ユーアールアイ‐スキーム【URIスキーム】
読み方:ゆーあーるあいすきーむ
Uniform Resource Identifier
(URIスキーム から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/01 23:52 UTC 版)
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Uniform Resource Identifier(ユニフォーム リソース アイデンティファイア、URI)とは、抽象的または物理的なリソースを識別するためのコンパクトな文字列のことである[1]。また、一定の書式によってリソース(資源)を指し示す識別子である[2]。統一資源識別子(とういつしげんしきべつし)とも[3]。
1998年8月に RFC 2396 として規定され、2005年1月に RFC 3986 として改定された。URI はUniform Resource Locator (URL) の考え方を拡張したものである。URIによって示されるリソースは限定されておらず、インターネット上に存在しない対象や抽象的な概念を示す場合もある[4]。
設計
URL と URN
 
   URI には、以下の2つのサブセットがある。
- Uniform Resource Locator (URL)
- リソースの「場所」を識別する。ネットワーク内の位置を示してリソースを同定する。
- Uniform Resource Name (URN)
- 
    リソースの「名前」を識別する。もしネットワーク上にリソースがなくなっても、一意で永続的な識別を行えるようにする。例えば urn:ietf:rfc:2648というURNは、RFC 2648への参照を示す。
2001年、W3Cは RFC 3305[5]内で、上記の考え方を古典的な見解とした。以降、従来のURLとURNとはすべて「URI」と呼ばれることになり、URLやURNといった語はW3Cによって非公式な表現とされた。
一方、2012年、WHATWGによって開始されたURL Standard(URLを標準化を目指す規格書)では、URIの概念を表す語に「URL」を用いている。規格書では、語「URL」を標準化した理由を二つ挙げている。一つ、URIとIRIは混同されやすく、いずれも同じアルゴリズムを用いている。そのため、それらを区別する利点がない。二つ、Google Trends(2025年時点)で「URI」と「URL」の二つの語を比較すると、「URL」の方が優位である。つまり、インターネット上では、「URL」という言葉を使用しているユーザーの方が多い[6]。
URL Standardでは、目標の1つとして RFC 3986 (URI) と RFC 3987 (IRI) に代わる標準になることを掲げている[7][6]。現在、唯一の標準には至っていないが、W3CのURL規格の公式ページでは、このURL Standardのスナップショットをワーキンググループノートとして公開している[8]。
共通構文
以下のURI共通構文はすべてのスキーム構文で扱うスーパーセットの定義である。なおこの節(下位含む)では2005年1月に発表された RFC 3986 [9]を主に出典とする。
URI = scheme:[//authority]path[?query][#fragment]
構文図と各コンポーネントの解説は次の通り。
 
   - 
    scheme(スキーム)
- 
    URIはこの「スキーム」と呼ばれる識別子から始まり、省略できない。階層的識別子(Hierarchical Identifiers)である:(コロン)はスキームの区切り文字でスキーム名の最後に挿入する。
 スキーム名は文字で始まり、文字、数字、+(プラス記号)、-(ハイフン)、.(終止符)で構成される文字列となる。大文字と小文字を区別しないが、一貫性を保つために小文字の使用を推奨している。
- 
    authority(権限)
- 
    権限は//(ダブルスラッシュ)の区切り文字から始まる。userinfo(ユーザー情報)やhost(ホスト)の扱いは各スキームよって異なる。
 URIの考案者であるティム・バーナーズ=リーは2009年10月12日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズにて権限の区切り文字であるダブルスラッシュについて「必要ではないことが判明した」と述べている[10](※規格制定時に、ダブルスラッシュでとする必然性は無かったとの趣旨であり、制定済みの規格(発言当時の規格)において、これが無くとも問題はないという趣旨ではない。)。
- 
    path(パス)
- 
    URIに権限が含まれている場合、パスに文字がなくても/(スラッシュ)で始める必要があり、このことからパスを省略することはできない。権限が含まれていない場合は//で始めることはできない。さらに相対パスである場合は:から始めることはできない。パスに?(疑問符)、#(番号記号)を含む、あるいは末尾の場合、パスの終わりを示す。階層的(hierarchical)に構成されたデータが含まれ、階層は/で区切る。
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    query(クエリ)
- 
    クエリは?の区切り文字から始まり、#また末尾で終える。パスと違い、階層的なデータを含まない。RFC 3986、第3章4節において明確な構文は示されていない。
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    fragment(フラグメント、素片)
- 
    フラグメントは#の区切り文字から始まる。任意な扱いで、プライマリ(一次)リソースを参照し、セカンダリ(二次)リソースへ提供するフラグメント識別子を含む。クエリと同様に明確な構文は示されていない。
 一例としてプライマリリソースがHTMLドキュメントの場合、要素のid属性に何かしらの値を指定し、フラグメントにも同様の値を指定することで、ウェブブラウザは表示の際にその要素の位置までスクロールする。ウィキペディアでは「アンカー」と呼ばれる機能が該当する。
