SNAr機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/26 01:21 UTC 版)
SNAr機構は、ニトロ基などの電子求引基を持つ芳香族ハロゲン化物やピリミジンなど電子欠如型複素芳香環ハロゲン化物に見られる反応機構である。 ハロゲンが結合している炭素(イプソ炭素)へ求核剤が攻撃し、付加体を作る。この付加体を「σ錯体」と呼ぶ。広義として「マイゼンハイマー錯体」と呼ぶこともある。 σ錯体よりハロゲン化物イオンが脱離し、置換生成物を与える。 基質が持つ電子求引基は中間体の σ錯体の電荷を非局在化させて安定化するはたらきを持つ。ハロゲンの反応性は律速段階の場所によって異なり、求核剤の付加が律速である場合は F > Cl > Br, I と立体障害の小さな基質が有利であり、ハロゲン化物イオンの脱離が律速である場合は I > Br > Cl > F の順と、炭素-ハロゲン結合が弱い基質が有利となる。 このようにSNAr反応は付加-脱離という段階的な機構で進むと考えられていたが、原型的なSNAr反応は段階的ではなく協奏的に進行することが速度論的同位体効果と計算から示されている。
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