light peakとは? わかりやすく解説

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Thunderbolt

(light peak から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/15 06:44 UTC 版)

Thunderbolt 2までのコネクタ
開発者
生産メーカー 多数
生産期間 2011年
前モデル IEEE 1394
ホットプラグ 対応
ディジーチェーン 対応
外部接続 対応
音声信号 対応 (DisplayPort)
映像信号 対応 (DisplayPort)
ピン数
  • 20
  • 24
コネクタ
バンド域幅
  • 10 Gbps
  • 20 Gbps
  • 40 Gbps
  • 80 Gbps
プロトコル
PCI Express
2.0
3.0
4.0
DisplayPort
1.1a
1.2
1.4
2.1
USB
3.1 Gen 2
USB4
ピン1 GND
ピン2 HPD
ピン3 HS0TX(+)
ピン4 HS0RX(+)
ピン5 HS0TX(-)
ピン6 HS0RX(-)
ピン7 GND
ピン8 GND
ピン9 LSR2P TX
ピン10 GND
ピン11 LSP2R RX
ピン12 GND
ピン13 GND
ピン14 GND
ピン15 HS1TX(+)
ピン16 HS1RX(+)
ピン17 HS1TX(-)
ピン18 HS1RX(-)
ピン19 GND
ピン20 DPPWR

Thunderbolt(サンダーボルト)は、インテルAppleと共同開発した[1]高速汎用データ伝送技術である。Light Peak(ライト ピーク)を基にして開発されたコンピュータ周辺機器を接続するためのシリアルバス規格の1つ。

概要

FireWireの後継として開発されたインターフェースで、ホスト機器にさまざまな周辺機器を接続するためのバス規格である。同時期に登場した高速汎用外部バス規格USB 3.0と比べてデイジーチェーンをサポートするなど多機能かつ高性能である一方、ホスト側・デバイス側の両方にインテル製のモジュールが必要であり、USBと比べて高コストである[2]

コネクタは、Mini DisplayPort。Thunderbolt 3/4/5 ではUSB Type-C

規格

Thunderbolt

2011年2月に発表・発売されたAppleのMacBook Pro (Early 2011)[3] が初めて採用し、のちにiMacMac miniなどにも順次搭載された。コネクタMini DisplayPortを採用する。

Thunderbolt 2

2013年末にインテルは、2つのチャンネルを集約して転送速度20 Gbpsを実現するThunderbolt 2を発表[4][5]した。AppleはThunderbolt 2を搭載したMacBook Pro (Late 2013)を2013年10月22日に発売し[6]Mac Proを2013年12月19日に発売した。コネクタはThunderbolt 1と同じくMini DisplayPortを採用し、後方互換性を確保する。対応する光ファイバーケーブルは、住友電気工業が30メートル[7]コーニングが60メートルまでをそれぞれ販売している[8][9]

Thunderbolt 3

2015年6月にUSB Type-Cコネクタを利用し、転送速度40 Gbpsを実現するThunderbolt 3を発表した[10][11]。AppleはThunderbolt 3を搭載したMacBook Pro (2016)を2016年10月28日に発売[12]。その後発売されたMacにも搭載されている。ThunderboltおよびThunderbolt 2に対して後方互換性を確保しているが、コネクタの形状が異なるため、後方互換での利用には変換アダプターが必要となる。

なお、転送速度40 Gbpsは映像用の帯域とデータ用の帯域の合計値であり、データ転送に利用できる帯域は22 Gbpsまでとなる。また、一部のシステムではコントローラーとCPUがPCI Express 3.0の2レーンで接続されており、その場合はデータ転送速度は最大16 Gbpsとなる[13]。なお、インテルは後述のThunderbolt 4の発売に合わせてThunderbolt 3のデータ転送帯域を16 Gbpsと説明している[14]が、2016年に公開されたスライドでは22 Gbpsとなっており[15]、この違いの理由は不明である。

Thunderbolt 4

2020年1月に、インテルはUSB4規格に準拠したThunderbolt 4を発表した[16]。AppleはThunderbolt 4を搭載したMacBook Pro (2021)を2021年10月18日に発表[17]。Thunderbolt 3と比較して最大帯域幅は40 Gbpsのまま変わらないものの、CPU - コントローラー間の帯域の最低要件がPCI Express 3.0の4レーンとなるなど、性能の底上げが行われている。