予約文字とパーセントエンコーディング
| gen-delims | : | / | ? | # | [ | ] | @ | N/A | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| sub-delims | ! | $ | & | ' | ( | ) | * | + | , | ; | = | 
上記で列挙した文字は、URI共通構文で区切りとして予約された文字(Reserved Characters)であるため、コンポーネント内で直接使用することはできない。なお[と](角括弧)はIPv6の区切り文字である。sub-delimsはURIスキームの仕様によって定義されることがある。 
パーセントエンコーディング(Percent-Encoding)は上記で列挙した予約文字などをURIで使えるよう、別の形式に変換する。名前のとおり、パーセント記号%とオクテットを16進数で表現した文字を組み合わせた形式で表す。例えばスペース(空白)文字 をパーセントエンコーディングすると%20に変換される。 
予約されていない文字(Unreserved Characters)は、制約がなく、コンポーネント内で自由に使える文字。予約されていない文字は次の通り(RFC 3986 第2章3節)。
なおチルダ~は古いURIの仕様によってしばしば%7eに変換されることがある。しかしチルダ含め、予約されていない文字の変換は本来必要ない。 
http/httpsスキームの構文例
http/httpsスキームの構文を使った例[11]:
| スキーム | 権限 | パス | ||||
| https: | // | user:password@ | www.example.com:123 | /forum/questions/ | ?tag=networking&order=newest | #top | 
| ユーザー情報 | ホスト:ポート | クエリ | フラグメント | |||
#共通構文と同じコンポーネントの解説は除く。
userinfo(ユーザー情報、認証情報)はホスト:ポートよりも先に記載する必要がある。開始の区切り文字はなく、@(アットマーク)で区切ることでユーザー情報の終わりを示す。ユーザー情報の形式はuser:passwordである。URIにユーザー情報が付加され、かつその情報が正しければウェブブラウザは認証ダイアログを表示せずプライベートページを表示させることができる。認証情報を平文で示すため、パスワードを含んだ認証情報は非推奨である。これはURL Standardでも同様である。 
host(ホスト)はhttp/httpsスキームにおいて必要な権限であり、省略することはできない。port(ポート)はスキームのデフォルトポートであれば省略できる。 
クエリはパスに対しての引数であるがその構文は明確に示されていない。一般的な利用法は、「名前」と「値」の組み合わせ(名前-値ペア、またはキーペアなど)で扱われ、構文にするとkey=valueとなり、「名前」と「値」の間は=(イコール)で結ぶ。このペアが複数存在する場合、上記構文例のように&(アンパサンド)で繋げる。クエリはWebサーバーおよびクライアント側で処理できる。URL StandardではJavaScript上でクエリ文字列を簡単に扱えるようURLSearchParams()メソッドが実装されている[12]。 
フラグメントはクライアントのみ影響する。URIを決定する際、アプリケーションはフラグメントを除外してからサーバーにリクエストを送る[13]。
公式登録のスキーム
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       この節の加筆が望まれています。
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IANAに登録されているスキームで、利用が続いている一部を掲載する[14]。
| スキーム | 名称 | 仕様書・出典 | 構文 | 用途・備考 | 
|---|---|---|---|---|
| aaa | RFC 6733 |  | ||
| aaas | RFC 6733 |  | ||
| about | アバウト | RFC 6694 | about://<token>[?query][#fragmen] | 主にウェブブラウザの情報表示なとで用いられる。RFC 6694が定めるトークンは blankひとつのみであるが、固有機能は各トークンを参照し、処理することが推奨されている。 | 
| acap | RFC 2244 |  | ||
| acct | RFC 7565 |  | ||
| cap | RFC 4324 |  | ||
| cid | コンテンツID(Content Identifier) | RFC 2392 | cid:<content-id> | HTML形式の電子メールやMHTMLではMIMEマルチパートのコンテンツで指定された Content-IDが存在している場合、ドキュメントからcidスキームを使うことで参照できる。例: <img src="https://cdn.weblio.jp/e7/img/dict/wkpja/cid:example"> | 
| coap | RFC 7252 |  | ||
| coap+tcp | RFC 8323 |  | ||
| coap+ws | RFC 8323 |  | ||
| coaps | RFC 7252 |  | ||
| coaps+tcp | RFC 8323 |  | ||
| coaps+ws | RFC 8323 |  | ||
| crid | RFC 4078 |  | ||
| data | データURI(データURL) | RFC 2397 | data:<mediatype(;parameter)>[;base64]<,data> | メディアタイプで指定されたコンテンツをデータに添付することで、HTMLドキュメントなどから参照することができる。 コンテンツがプレーンテキスト以外ならBase64でエンコードする必要がある、 | 
