PC上での利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 15:31 UTC 版)
ATRAC3およびATRAC3plusは、AV機器・設備で内部的に使われることの多かったATRAC、ATRAC2とは違い、PC上でファイルとして利用されることが多い。 初めてATRAC3をサポートした一般向けソフトウェアは、ソニーの「OpenMG Jukebox」である。OpenMG Jukeboxは1999年末に発売されたウォークマンに添付されていた音楽管理・転送ソフトウェアで、ATRAC3でのCDリッピング、PC上のWAV・MP3ファイルのATRAC3変換、およびウォークマンへの転送機能が用意されていた。 これらの機能は、ソニーが後年開発したSonicStageやCONNECT Player、その後継のx-アプリでもサポートされている。また他社からもジャストシステムのBeatJam、ケンウッドのMuliaなど、主にNet MD機器向けに対応ソフトウェアがリリースされている。 ATRAC3plusへ初めて対応したソフトウェアは、バイオの2002年秋モデルにプリインストールされたSonicStage Ver.1.5である。当初は64kbps、48kbpsの2モードに対応し、ATRAC3の3モードよりも高圧縮・低音質の用途に振られていたが、Ver.2.0からは256kbps、Ver.3.2では320kbps、192kbps、160kbps、128kbps、96kbps、Ver.3.4では352kbpsが追加され、ATRAC3 132kbpsよりさらに高音質なモードを含む、幅広い用途をカバーするようになった。 SonicStage Vとx-アプリ(Ver.1.0)ではMP3・WAVなど他のフォーマットからATRACに変換する機能は削除され、CDからの取り込みのみ対応している。BeatJamなどではファイルのATRAC変換も可能である。 ATRAC3ファイルの本来の拡張子は"aa3"だが、OpenMG Audioコンテナに格納した"oma"が利用されることがほとんどである。なお、OpenMGで暗号化した場合の拡張子は"omg"(OpenMGコンテナ)もしくは"oma"となる。"omg"はOpenMG Jukeboxや初期のSonicStageで使われていたが、"oma"登場以降は新たなファイル作成ができなくなり、CONNECT PlayerやSonicStage V、x-アプリでは非対応となった。"oma"はSonicStageバージョン2.1で登場し、初期は暗号化したファイルしか作れなかったが、CONNECT PlayerやSonicStageバージョン3.2以降は暗号化が任意となった。 ギャップレス再生に関しては、LAMEでエンコードしたMP3のように曲ファイルそのものにギャップレス情報を埋め込むわけではないので個別にエンコードしたファイルのギャップレス再生はできないが、所謂擬似ギャップレスには対応しており、CD全体、もしくは何曲かまとめてエンコードすることによってギャップレス再生に対応している。また本来ミニディスク向けフォーマットから発展したためか、ミニディスクと同様のカット編集(分割・結合)がx-アプリなどの対応ソフトウェアで行えるようになっている。
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