Thunderbolt 5

2022年10月19日、インテルはUSBインプリメンターズ・フォーラム(USB-IF)のUSB4 2.0仕様のリリースに合わせ、次世代Thunderboltをプレビューした[18]。最大80 Gbit/sの双方向帯域幅を提供し、Thunderbolt 4の速度と比較して、将来のホストデバイスと標準をサポートする外部ストレージドライブ間のデータ転送速度が最大2倍高速になる。また、外部ディスプレイ(Thunderbolt 4の速度の3倍)で最大120 Gbit / sの帯域幅を許可するモードがあり、ホストデバイスは60Hzで最大デュアル8Kディスプレイをサポートできる[19]

完全な仕様は以下の通り。

  • USB4 2.0 80 Gbit/s仕様の最新バージョンをサポート
  • Thunderbolt 4から80 Gbit/sの総帯域幅の2倍、ビデオ集約型使用には最大3倍の帯域幅を120 Gbit/sに提供
  • DisplayPort 2.1のサポート
  • より高速なストレージと外部グラフィックスのために、PCI Express 4.0 (× 4レーン) のデータスループット
  • 新しい信号技術を介して、最大1 m(3.3フィート)の既存のパッシブケーブルで動作
  • 既存のThunderbolt、USB、およびDisplayPortと互換性
  • インテルの有効化および認証プログラムによってサポート

インテルは2023年9月12日に、Thunderbolt 5の機能とその詳細を発表した[20]

AppleはThunderbolt 5を搭載したApple M4 Pro, M4 Maxを2024年10月30日に発表した[21]。それらはMac mini (2024), MacBook Pro(2024)に搭載されている。

開発経緯

開発当初にLight Peakと呼称されたデータ伝送路は、USBイーサネットDisplayPortIEEE 1394ファイバーチャネルなど様々なプロトコルでデータ通信を可能とするマルチプロトコル仕様として設計された。

Thunderboltに改称され、正式規格として策定時にプロトコルはPCI Express 2.0とDisplayPort 1.1aだけとなった。

Light Peak開発当初は光ファイバーの使用を予定したが、電線を用いた規格が先に策定されて上市された。2013年初頭に光ファイバーを用いたケーブルも出荷された。電線で数メートル、光ファイバーで数十メートルまで通信可能としている。

ケーブル
ケーブルはUSB 3.0より強力な給電能力を有し、当初から最大10 Wが供給可能であった。接続はSCSIIEEE 1394のようなデイジーチェーン方式に対応しており、ホスト側1ポートにつき最大で周辺機器を6台まで接続可能である。コネクタ形状はThunderbolt 2まではMini DisplayPortと同一であった。
Thunderbolt 3からはコネクタにUSB Type-Cを採用した。Thunderbolt 2で最大10 Wだった給電能力はThunderbolt 3では最大100 Wとした。また、Thunderbolt 4でUSB-PD EPRに対応した製品では、最大240Wまで供給が可能である[22]
転送速度
データ転送速度は、上り線と下り線が共に10 Gbpsの全二重通信である。信号レベルの転送速度は10.3125 Gbpsで、64b/66bで符号化されて実データ転送速度は10 Gbpsである。双方向の場合2レーンで20 Gbpsまでサポートする。2022年に技術発表された次世代Thunderboltでは片側最大120Gbpsを実現する[23]

ThunderboltとUSBの比較

USBとThunderboltの転送速度(理論値)前述の通り、Thunderbolt 3の帯域は映像用とデータ用の合計であり、データ転送速度としての差はこれより小さい。
ThunderboltとUSBの比較
規格名 USB 3.0 Thunderbolt Thunderbolt 2[24] USB 3.1 Gen 2 Thunderbolt 3[25] USB 3.2 Gen 2x2
仕様発行日 2008年11月 2011年2月 2013年6月 2013年8月 2015年6月 2017年7月25日
伝送するプロトコル SuperSpeed USB
  • PCI Express 2.0
  • DisplayPort 1.1a
  • PCI Express 2.0
  • DisplayPort 1.2
SuperSpeed USB
  • PCI Express 3.0
  • DisplayPort 1.2/1.4
SuperSpeed USB
符号化方式 8b/10b 64b/66b 128b/132b 64b/66b 128b/132b
レーン数 全二重 1レーン 全二重 2レーン 全二重 1レーン 全二重 2レーン
最大転送速度 5 Gbps 10 Gbps 20 Gbps 10 Gbps 40 Gbps[15] 20 Gbps
最大給電能力 4.5 W 10 W 4.5 W 100 W
最大ケーブル長 2 m (電線)[26]
  • 3 m (電線)
  • 60 m (光ファイバー)
1 m (電線)[26]
  • 0.8 m (電線・パッシブタイプ)
  • 2 m (電線・アクティブタイプ)[11]
  • 60 m (光ファイバー)
1 m (電線)[26]
ケーブル材質 電導体
  • 電導体
  • 光ファイバー
電導体
  • 電導体
  • 光ファイバー
電導体
その他 USB Type-Cコネクタ


