Y型星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 05:41 UTC 版)
「準褐色矮星」も参照 Y型のスペクトルを持つ褐色矮星はT型のものよりもさらに低温であり、T型とは定性的に異なるスペクトルの特徴を示す。2013年8月の時点では、17個の天体がY型に分類されている。これらの褐色矮星は理論的にモデル化され、WISE による観測では40光年以内の距離に発見されているものの、十分に定義されたスペクトル分類法やその原型は存在しない。それでも、いくつかの天体をスペクトル型Y0、Y1、Y2に分類しようという提案が行われている。 Y型に属すると考えられる天体のスペクトルは、1.55 µm 付近に吸収の特徴を持つ。Delorme らによる論文では、この特徴はアンモニアの吸収によるものであることが示唆されており、またこの特徴の有無をT型とY型を特徴づけるものとして取り扱うことが提案されている。実際、このアンモニアの吸収による特徴は、この分類を定義するために採用された主要な基準である。しかしこの特徴は水とメタンの分子による吸収と区別することが難しく、別の研究者らはY0型というスペクトル型を割り当てたのは早計であると述べている。 Y型のスペクトルを持つと考えられる中で最も晩期の褐色矮星は WISE 1828+2650 で >Y2型である。この天体の有効温度は 300 K 程度と推定されており、人間の体温に近い温度である。しかし年周視差の測定からは、この天体の光度は温度が 400 K 程度を下回る天体としては矛盾する値であるとの指摘もある。2020年の時点で知られている中で最も低温なY型矮星は WISE 0855-0714 で、約 250 K である。 Y型矮星の質量は9-25木星質量の範囲であるが、若い天体の場合は木星質量を下回る可能性もある。したがってY型の天体は、国際天文学連合が現在定めている褐色矮星と惑星の境界である、重水素の核融合が発生する限界質量の13木星質量をまたいで存在していることを意味する。
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