XFEL
レーザーの一種で、波長がおよそ100億分の1メートル(0.1ナノメートル)と、エックス線レベルの短波長であることを特徴とするレーザーのこと。
エックス線の波長は通常の可視光線よりもはるかに短く、波長の短さのために物質を透過する性質がある。そのため、医療写真の撮影や非破壊検査などに用いられる。レーザーは波の揃った高品質な光であり、CD・DVDの読み出しにも利用されているように、高速で精確な光の制御を行うことができる。XFELは、このエックス線とレーザーの両方の性質を備えているとされる。
関連サイト:
XFEL - 理化学研究所 播磨研究所
エックスせん‐じゆうでんしレーザー〔‐ジイウデンシ‐〕【X線自由電子レーザー】
X線自由電子レーザー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/14 13:55 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動X線自由電子レーザー(エックスせんじゆうでんしレーザー、英:X-ray free electron laser、略称:XFEL、エックス-エフ-イー-エル)とは、自由電子レーザーのうち、X線領域で発振を行うものから得られる光である。可干渉性を持ち、短いパルス幅、大きなピーク輝度を持つ。2014年の時点において、米国 (SLAC Linac Coherent Light Source: LCLS)、日本 (SACLA)、ヨーロッパ (欧州XFEL[1][2])が稼働中であり、 Swiss FEL[3]などにて建設が進められている。
概要
光発生のしくみ
非常に小さなエミッタンスをもつ電子銃から得られる電子ビームを加速し、アンジュレータを通過させることにより光を得る。アンジュレータを1回通過する間に十分な強度の光を発生(レーザー発振)させるためには、電子ビームが小さなエミッタンスでかつ大きなピーク電流を有することが必要となる。このためには電子ビームのエミッタンスを悪化させること無く輸送、加速すること、複数のアンジュレータの光軸を一致させること、その光軸と電子ビームの軌道を高い精度で一致させることが重要である。
用途
大ピーク強度、可干渉性、短いパルス幅の特長を生かし、下記のような用途に用いられている[4]。
- 大ピーク強度を活かした膜たんぱく質をはじめとする高難易度ターゲットの結晶構造解析(シリアルフェムト秒結晶学)
- 短パルス幅を利用した無損傷データ収集[5][6]
- 時分割測定
- ウイルスや金属粒子など非結晶性試料のコヒーレント回折イメージング(CDI)
脚注
- ^ European XFEL
- ^ 世界最大のX線レーザー、欧州XFELがハンブルクで運用開始(2017年9月1日 共同通信)
- ^ SwissFEL
- ^ Discussion Meeting Issue ‘Biology with free-electron X-ray lasers’Phil. Trans. R. Soc. B. 369 20130309
- ^ Hirata, Kunio; Shinzawa-Itoh, Kyoko; Yano, Naomine; Takemura, Shuhei; Kato, Koji; Hatanaka, Miki; Muramoto, Kazumasa; Kawahara, Takako et al. (2014). “Determination of damage-free crystal structure of an X-ray–sensitive protein using an XFEL”. Nature Methods 11 (7): 734–736. doi:10.1038/nmeth.2962. ISSN 1548-7091.
- ^ SACLAが、放射線損傷のない正確な結晶構造の決定に、タンパク質で初めて成功
関連項目
外部リンク
X線自由電子レーザーと同じ種類の言葉
レーザーに関連する言葉 | 歯科レーザー ルビーレーザー X線自由電子レーザー イントラFSレーザー 化学レーザー |
- X線自由電子レーザーのページへのリンク