Teide 1 - 初めてのM型褐色矮星
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「褐色矮星」の記事における「Teide 1 - 初めてのM型褐色矮星」の解説
初めて確認された褐色矮星は、スペインの天文学者 Rafael Rebolo、María Rosa Zapatero Osorio、Eduardo Martín によって1994年によって発見された。プレアデス星団の中に発見されたこの天体は、Teide 1 という名前が付けられた。この天体の発見論文は1995年5月にネイチャー誌に投稿され、同年9月14日に出版された。ネイチャー誌はその号の表紙で "Brown dwarfs discovered, official" (褐色矮星が公式に発見された) と強調した。 Teide 1 は、カナリア天体物理研究所(英語版) (IAC) のチームによって、1994年1月にテイデ天文台(英語版)の 80 cm 望遠鏡 (IAC 80) を用いて取得された画像の中から発見された。またこの天体のスペクトルは、ロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台の 4.2 m ウィリアム・ハーシェル望遠鏡を用いて1994年12月に取得された。Teide 1 は若いプレアデス星団の一員であるため、距離、化学組成と年齢は推定することが可能である。この時点で最も先進的だった恒星と亜恒星天体の進化モデルを用いて、観測チームは Teide 1 の質量を 55 ± 15 木星質量と推定した。これは恒星となるための下限質量を下回るものである。この天体は、その後の若い褐色矮星に関連した研究における参考となった。 理論的には、65木星質量よりも軽い褐色矮星は、その進化のいかなる段階でもリチウムを熱核融合で燃焼することはできない。この事実は、低光度で低表面温度の天体が恒星ではないことを判断するために用いられるリチウムテストの原則の1つとなっている。 1995年11月にケック!望遠鏡を用いて得られた高品質のスペクトルデータでは、Teide 1 はプレアデス星団を形成する元となった分子雲の初期のリチウム存在度を依然として保っていることが示され、核でリチウムの熱核融合が発生していないことが証明された。これらの観測によって Teide 1 が褐色矮星であることが確実となり、また分光観測でのリチウムテストの有効性を示すことにもなった。 同時に、Teide 1 は直接観測によって同定された中では最も小さな太陽系外の天体であった。この天体の発見以降、1800 個を超える褐色矮星が同定されている。それらの中には、より地球に近く、12光年の太陽に似た恒星に重力的に束縛された褐色矮星の連星であるインディアン座ε星Ba と Bb、6.5光年の距離にある褐色矮星同士の連星系 WISE J104915.57-531906.1 がある。
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