世論調査 その他の問題

世論調査

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 23:47 UTC 版)

その他の問題

調査元やその子会社からコールセンターなどに丸投げされ、労働力を派遣労働で賄ったり、調査に厳しいノルマがあるなどの過酷さから調査の精度が落ちるという指摘もある[25][26]。2020年6月にフジサンケイグループフジテレビFNN)と産経新聞が合同で2019年5月から2020年5月の間に行った世論調査で調査業務委託先・アダムスコミュニケーションが計14回に渡り、架空の回答を1回につき、百数十件不正入力していたことが発覚し、フジテレビと産経新聞の両社と又委託先の日本テレネットが謝罪したが、前述の委託先における労働環境の悪さや調査元のチェック体制精度の低下からこの捏造が発生する一因を作ったとの意見もある[26][27][28]

常に同じ条件で世論調査を行うのであれば年・月単位の期間比較は可能であるが、選択肢間の比較を行うためには母集団(日本国民)における年齢・職業などの割合の推移に合わせてデータを加工する必要がある。政党支持率や選挙投票先を問う世論調査において、主要メディアはこうした加工を行なわずに発表しているため、統計情報としての取扱いには注意を要する。

統計調査としての世論調査の結果の正確性(誤差の範囲など)や、あるいはそもそも統計学的に正しい手法で世論調査が行われているかどうかを知るためには、サンプルサイズや具体的な調査方法など、透明性の高い情報公開を要するが、世論調査の結果だけしか公開されない場合がある。

世論調査を行う多くのマスコミ関係企業は公益財団法人日本世論調査協会に加盟しており、たとえライバル企業同士でも正しい世論調査の遂行のために協力し合っているが、もし世論調査を受注するリサーチ事業者が未加盟だった場合、「日本世論調査協会倫理綱領」や「実践綱領」などの規定遵守義務がなく、家族構成、政治的見解、宗教的傾向、消費傾向などの個人情報を調査後に保存し、メーカーなどに販売・使用されるなど反社会的な個人情報転売が行われるケースも発生している。

RDD方式の問題点

個別訪問面接聴取法に比べ、短期間で安価に実施できる長所がある反面、対面による調査でしか個人情報提供に応じない者、電話の使い方が分からない年齢の者、などの回答が反映されないため、回答者の年齢・職業などに偏りが発生する可能性がある。

世帯員に少なくとも一人は固定電話か携帯電話を持つ人がいる世帯の者への調査に限定されるため、世帯員が誰も電話を所有していない世帯の者や、電話が使えない病院に入院療養中の医療弱者などの意見が反映されず、また電話を使うことが出来ない障害者、日本語が話せない外国人、など、相当数の社会構成員、特に社会的弱者が不可避的に母集団から外れやすくなるため、主題や設問によっては大きな回答の偏りが生じ得る。

メディア史学者の佐藤卓己はRDD方式の本質的な問題点を2つ挙げている。一つ目は「私生活の空間に突然侵入する電話に快く回答してくれる人が、「民意」の平均像からは逸脱していること」であり[29]、2つ目は回答者が質問内容を十分に考えているとは限らないことである。[30]

なお、RDD方式は固定電話のみを対象とする、平日の日中にしかかけない、電話に出た人をサンプリングする(なので日中に家にいて電話を受けやすい主婦や老人が多くサンプリングされる)、などの誤解をしている人がいるが、そのようなことは無い。少なくとも朝日新聞社や日経リサーチ社のRDD方式では、携帯電話も対象とし、世帯員が電話に出るまで(朝日新聞社では夜の10時か11時まで)何度もかけ直し、電話に出た世帯員ではなくサンプリングされた本人に交代してもらって世論調査を行っている。


  1. ^ アメリカ大統領選挙の番狂わせ(前編)~ 標本調査における偏り①|統計学習の指導のために(先生向け) 総務省 統計局
  2. ^ 学校における統計教育の位置づけ|統計学習の指導のために(先生向け) 総務省 統計局
  3. ^ 日本世論調査協会会報「よろん」103号、2009年3月
  4. ^ 日本世論調査協会[団体会員名簿]
  5. ^ 国民生活に関する世論調査 5 標本抽出方法 -内閣府
  6. ^ 系統抽出 日経リサーチ
  7. ^ 標本の抽出は、どのように行えばよいのですか - 埼玉県
  8. ^ アメリカ大統領選挙の番狂わせ(後編)~ 標本調査における偏り②|統計学習の指導のために(先生向け) 総務省 統計局
  9. ^ 無作為抽出 日経リサーチ
  10. ^ 世論調査 - 内閣府
  11. ^ a b 世論調査 - ニュース特集 - asahi.com
  12. ^ a b なるほど統計学園高等部 | 調査に必要な対象者数 - 総務省統計局
  13. ^ 面接調査の現状と課題 NHK放送文化研究所
  14. ^ 世論調査 「RDD」方式とは - 政治 朝日新聞デジタル
  15. ^ 調査の方法 日経リサーチ
  16. ^ 福田昌史、固定電話と携帯電話を対象とした電話調査の導入と推定値の評価 『行動計量学』 2017年 44巻 1号 p.85-94, doi:10.2333/jbhmk.44.85
  17. ^ 日本の世論2016:初のネット回答 郵送調査に加え - 毎日新聞
  18. ^ 世論調査 - よくあるお問い合わせ -内閣府
  19. ^ インターネットによる国民生活に関する意識調査 内閣府
  20. ^ インターネットによる国民生活に関する意識調査 調査結果の概要 内閣府 2008年4月
  21. ^ ニコニコアンケート
  22. ^ インターネット調査 日経リサーチ
  23. ^ 三浦『洗脳選挙』光文社ペーパーバックス、2005年1月、ISBN 4-334-93351-3、72頁参照
  24. ^ 世論調査の役割と限界 峰久和哲(朝日新聞編集委員)
  25. ^ 中高年500人酷使 大手紙「世論調査」はブラック労働だった”. 日刊ゲンダイ (2014年12月7日). 2014年12月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月21日閲覧。
  26. ^ a b フジ・産経「世論調査捏造」を生んだ根深い病巣”. 東洋経済新報 (2020年6月21日). 2020年6月21日閲覧。
  27. ^ 産経・FNN合同世論調査、委託先社員が不正”. 産経新聞 (2020年6月19日). 2020年6月21日閲覧。
  28. ^ 日本テレネット FNN世論調査データの不正入力を認め謝罪「信頼を裏切る結果に」「一部社員の不正行為」”. スポーツニッポン (2020年6月20日). 2020年6月21日閲覧。
  29. ^ 佐藤卓己『メディア社会-現代を読み解く視点』113頁 (岩波新書、2006年)
  30. ^ 佐藤卓己『メディア社会-現代を読み解く視点』113頁-114頁 (岩波新書、2006年)
  31. ^ 1936年~2008年のギャラップ世論調査と得票率結果(ただし、得票率で負けた候補が当選した事例あり) アメリカ大統領選挙ニュース:ギャラップ
  32. ^ 世論調査2018年3月14日
  33. ^ バイデン氏リードの世論調査、トランプ陣営がCNNに撤回と謝罪要求”. CNN (2020年6月11日). 2020年6月13日閲覧。






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