SNB・EABOの創案
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「遠征前進基地作戦」の記事における「SNB・EABOの創案」の解説
2001年のアメリカ同時多発テロ事件以降、海兵隊は陸軍とともにアフガニスタン紛争・イラク戦争に部隊を派遣し、陸上での持続的作戦への傾斜を深めていた。2010年、当時のゲーツ国防長官は、このような経緯によって海兵隊が伝統的な水陸両用作戦から離れてきたと指摘し、現代の対艦ミサイルの脅威下で以前のような強襲上陸作戦が実行可能かを見直して、21世紀の海兵隊の在り方を検討するよう指示した。 海兵隊内部でも海軍軍種としてのアイデンティティ喪失が問題視されていたこともあって、「海軍・水陸両用ルーツ」への回帰が志向されるようになった。2010年5月に海軍・海兵隊・沿岸警備隊が公表した海軍作戦コンセプト(2010 NOC)では、同格の競争者などによる接近阻止を克服する必要性に対して「海洋を機動空間として活用」することを強調し、制海と戦力投射の相互関係に言及しつつ、諸兵科・軍種の連携によってこれを達成することを提唱した。そして翌月に公表された海兵隊作戦コンセプト(2010 MOC)では、海軍と海兵隊の連携を強化して、制海のために水陸両用作戦を行う可能性を述べた。 2011年9月、海兵隊は「21世紀の海軍・統合戦闘の文脈におけるチャレンジと機会を評価」することを目的として水陸両用能力ワーキンググループ(ACWG)を設置した。翌2012年4月に公表された報告書では、将来の「海軍の戦いの『原則』」の第一として「単一の海軍戦闘」(single naval battle, SNB)が提言されたが、その一環として、敵のA2/AD圏内に「フットプリントの小さい陸上戦力」を配置することが提案された。これは緊要地形を確保し、前方ミサイル防衛拠点の確保・防衛や遠征飛行場の設営を行うもので、後の海兵隊の作戦コンセプトにつながる構想であった。そして海兵隊の基幹コンセプトとして2014年に公表されたEF21(Expeditionary Force 21)において、初めて「EABOコンセプト」として言及された。
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