Serial Attached SCSIとは? わかりやすく解説

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エス‐エー‐エス【SAS】


サス【SAS】

読み方:さす

《serial attached SCSI》⇒エス‐エー‐エスSAS


SAS

フルスペル:Serial Attached SCSI
読み方エスエーエス
別名:シリアルアタッチドSCSI

SASとは、SCSI規格一種で、SATASerial ATA)のインターフェース採用してシリアル通信可能にした規格のことである。Serial Attached SCSI Working Groupによって開発された。

SCSI規格では、データ転送方式として、複数通信線によって複数データ平行して転送するパラレル転送方式採用されてきた。しかし多くデータ信号同時に転送されることで、各信号伝わり方にわずかな差が生じていた。SASでは、高速シリアル転送によって信号の差をなくし、より高精度転送可能にしている。

SASはアメリカ規格協議会ANSI)で標準化推進されており、2003年初めドラフト発表された。2006年1月にはSAS-1.1のドラフト発表されている。SASは2006年夏ごろの本格対応が見込まれており、Ultra320 SCSI代わる高速転送実現する規格として期待されている。


参照リンク
Serial Attached SCSI - Tutorials - (英文
接続インターフェースのほかの用語一覧
IDE/ATA:  mLAN  SCSI  SDAT  SAS  SCSI-2  SCSI-3  SCSI-1

Serial Attached SCSI

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/16 04:04 UTC 版)

SASコネクター(Internal)
SASコネクター(External)

Serial Attached SCSISAS; サス)は、コンピュータハードディスクドライブ等のストレージデバイスを接続するためのインターフェースである。SCSI規格の一種であり、それまではパラレル通信であったSCSI規格をその名の通りシリアル化したものである。

"Ultra-320 SCSI"の後継にあたる規格である。サーバとHDD、もしくはテープドライブとの接続に用いられることが主である。コンシューマ向けにはシリアルATA(SATA)の方がよく使われている。

INCITS (International Committee for Information Technology Standards)のT10技術委員会がプロトコルの開発・維持を行い、SCSITA(SCSI Trade Association)が普及活動を行っている。

経緯

SCSIは当初パラレル・インターフェースであったが、2000年3月に規格が策定されたUltra-320でも16組の差動信号線を80 MHzのDDRで駆動することは難しく[注釈 1]、既にこの時点でも限界が来ていた[1]。2000年から2003年の間により高速な次世代パラレルSCSI規格を策定、製品実装、出荷することは可能ではあったが、相互接続時の安定動作に不安要素が多く、ハードウェアベンダーにとって大きなリスクであった[1]。また、もう1つのHDDインターフェース規格であったパラレルATAが同様の問題を回避するために2000年にシリアルATAへと舵を切り始めており、パラレル技術を継続する妥当性も問われた。最終的にATAと同様に太い接続コードと大きなコネクタ類から開放されて、今後高速化の余地が得あるシリアル化を模索することにした。パラレルSCSIの次の規格であった"Ultra-640"は2003年に策定されたが、あまり普及していない。

最初の仕様である"SAS-1.0"が2003年5月8日に正式に標準となり[2]、2006年頃から本格的に普及し始めている。

特徴

SATAと比較して一般に高価、高信頼であり主にサーバ用途である。転送速度は4.0規格で最大2,400MB/s。通信方式が全二重である事、デュアルポートをサポートし冗長化が可能な事も高信頼な理由の一つである。また最大ケーブル長が10mまでとSATAの十倍程度と長く(ファイバーチャネルには及ばないが)、テープドライブのような筐体外にある外部ストレージと接続するのにも適している。

コネクタはInternal/External、ピン数などの仕様に応じて複数の種類があり、SFF-8xxxのように表記される(例:SFF-8086, Internal, 26ピン)。

SATAデバイスを接続できる事も特徴であり[注釈 2]、実際にSATA規格のデバイスをそのままSASコネクタに嵌合することが可能である[1]。例えばコンピュータにSASホストバスアダプタを搭載さえすれば、デバイスはSATA/SASどちらとも接続できる。これにより両者の混在環境も可能となる。ただしその逆のSATAインターフェースにSASデバイスを嵌合することは不可能である。

従来のパラレルSCSIと比べてコネクタのサイズが小さくできたため、サーバ用途で望まれていたHDDの小型化が実現できた。SCSIベースのHDDのフォームファクタが3.5から2.5インチへと主流が移行しつつある[注釈 3]

規格

SAS-1.0

  • 全二重通信のポイント・ツウ・ポイント接続
  • 3 Gb/sの信号帯域幅[3](実効データレート 300 MB/秒)[注釈 4]
  • 8b/10bエンコード方式
  • 1ポートあたりの最大接続数は128台まで(後述のSAS Expanderで約16,384台まで接続が可能)
  • デュアルポート接続が可能[1]
  • マルチレーンに対応[4]

SAS 2.0

SAS 2.1

  • 6 Gb/s(実効データレート600 MB/秒)

SAS 3.0

  • 12 Gb/s(実効データレート1200 MB/秒)

SAS 4.0

  • 24 Gb/s[5](実効データレート2400 MB/秒)
  • 128b/150bエンコード方式

SAS Expander

SAS Expander(SASエキスパンダ)はコンピュータのSASポート数以上のデバイスを接続可能にする拡張性拡大のための機能、デバイス。USBハブのような中継デバイスである。規格上は最大1万6384台を接続できる。SAS Expanderを多重化することも可能である。

脚注・出典

注釈 

  1. ^ プリエンファシスやトレーニングといったシグナルスキューを抑える努力はなされたが、回路規模の肥大化が無視出来なかった。
  2. ^ SAS-1規格でもSASコネクタをSATAベースのHDDに接続可能である。SASコントローラの中には接続されたHDDがSASかSATAかを正しく認識してモードを切り替える。SAS-2では両者の信号線は電気的に同一となった。異なるのは信号を生成・解釈する上位プロトコルである。
  3. ^ サーバではラック内に高密度にHDDを搭載する事が重要でありより小型が歓迎される場合もある。
  4. ^ 2009年4月にSAS-2のドラフトが確定。1.5, 3, 6 Gb/s (gigatransfers per second) を予定し、2010年9月現在はSAS-2.1とSAS-3が作業中。SAS-3は12 Gb/sを予定。

出典 

  1. ^ a b c d 伊勢雅英 (2005年). “今年夏に本格始動する次世代のSerial Attached SCSI [前編]”. 伊勢雅英のストレージ最前線. https://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/storage/2005/06/27/5579.html 2009年8月30日閲覧。 
  2. ^ "STA ANNOUNCES COMPLETION OF SERIAL ATTACHED SCSI SPECIFICATION" (Press release) (英語). SCSI Trade Association. 2009年11月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年9月5日閲覧
  3. ^ 伊勢雅英 (2005年). “今年夏に本格始動する次世代のSerial Attached SCSI [後編]”. 伊勢雅英のストレージ最前線. https://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/storage/2005/07/11/5698.html 2009年8月30日閲覧。 
  4. ^ 伊勢雅英 (2005年). “今年夏に本格始動する次世代のSerial Attached SCSI [中編]”. 伊勢雅英のストレージ最前線. https://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/storage/2005/07/04/5640.html 2009年8月30日閲覧。 
  5. ^ Teledyne LeCroy Showcases World’s First SAS 4.0 (24 Gb/s) Live Demonstration at DesignCon 2017”. 2021年10月8日閲覧。

関連項目

外部リンク



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