ABO式血液型と体質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 13:56 UTC 版)
「ABO式血液型」の記事における「ABO式血液型と体質」の解説
血液型と病気の関連性については1980年代には持てはやされていたが、ヒトゲノム計画が終りつつあった2000年に、科学雑誌『Nature』にて総説が掲載され、その内容は「胃腸管に関するいくつかの形質に弱い相関が確認できるが、血液型と疾患の相関については再現性よく示されたものは無い」というものであった。その後の研究では、健康面(ストレス抵抗性や病気のリスク)へあるという報告は存在している。ABO式以外の血液型では特定の血液型のみある病気にかからないというものがいくつか見つかっている(P式血液型:p型とPk型のヒトパルボウイルスB19耐性、ダフィー式血液型:Fy(a-b-)型の三日熱マラリア耐性など。)が、ABO式では完全耐性の病気は見つかっておらず、下記のように相対値で数割ほど多い少ない程度の「あえて言えば」の範囲である。 マラリア:マラリアそのものの感染率は変わらないが、熱帯熱マラリアによって起きる脳性マラリアに移行するしやすさがA型がO型の1.3倍。(マラリアに寄生された赤血球が脳の血管に詰まるのが原因だがA型のみ毛細血管に若干くっつきやすい。) 胃(十二指腸)潰瘍:ピロリ菌の感染しやすさがO型のみ25%ほど高い(ピロリ菌はルイス抗原のb抗原につきやすいので、Aルイスb抗原やBルイスb抗原に変化しているA型やB型より、これがこのまま残るO型の胃壁につきやすい。) ノロウイルス:一部の株に限るが、H物質につくのでO型の感染率が若干高い。(以上3例山本(2015) p.180-188より) COVID-19:関係しないという説と、東アジア人種では関係するという説の両者がある。 免疫機構以外の病気の成りやすさで確認されているものでは、O型は血液凝固に必要なフォン・ウィルブランド因子の濃度が他の型より25%ほど低く、このため他の型よりわずかに血液が凝固しにくく、血栓が起きにくい(エコノミークラス症候群発生率がO型を基準とすると他の型は50%ほど多い)。
※この「ABO式血液型と体質」の解説は、「ABO式血液型」の解説の一部です。
「ABO式血液型と体質」を含む「ABO式血液型」の記事については、「ABO式血液型」の概要を参照ください。
- ABO式血液型と体質のページへのリンク