P式血液型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 04:56 UTC 版)
(便宜上関係のあるGloboside式血液型についてもここで触れる、また古い資料によっては「Q式血液型」の名前で詳しく乗っているものもあるのでそれも説明する。) 1927年にランドシュタイナーらによってウマの血清より抗体が発見された型で、表現型はP1、P2、P1K、P2K、pとあり、P1型=P1抗原とP抗原、P2型=P抗原、P1K型=P1抗原とPK抗原、P2K型=PK抗原、p型=抗原なしという組み合わせだが、P1KとP2K(いずれも稀血)は本来はGloboside式血液型による型で、こちらの遺伝子を持っていないとP抗原が完成されずに不完全なPK抗原ができてしまうため、P抗原を異物として自然抗体を持つようになる。このため本来のP式は大半の人にあてはまる抗P1抗体に反応する(P1型、日本人の35%)かしない(P2型、同65%)であり、このため表現型をP(+) (= P1)、P(−) (= P2) と書く場合もある。 Q式はUM型とも呼ばれ1935年に日本の今村昌一がブタの血清から抗体を発見し、ブタ血清の抗体に反応するこの抗原を「Q」と名付け、Q抗原を有する血球を大文字のQ型、持たぬ血球を小文字のq型とした。 今村や古畑自身も文献を調べた際にこのQ式がランドシュタイナーらのP式に似ていることには気が付いており、念のためランドシュタイナーからP式の凝集素(Pn)をもらって比較した所、被験者38名中両方の凝集素が凝集する(もしくは両方凝集しない)人が6割強ほどであったものの、片方だけ反応する例外が合計して3割弱(11人)あったため、お互い別物と考えたという。その後ドイツのダールも1940年にP式とQ式は似ているが別の血液型という意見を支持していたが、その後PとQの抗体抗原は同じものであるという考えが主流となり、現在は先に発見されたP式にまとめられている(P1=Q、P2=qになる)。 遺伝的にはP1 (Q) が優性遺伝する(P1P2遺伝子の表記型はP(+)になる=Qq遺伝子型はQ型になる)ため、P1 (Q) 型が片方でも親にいる場合は両方の型が生まれる可能性があるが、P2 (q) 型同士の子供は基本的にP2 (q) 型になる。 P2型の抗P1抗体は体温では反応しにくい(摂氏30度以上では反応が減じ、37度ではほとんど作用しない。)ため通常は輸血時に問題は生じないが、遅延型輸血副作用を招いた例があるほか、他の型 (p, P1K, P2K) は多数派のP1型やP2型の輸血で不適合問題を起こす。
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