ストレージI/OとDMAの観点での比較

Thunderboltは、PCI Express(PCIe)とDisplayPortの信号を1本のケーブルで多重化する設計であり、ストレージや拡張カード等の周辺機器は、ケーブル経由でもホスト側からはPCIeデバイスとして扱われる。NVMeストレージの場合、コントローラはホストメモリ上のサブミッション/コンプリーション・キューへ直接メモリアクセス(DMA)で読み書きし、割り込み(MSI/MSI-X)で完了を通知する[27][28]。 対してUSB接続のストレージは、UASP(SCSI over USB)などのプロトコルでxHCIホストコントローラを介して転送され、USB–SATA/NVMeブリッジを経由してドライブに到達する。ここでもxHCIはTRBリングとドアベルを用いてDMA転送を実施し、イベントリングで完了を通知するため、CPUが全てをメモリコピーするわけではないが、プロトコル変換層が複数介在する点がThunderbolt経路と異なる[29][30]。そのため、ThunderboltはUSBと比較してオーバーヘッドが少なく、ホストマシンの負荷が高い場合でもレイテンシが安定する。

USB4との位置づけ

USB4は「USB 3」「DisplayPort」「PCIe」の各プロトコルをトンネリングする仕組みを規定しており、実装によってはUSB4経由でもPCIeデバイス(例:NVMeストレージ)が動作する。ただし、USB4におけるPCIeトンネリングの有無や性能は製品実装に依存する。一方、ThunderboltではPCIeトンネリングが前提であり、ケーブル接続の先にあるNVMe等は原則としてPCIeバス上のデバイスとして扱われる[31][32][33]。そのためPCIeトンネリングの有無で性能が左右されるUSBとは異なり、ThunderboltはPCIeトンネリングが前提のため性能のばらつきが少ないメリットがある。

最低要件と認証

Thunderbolt 4の認証要件には、PCIe 32 Gbit/s(ストレージで最大約3,000 MB/s相当)や複数4K/単一8K表示のサポートなど、データ/映像に関する下限性能の明確化が含まれる。これにより、ケーブル1本でのドック/ディスプレイ/高速ストレージ接続において、一定の体験を提供することが意図されている[33]

セキュリティ上の配慮(DMA保護)

ThunderboltやUSB4のPCIeホットプラグでは、デバイスがホストメモリへDMAアクセスできるため、OS側でIOMMUやKernel DMA Protection等の保護機能が導入されている。これはPCIe由来の高い性能と引き換えに必要となるセキュリティ上の配慮である[34][35]