| dav | ウェブダブ(WebDAV) | RFC 4918 |  | |
| dict | RFC 2229 |  | ||
| dns | Domain Name System | RFC 4501 |  | |
| example | 例 | RFC 7595 | example:<foo> | スキーム構文例のために登録されたスキーム。RFC 7595は新しいスキームを登録する手順やガイドラインである。 | 
| file | file URI scheme | RFC 8089 | file://[[userinfo@]<host>]</path> | ホストのファイルパスを提示するスキーム。構文で示しているように、権限は認証情報が必要ない、かつローカルホストであれば省略できるため、 file:///からパスが始まる。 | 
| ftp | ファイル・トランスファー・プロトコル | RFC 1738 | #共通構文 参照 | |
| geo | RFC 5870 |  | ||
| go | RFC 3368 |  | ||
| gopher | RFC 4266 |  | ||
| h323 | H.323 | RFC 3508 | h323:[<user>@]<host[:port]>[;url-parameter] | |
| http https | ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル | RFC 7230 2章7節1項 および 2章7節2項 | #http/httpsスキームの構文例 参照 | |
| iax | RFC 5456 |  | ||
| icap | RFC 3507 |  | ||
| im | RFC 3860 |  | ||
| imap | RFC 5092 |  | ||
| info | RFC 4452 |  | ||
| ipp | RFC 3510 |  | ||
| ipps | RFC 7472 |  | ||
| iris | RFC 3981 |  | ||
| iris.beep | RFC 3983 |  | ||
| iris.lwz | RFC 4993 |  | ||
| iris.xpc | RFC 4992 |  | ||
| iris.xpcs | RFC 4992 |  | ||
| ldap | RFC 4516 |  | ||
| leaptofrogans | RFC 8589 |  | ||
| mailto | RFC 6068 |  | ||
| mid | RFC 2392 |  | ||
| msrp | RFC 4975 |  | ||
| msrps | RFC 4975 RFC 8873 |  | ||
| mtqp | RFC 3887 |  | ||
| mupdate | RFC 3656 |  | ||
| news | RFC 5538 |  | ||
| nfs | RFC 2224 |  | ||
| ni | RFC 6920 |  | ||
| nih | RFC 6920 |  | ||
| nntp | RFC 5538 |  | ||
| opaquelocktoken | RFC 4918 |  | ||
| pkcs11 | RFC 7512 |  | ||
| pop | RFC 2384 |  | ||
| pres | RFC 3859 |  | ||
| reload | RFC 6940 |  | ||
| rtsp rtspu rtsps | リアルタイム・ストリーミング・プロトコル | RFC 2326 RFC 7826 | rtsp://<host[:port]>/path | 通常rtspとrtspsの通信プロトコルはTCPであるが、rtspuはUDPとなる。 | 
| service | RFC 2609 |  | ||
| session | RFC 6787 |  | ||
| shttp | RFC 2660 |  | ||
| sieve | RFC 5804 |  | ||
| sip | RFC 3261 |  | ||
| sips | RFC 3261 |  | ||
| sms | ショートメッセージサービス | RFC 5724 | sms://<recipient[,recipient...]>[?fields]recipient = [+global-number]<local-number> | |
| snmp | RFC 4088 |  | ||
| soap.beep | RFC 4227 |  | ||
| soap.beeps | RFC 4227 |  | ||
| stun | RFC 7064 |  | ||
| stuns | RFC 7064 |  | ||
| tag | RFC 4151 |  | ||
| tel | 電話番号 | RFC 3966 RFC 5341 | tel:[+global-number]<local-number> | |
| telnet | RFC 4248 |  | ||
| tftp | RFC 3617 |  | ||
| thismessage | RFC 2557 |  | ||
| tip | RFC 2371 |  | ||
| tn3270 | RFC 6270 |  | ||
| turn | RFC 7065 |  | ||
| turns | RFC 7065 |  | ||
| tv | RFC 2838 |  | ||
| urn | RFC 8141 |  | ||
| vemmi | RFC 2122 |  | ||
| vnc | RFC 7869 |  | ||
| ws wss | WebSocket | RFC 6455 | ws://<host>[:port]<path>[?query] | ポート番号のデフォルトはhttp/httpsと同様。 | 
| xcon | RFC 6501 |  | ||
| xcon-userid | RFC 6501 |  | ||
