緊急避難行為
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/06 03:50 UTC 版)
2001年に国連国際法委員会は、実に半世紀をかけて、「国家責任条約草案」(Responsibility of States for International Wrongful Acts)を採択し(特別報告者、James Crawford)、同年、国連総会においてこれに留意する決議がなされた(A/RES/56/83)。その第25条は「緊急避難」(necessity, l'état de nécessité)を規定している。それは次の通りである。 第25条 緊急避難 「次の場合を除くほか、国際義務に合致しない行為の違法性を阻却する理由として、緊急避難は国家により援用されえない。(a)その行為が、重大かつ切迫した危機に対して、ある不可欠の利益(an essential interest)を保護するために、その国家にとって唯一の手段であること。…」 この「ある不可欠の利益」という文言は、1996年のテキストでは、「その国家の一つの不可欠の利益」(an essential interest of the State)となっていたが、2001年テキストでは「その国家の」(of the State)という文言が削除された。コメンタリーによれば、これは、その国家の不可欠の利益及び国際共同体全体の不可欠の利益(the essential interests of the international community as a whole)も含むものだとされている。この国際共同体全体の不可欠の利益の保護のための緊急避難行為(一方的行為)は、慣習法として成熟しているかは定かではないが、ILCは国際法の漸進的発達として本条を採択したものと考えられる。 同じくILCの「国際組織の責任条約草案」2011年第一読完了テキスト第25条(緊急避難)において(特別報告者、Giorgio Gaja)、文言上、国際組織による国家の不可欠の利益及び国際共同体全体の不可欠の利益を保護するための緊急避難行為が認められている。 これに関して、学説上ではすでに、国家間の合意原則に代わる、「人類の死活的利益」(les intérêts vitaux pour l'humanité)の保護のための「緊急性原則」(le principe d'urgence)あるいは「必要性原則」(le principe de nécessité)が提唱されていた。
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