Five-planet Nice model
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 22:58 UTC 版)
「ニースモデル」の記事における「Five-planet Nice model」の解説
詳細は「en:Five-planet Nice model」を参照 シミュレーション中で木星と遭遇した巨大氷惑星はしばしば遠方軌道や太陽系外へ放出されることから、初期の太陽系は巨大惑星を5つ持っており、そのうちの1つは系が不安定になっている最中に放出されたとする仮説が提唱された。この five-planet Nice model では、初期に5つの惑星がそれぞれ 3:2、3:2、2:1、3:2 の共鳴鎖を形成しており、これら5つの惑星の外側を微惑星円盤が取り囲んでいるという状態を仮定している。この共鳴鎖が壊れた後、惑星間の遭遇が始まるより前にまず海王星が外側に向かって移動し、微惑星円盤の中の 28 au の距離にまで到達する。この初期の移動は外側の円盤の質量を減少させ、木星の軌道離心率を保つことを可能にする。また惑星移動が開始した時点で微惑星円盤に地球の20倍の質量が残っていた場合、観測と一致する軌道傾斜角の分布を持つエッジワース・カイパーベルトを形成することが出来る。この軌道不安定が発生している間、海王星は放出される巨大氷惑星としか遭遇しないため、海王星の軌道離心率は小さい状態に保たれる。そのため冷たい古典的エッジワース・カイパーベルト天体が海王星に散乱されずその場に留まることが可能となる。微惑星円盤の質量が小さいこと、また冥王星質量の複数の天体によって軌道傾斜角と軌道離心率が励起されることから、土星の内衛星への天体衝突の頻度が抑えられ、従来のニースモデルの問題点であった内衛星からの氷成分の蒸発を大きく緩和することが出来る。 遅い段階での共鳴鎖の破壊と不安定性が発生する前の海王星の 28 au までの移動の組み合わせは、Nice 2 model では発生し得ないと考えられる。2つのモデル間のこのギャップは、早い段階で共鳴から脱出した後に数百万年にわたって発生する、ダストによって駆動されるゆっくりとした惑星の移動によって埋められる可能性がある。 最近の研究では、five-planets Nice model は地球型惑星の軌道を再現できる可能性が統計的に小さいことが指摘されている。このことは、不安定の発生は地球型惑星が形成されるより前であったこと、またそのため不安定性が後期重爆撃期の原因とはなりえない事を示唆しているが、早い段階で不安定が起きることの利点は、小惑星帯を維持するために必要な木星と土星の軌道長半径のジャンプの影響で小さくなる。 2014年から2016年にかけて存在が提唱された仮説上の太陽系内天体であるプラネット・ナインは、太陽系の外縁部を非常に大きな軌道で公転していると予測されている。このような非常に遠方の軌道で惑星を形成するのは困難であるため、プラネット・ナインは five-planet Nice model によって太陽系外縁部に弾き出された仮説上の第5巨大惑星であるとする説も提案されている。
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