新聞 (2020年5月8日). 2021年2月5日閲覧。
  5. ^ a b 伊田欣司 (2021年2月5日). “嘘でつくられた歴史で町おこし 200年前のフェイク「椿井文書」に困惑する人たち”. Yahoo!ニュース特集. 2021年2月5日閲覧。
  6. ^ 藤野七穂「「偽書」銘々伝」 季刊『邪馬台国』1993年(平成5年)秋号52号。梓書院。
  7. ^ 〈はじめての古事記〉神々の愛憎 壮大な冒険”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社 (2012年3月7日). 2012年3月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年3月7日閲覧。
  8. ^ 乃至 & 高橋 2021, p. 7.
  9. ^ 乃至 & 高橋 2021, p. 6.
  10. ^ 黒田惟信 編『東浅井郡志 巻壹(巻1)』滋賀県東浅井郡教育会、1927年11月28日、256-260頁。 東浅井郡志: 巻1, p. 366, - Google ブックス
  11. ^ 小澤実 編「馬部隆弘 偽文書「椿井文書」が受容される理由」『近代日本の偽史言説 歴史語りのインテレクチュアル・ヒストリー』勉誠出版、2017年11月10日、21-35頁。ISBN 978-4-585-22192-0 
  12. ^ 姚際恒『古今偽書考』巻1「易伝」及び、高田真治『易経』岩波文庫の解説、コトバンク『十翼』(執筆:三浦国雄)
  13. ^ 姚際恒『古今偽書考』巻5「荘子」
  14. ^ 吉田晋 (2018年1月10日). "坂本龍馬は教科書に必要か 大政奉還や薩長同盟、史実は". 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社. 2022年12月14日閲覧
  15. ^ 『ビジュアル  世界の偽物大全 フェイク・詐欺・捏造の全記録』、2023年6月発行、ブライアン・インズ クリス・マクナブ、日経ナショナルジオグラフィック、P91






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