| xmlrpc.beep | RFC 3529 |  | ||
| xmlrpc.beeps | RFC 3529 |  | ||
| xmpp | RFC 5122 |  | ||
| z39.50r | RFC 2056 |  | ||
| z39.50s | RFC 2056 |  | 
一般的な非登録のスキーム
プログラミング環境でのサポート
いくつかのプログラミング言語や環境では、ネットワーク通信などでURIを扱う際に便利なクラスライブラリなどが標準的に用意されている。Javaではjava.net.URIが、.NETではSystem.Uri[16]が用意されている。Androidではandroid.net.Uriクラスが用意されている[17]。通例、ネットワークリソースだけでなく、ローカルのファイルシステム上におけるリソースを統一的に指し示す目的でも使用される。 
関連項目
- Extensible Resource Identifier (XRI)
- Internationalized Resource Identifier (IRI)
- 短縮URI (CURIE)
- Uniform Resource Locator (URL)
- Uniform Resource Name (URN)
- 名前空間
- パーセントエンコーディング
脚注
- ^ Stallings, William (2016). Foundations of modern networking : SDN, NFV, QoE, IoT, and Cloud. Florence Agboma, Sofiene Jelassi. Indianapolis, Indiana. ISBN 978-0-13-417547-8. OCLC 927715441
- ^ Uniform Resource Identifier (URI): Generic Syntax (英語). January 2005. doi:10.17487/RFC3986. RFC 3986.
- ^ JIS X 4159:2005「拡張可能なマーク付け言語 (XML) 1.0」(日本産業標準調査会、経済産業省) 9頁
- ^ “Overview of URIs”. Uniform Resource Identifier (URI): Generic Syntax (英語). sec. 1.1. doi:10.17487/RFC3986. RFC 3986.
- ^ RFC 3305 - URIs, URLs, and URNs: Clarifications and Recommendations 1.0
- ^ a b “URL Standard (日本語訳) 目標” (jp) (2017年6月1日). 2025年6月23日閲覧。
- ^ “URL Standard Goals” (英語). WHATWG (2017年6月23日). 2017年6月23日閲覧。 “Align RFC 3986 and RFC 3987 with contemporary implementations and obsolete them in the process.”
- ^ “URL: W3C Working Group Note 06 December 2016”. W3C (2017年3月7日). 2025年7月31日閲覧。
- ^ Berners-Lee, Tim; Fielding, Roy T.; Masinter, Larry M. (2005-01). Uniform Resource Identifier (URI): Generic Syntax.
- ^ “The Web’s Inventor Regrets One Small Thing” (英語). ニューヨーク・タイムズ. (2009年10月12日) 2021年8月31日閲覧。
- ^ “ウェブ上のリソースの識別”. MDN Web Docs. Mozilla. 2021年9月5日閲覧。
- ^ “URLSearchParams”. MDN Web Docs. Mozilla. 2021年8月31日閲覧。
- ^ RFC 7230 参照
- ^ a b “Uniform Resource Identifier (URI) Schemes” (英語). IANA. 2021年9月1日閲覧。
- ^ “draft-hoehrmann-javascript-scheme-03” (英語). Internet Engineering Task Force (2010年9月25日). 2021年9月8日閲覧。
- ^ Uri Class (System) | Microsoft Learn
- ^ Uri | Android Developers
参考資料
- 
    RFC 2396 - Uniform Resource Identifiers (URI): Generic Syntax (旧) 
    - TS X 0097:2004 - 統一資源識別子(URI) 共通構文 標準仕様書(TS)
 
- RFC 3986 - Uniform Resource Identifier (URI): Generic Syntax
- RFC 8820 - URI Design and Ownership
- URL Standard
- URI Schemes - IANAのURIスキーム登録簿
URIスキーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 17:40 UTC 版)
「WebSocket」の記事における「URIスキーム」の解説
WebSocketプロトコルの仕様書はws: と wss:という2つの新しいURIスキームを定義している。
※この「URIスキーム」の解説は、「WebSocket」の解説の一部です。
「URIスキーム」を含む「WebSocket」の記事については、「WebSocket」の概要を参照ください。
- URIスキームのページへのリンク

 
                             
                    






