エヴェンキ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/26 09:45 UTC 版)
概説
同系統のオロチョン族とテュルク系のヤクート族とウラル系のサモエード人(ユラツ人)と複雑に混血を繰り返して生活を営んでいた。
「エヴェンキ」とは「森に住む人」の意で、寒冷な森林の狩猟民であった。エヴェンキの民族を代表する生業は狩猟とトナカイの遊牧で、狩猟では皮革採取や肉・内臓の食用のために鹿類、テンなどが捕獲の対象である。狩猟の際の移動にはトナカイに騎乗し、トナカイで荷物も運搬する。交配のための種雄を除き、雄のトナカイには去勢を行う。トナカイはそのほか、乳飲用に利用するほか、その肉・内臓・血を食用・飲用とし、中国では漢方薬として袋角[注釈 1]採取も行う。基本的にトナカイの飼育・管理は女性の仕事であり、男性が狩猟に専念しやすくなっている。
古来からあるエヴェンキの伝統的な住居はオロチョン族とヤクート族と同様に、比較的細い白樺などの幹を何本も組んで、その外部を、冬はトナカイなどの毛皮、夏には樹皮で覆った、円錐形の天幕式住居である。現在では定住化のため、ベースとなる住居は近隣のロシア人や漢族と同様のものだが、狩猟や、地衣類の豊富な場所へのトナカイの移動で、ベースの住居を離れねばならない場合、伝統的な天幕式住居またはその他のテントを設置して野営する。
ロシアとの関係
伝統宗教はシャーマニズムだが、帝政ロシア時代のロシア正教会の宣教師による布教など、ロシア人の影響から、シャーマニズムと併せて正教を信仰する者もいる。また、ロシアのみならず中国のエヴェンキも、かつてはロシア人と交易を行い、毛皮と引き換えに生活用品や銃、散弾、小麦粉を入手した。
ロシア人との交流のため、ロシア国内・中国国内のエヴェンキともに食生活にもロシアの影響があり、小麦粉よりパンを焼いて食べ、紅茶を飲用し、紅茶にトナカイの乳も加える。また、中国国内のエヴェンキ女性にもロシア風のスカーフを被る人がいるなど、着衣もロシアの影響が大きい。
現在は、生活様式がほぼロシア化して、一部がロシア人との混血が進んでいる。
中国との関係
エヴェンキは清帝国によってソロン八旗(中: 索倫、露: солоны)に取り入れられ、乾隆帝の十全武功での活動が確認できる[1]。
エヴェンキ出身の武将としてはハイランチャが有名で、清・ジュンガル戦争、清・ネパール戦争などで活躍した。彼は清の正規軍が敵の不正規戦に対処しきれない現実のなか、エヴェンキ族で構成された部隊を率いて、部隊を指揮した[1]。
注釈
- ^ 生え変わったばかりのまだ皮膚に覆われた角。
出典
- ^ a b 清史稿 巻331 列伝一百十八
- ^ a b ““바이칼 소수민족 ‘아리랑.쓰리랑’ 단어 사용””. 韓国放送公社. (2005年8月14日). オリジナルの2022年6月23日時点におけるアーカイブ。
- ^ Tambets, Kristiina et al. 2004, The Western and Eastern Roots of the Saami—the Story of Genetic “Outliers” Told by Mitochondrial DNA and Y Chromosomes
- ^ Fedorova SA, Reidla M, Metspalu E, et al. Autosomal and uniparental portraits of the native populations of Sakha (Yakutia): implications for the peopling of Northeast Eurasia. BMC Evol Biol. 2013;13:127. Published 2013 Jun 19. doi:10.1186/1471-2148-13-127
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