TALENについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 22:06 UTC 版)
TALEN(英語版)は日本語で転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼとも呼ばれる。制限酵素であるFokI(英語版)をDNA切断ドメインとして、植物病原細菌キサントモナス属 (Xanthomonas) から分泌されるTALEタンパク質のDNA結合ドメインを融合させた人工酵素である。 TALEタンパク質から成るDNA結合ドメインは34個程度のアミノ酸の繰返し構造をとっている。この繰返しの単位をモジュールとよぶ。その中で、アミノ酸第12位と13位が可変となっており、標的配列と結合する部分で「反復可変二残基」(RVD) と呼ばれる。TALENは原理の説明図の中に示したように、L TALENとR TALENのペアとして、標的DNAの反対鎖にそれぞれ結合する必要がある。つまり、FokIが切断活性を示すためには、TALENが適切な距離を維持して二量体を形成する必要がある。TALENにおけるミスマッチ寛容やオフターゲット活性はほとんど報告されておらず、高い特異性が特徴である。 Golden Gate法では、10モジュールのアセンブリを用いてTALENプラスミドを構築する。これに改良を加えて、高速かつ簡便に高活性なTALENを作成する手法が開発され、Platinum TALENと名付けられた。主な改良点は、作成したプラスミドの活性評価が哺乳動物の培養細胞で行えること、モジュールのアセンブリにおける失敗を減じるため6または4モジュールのアセンブリを用いること、切断活性を向上させたこと、活性が向上したにも関わらず細胞毒性を出さない工夫がなされたことである。 広島大学では、TALENやCRISPR/Cas9により外来遺伝子を挿入する手法として相同組換えを用いる際に、相同組換え活性の低い細胞種や生物種では、挿入効率が低いという問題点があったところを、相同組換えに依存しない遺伝子挿入法(マイクロホモロジー媒介性末端結合:MMEJ)を用いる手法を開発し、PITChシステムと名付け、プロトコルとして発表した。 なお、TALENはCellectis Groupによる登録商標とのこと。
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