周辺機器

Thunderboltの周辺機器はUSB(10Gbpsないしは20Gbps)では対応しきれない超高速転送を要求するものが多い。

脚注

出典

  1. ^ “Thunderbolt™ Technology: The Fastest Data Connection to Your PC Just Arrived” (Press release) (英語). Intel Corp. 2011年2月25日閲覧.
  2. ^ インプレス【イベントレポート】 Intel第10世代Coreは、Thunderbolt 3をオンダイ統合」『PC Watch』2019年5月28日。2020年7月8日閲覧
  3. ^ 【PC Watch】 アップル、Sandy BridgeベースになったMacBook Pro ~周辺機器とディスプレイの接続に使えるThunderbolt技術採用」『PC Watch』インプレス。2016年5月12日閲覧
  4. ^ “Intel Confirms Falcon Ridge production in 2013, Ramp in 2014”. AnandTech.com (英語). 2013年4月16日閲覧.
  5. ^ “Video Creation Bolts Ahead – Intel’s Thunderbolt™ 2 Doubles Bandwidth, Enabling 4K Video Transfer & Display” (英語). 2013年6月12日閲覧.
  6. ^ Apple、Thunderbolt2搭載のMacBook ProとMac Pro」『PC Watch』インプレス。2013年10月31日閲覧
  7. ^ 住友電気工業 THUNDERBOLTケーブル。2014年1月12日閲覧
  8. ^ “Thunderbolt™ Optical Cables” (英語). 2019年12月1日閲覧.
  9. ^ 新規取り扱いメーカー 米Corning社製、最長60mモデルをラインナップした「Thunderbolt Opticalケーブル」を発表 | アスク。2018年6月6日閲覧
  10. ^ Thunderbolt™ Technology: More Speed, Pixels, and Possibilities。2015年6月2日閲覧
  11. ^ a b Anthony, Sebastian (2015年6月3日). “Thunderbolt 3 embraces USB Type-C connector, doubles bandwidth to 40Gbps” (英語). Ars Technica. 2024年9月17日閲覧.
  12. ^ 指先に、さらなる才能を。MacBook Pro」。2016年10月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年11月3日閲覧
  13. ^ S, Ganesh T. “Intel's Maple Ridge (JHL8540) Thunderbolt 4 Controller Now Shipping”. www.anandtech.com. 2021年2月27日閲覧.
  14. ^ Intelが「Thunderbolt 4」の詳細を発表 対応製品は2020年後半に登場」『ITmedia PC USER』。2021年2月27日閲覧
  15. ^ a b “TECHNOLOGY BRIEF Thunderbolt™ 3” (PDF). 2021年2月27日閲覧.
  16. ^ “Intel promises Thunderbolt 4 with Tiger Lake - CES 2020 | OC3D News”. www.overclock3d.net. 2020年1月7日閲覧.
  17. ^ M1 ProとM1 Maxが登場:Apple史上最もパワフルなチップ」『Apple Newsroom (日本)』。2023年1月26日閲覧
  18. ^ “Intel Leads Industry with Next-Generation Thunderbolt”. Intel (英語). 2023年6月3日閲覧.
  19. ^ 'Thunderbolt 5' Would Enable Dual 8K Display Support and More on Macs”. MacRumors (英語). 2022年10月19日. 2023年6月3日閲覧.
  20. ^ インプレス「「Thunderbolt 5」登場。最大120Gbps転送が可能な最強インターフェイス」『PC Watch』2023年9月12日。2023年9月23日閲覧
  21. ^ “Apple、M4 ProとM4 Maxを発表”. Apple Newsroom (日本). 2024年11月5日閲覧.
  22. ^ Plugable、最大4台の4K/60Hzディスプレイ出力が可能なThunderbolt 4 Dockや最大240W EPRに対応したTB4/USB4ケーブルなどを発表。」『AAPL Ch.』。2023年1月26日閲覧
  23. ^ Harding, Scharon (2022年10月20日). “Thunderbolt’s next spec triples bandwidth to 120Gbps—with a catch” (アメリカ英語). Ars Technica. 2024年9月17日閲覧.
  24. ^ “Video Creation Bolts Ahead – Intel’s Thunderbolt™ 2 Doubles Bandwidth, Enabling 4K Video Transfer & Display - Technology@Intel” (英語). 2019年11月30日閲覧.
  25. ^ “Thunderbolt™ 3 – The USB-C That Does It All | Thunderbolt Technology Community” (英語). 2019年11月30日閲覧.
  26. ^ a b c “Universal Serial Bus Type-C Cable and Connector Specification Release 2.0” (pdf) (英語). p. 37 Table 3-1. 2019年11月30日閲覧.
  27. ^ “NVM Express PCI Express Transport Specification, Revision 1.1” (PDF). NVM Express, Inc. 2024年8月5日. 2025年10月10日閲覧.
  28. ^ “Thunderbolt Technology Brief” (PDF). Intel. 2025年10月10日閲覧.
  29. ^ “eXtensible Host Controller Interface for USB (xHCI) — Revision 1.2b” (PDF). Intel. 2023年4月. 2025年10月10日閲覧.
  30. ^ “USB Attached SCSI Protocol (UASP) v1.0”. USB Implementers Forum. 2025年10月10日閲覧.
  31. ^ “USB4 System Overview” (PDF). USB-IF. 2019年. 2025年10月10日閲覧.
  32. ^ “USB4 Configuration Layer, USB3/DP/PCIe Tunneling(発表資料)” (PDF). USB-IF. 2019年. 2025年10月10日閲覧.
  33. ^ a b “Thunderbolt 4: Universal Cable Connectivity for Everyone(プレス資料)” (PDF). Intel. 2020年7月8日. 2025年10月10日閲覧.
  34. ^ カーネル DMA 保護」Microsoft Learn、2025年9月5日。2025年10月10日閲覧
  35. ^ “USB4 Interoperability Testing v1.05(抜粋)” (PDF). USB-IF. 2025年6月. 2025年10月10日閲覧.

関連項目

外部リンク




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